ガラパゴス島の経済は、かくて時代遅れに・・・

石炭火力:環境相「脱炭素へ」 経団連「必要」…物別れ

中川雅治環境相は16日、経団連の榊原定征(さだゆき)会長ら幹部と面談し、地球温暖化対策について意見交換した。二酸化炭素(CO2)排出が多い石炭火力発電所の国内新増設や途上国への輸出が海外から批判を浴びる中、中川環境相は「世界のビジネスも政治も確実に脱炭素に向かっている」と強調したが、経団連側は石炭火力の必要性を訴え、認識の違いが改めて浮き彫りとなった。

面談は冒頭を除き非公開。榊原会長は石炭火力について「重要な課題だ」と話したが、中川環境相によると経団連側は国内新増設について「電源構成の見地から必要だ」、途上国への輸出は「高効率の発電所を輸出すれば、地球規模で温暖化対策に貢献できる」と主張したという。

国内の電源構成やら、石炭火力の効率化という話は、脱炭素の流れからすると枝葉末節の「どうでもいい」話にすぎません。もっと本筋の理念の話をしたうえで、脱炭素を現実的(段階的)に進める中でやればよい話で、俎上にのせる話じゃありません。そういうのを「阿吽の呼吸」とか、「忖度」というと思うんだけど。

もう少し深く見ると、2つ論点があるかと思いました。

1つ目。経済の流れが変わりつつあること。

激変する世界ビジネス“脱炭素革命”の衝撃 (NHKスペシャル)

世界に衝撃を与えたトランプ大統領の「パリ協定」脱退。にもかかわらず世界のビジネス界は、今世紀後半に二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする“脱炭素革命”に向け大激変し、その動きは止まらない。なぜか?

そこには地球温暖化という課題だけでなく、何より一獲千金の大ビジネスチャンスがある。しかし日本人の多くは、そのことにまだ気づいていない・・・。ウォール街の投資の流れは“脱石炭”に変わり、再生可能エネルギーの劇的な価格破壊を受け、2040年までのガソリン車禁止など急速なEVシフトが始まった。

11月にドイツ・ボンで開かれたCOP23には、脱退したはずのアメリカや、エコ文明を打ち出し “脱炭素”のリーダーをめざす中国など世界中のビジネスマンが集結!だが日本では再エネ普及も進まずトレンドに乗り遅れている。

番組では、COP23に出向いた日本企業の訪問団に密着、“新産業革命”ともいわれるこのパラダイムシフトを目の当たりにした衝撃をルポ。生き残りへの格闘を伝える。

両者の会談は、COP23の会議を受けてのものです。

自動車業界では、全世界でEVへのシフトが始まっていますね。EVへのシフトは、現在のガソリン自動車やハイブリット車では日本勢が強すぎるので、自動車ビジネスのルールを変えて勝負を仕切りなおす という一面だってあるのです。

明治維新に例えますと、ルール変更勢力が「脱炭素」や「エコ文明」という「錦の御旗」を立てました。それが「御旗」だと認められつつある(世界標準になりつつある)今、「いや、あれは偽の御旗だ」(ホントはそれ、脱炭素じゃないし、エコでもない!)と言ってても仕方がないのです。流れを読めなかったほうが賊軍になるんです。もうすこし「KY」になろうよ・・・

番組で、COP23に出向いた日本の訪問団(日本は環境技術の先進国だと思ってた)は、会議で「日本はもう後進国です」と死亡フラグを立てられていたし、良い技術を持ちながら生かせていなかった日本の技術者は悔し涙を流していました。 ちょうど維新前夜、外交の最前線である京都で会津藩士が同じ涙を流したように。

 

2つ目。経団連は「ソフトパワー」を全く理解できてないこと。

日本のソフトパワーの好例は、リオオリンピックに安倍マリオが出てきたこと。中国メディアでさえ、安倍首相のソフトパワー重視政策を見習うべき と論評しています※。

ソフト・パワー(Soft Power)とは、国家が軍事力や経済力などの対外的な強制力によらず、その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る力のことである。  wiki

「脱炭素化」というのは、まさに「政治的価値観、政策の魅力」であり、それを進めていく方向性を打ち出すことで「支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る」力になり得るものです。多分にマネーに後押しされたものだとしても(笑)。逆に扱いを間違えればどうなるかは、トランプ君を見ているとよくわかるような気がします。

会見で環境相が言ってます。(高効率かどうかは問題ではなく)「石炭火力を輸出する姿勢そのものが厳しい目で見られている。」残念ながらやり取りを見る限り、経団連というのは重電ロビイストだからなのか、まったく言葉が通じてなかった。

それにしてもいつまでもバカの一つ覚えみたいに「電源構成」って。今の方針で攻めるにしても(推奨しませんけど)もう少し言葉と論理を組み立てたらどうですか?国内向けとしても、陳腐化しすぎです!

 

※もっとも、安倍くんも、来日したICAN事務総長との面談を断ってますから、ソフトパワーの何たるかはわかってないのかも・・・。

 

 

 

 

 

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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