本日(4月14日)、西尾を震源とする地震が2回ありました。10時36分ごろと、15時17分ごろ。気象庁の発表文は以下の通り。
震源・震度に関する情報
平成30年 4月14日10時39分 気象庁発表14日10時36分ころ、地震がありました。
震源地は、愛知県西部(北緯34.8度、東経137.1度)で、震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は3.5と推定されます。この地震による津波の心配はありません。この地震により観測された最大震度は3です。
[震度3以上が観測された市町村]
愛知県 震度3 西尾市 高浜市
震源・震度に関する情報
平成30年 4月14日15時17分 気象庁発表14日15時13分ころ、地震がありました。
震源地は、愛知県西部(北緯34.8度、東経137.1度)で、震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は4.6と推定されます。この地震による津波の心配はありません。この地震により観測された最大震度は4です。 [震度3以上が観測された市町村]
愛知県 震度4 西尾市 高浜市 幸田町
僕は1回目は室内に、2回目は室外にいました。ともに下からドーンと突き上げる感じ。 1回目は屋外で気が付かない人もいました。2回目は室内で「恐怖を感じた」「台所の火を止めに走った」という人もいました。
僕が普段地震を感じる時は、最初「あ、揺れてるな」と感じ、すこし遅れて「グラグラ」横揺れが来るのが通例でした。ですが今回は下からの突き上げだけ。
「あ、揺れてるな」と感じ、すこし遅れて「グラグラ」横揺れを感じるのは、地震のP波とS波を感じているからです。一般的には、地震が発生すると「伝わる速度が速いけど、エネルギーは小さい」P波が来て小さな縦揺れが発生します。その後、「速度は遅いけどエネルギーの大きい」S波が到着し、大きな横揺れが発生します。 でも、これは震源と自分が遠くにいる場合です。距離がある程度あるから、二つの波の伝わる速度が変わってくるのです。
このP波を素早く察知して警報を出すのが、気象庁の緊急地震速報の仕組みです。
しかし、今回僕が感じたように「下からの突き上げだけ」ってことは、P波とS波の区別なく一緒に来ていることを示します。これは震源と自分がいる場所がとても近い距離にあるから、速度差がつかないのです。内陸の浅い場所で地震が発生した、阪神大震災のタイプの地震です。(内陸直下型地震)
このような場合、速報の仕組み上、緊急地震速報が間に合わない可能性があるそうです。 このことは気象庁もお知らせしていますが、まさに身をもって体験したわけ。 「緊急地震速報の特性や限界、利用上の注意」気象庁
さて、地元の人が西尾で直下型地震と聞くと、「震源は三河地震で動いた深溝断層ではないか?」と思われたかもしれません。この地方で昭和20年に大きな被害をもたらした地震を引き起こした活断層だからです。しかし、今回の震源はそことは外れています。
今回の震源は気象庁によれば「北緯34.8度、東経137.1度」・・・どこ?
国土地理院は「地理院地図」というものを公開していて、緯度経度を入れるとその地点を表示してくれます。さらに、地図上に「活断層の位置」を重ねることができます(ネット環境があれば、誰でも利用可能)。表示してみましょう。
中央の十字の位置が、「北緯34.8度、東経137.1度」です。
深溝断層は図の右側で「へ」の字型に曲がって、赤色の破線で表示されている断層です。三河地震では、この深溝断層と、図の中央上側に水平に走る「横須賀断層」が動きました。今回の震源は、これらの活断層上ではありませんね。
なお、図をよーく見ると、今回の震源の左上に、黒い斜めの点線が引かれています。震源がこの線の延長線にあるので心配になりますが、この線は活断層ではありません。図の凡例によれば、これは地震断層と言い「地震の際に地表に現れたことが確認された断層」だそうで、地震の原因となった震源断層とは区別されるようです。
深溝断層は、活断層とはいえC級活断層で 1000年あたり0.01m~0.1m未満 の活動幅ですから(岩波新書423 松田時彦「活断層」)、今すぐ動く可能性は低いと思われます。それでも4月9日の島根県での地震は「未知の断層」が原因かも という説もあるようですから、何が起こっても不思議はありません(地震は予知できないし)ですから、常日頃から備えをしておくことが大事だな と思った次第です。
参考:断層と活断層はどう違うの? 活断層とはなにか 国土地理院