というフレーズが日本語にはあります。「どちらもすぐれていて、選択に迷うことのたとえ」として使われます。 どちらの花もよく似ていて、どちらも美しいんです ・・・これが前置き。
さて。ちょうど花菖蒲が見ごろ。ほぼ満開なのでございます。
前置きから想像がつくかと思いますが、あたくし「ショウブとアヤメとカキツバタはどう見分けるの?」という質問を頂いたのでございます。
「だいたい一緒です。」では許してもらえないので、勉強してみましたよ。ええ。
金田一「散歩で見かける野の花・野草」日本文芸社より。 注は私の私見です。
まず「菖蒲」と書く植物は、ショウブ、アヤメ、ハナショウブと少なくとも三種類ある。 なんでアヤメを「菖蒲」と書くのか・・・知らんがな。誤解のもとだよねぇ。
端午の節句に「菖蒲湯」として葉を風呂に入れるショウブは、サトイモ科の菖蒲。サトイモ科のこやつの花は、「蒲の穂」みたいな感じで、カキツバタやアヤメの花と間違えることは絶対にない。
カキツバタやアヤメと間違える菖蒲は、たぶんハナショウブ。この三種類はすべてアヤメ科なので、花も立ち姿もよく似てる。
ハナショウブというのは、野生のノハナショウブを品種改良して、園芸種として植えられている花だ。上の写真を見てくだされ。花をよく見ると小さな花びらが上向きに付き、下向きに三枚大きな花びらが垂れ下がっとるじゃろ。 この形はカキツバタ、アヤメ、ハナショウブにほぼ共通しとる。
見分けるのは、下向きの大きな三枚の花びら。「花弁」というのだけど、ハナショウブはこの基部が黄色い斑点なのじゃ(写真)
アヤメは黄色地に紫色の網目、カキツバタは黄色か白色のすじが入る・・・
それから、アヤメは乾燥を好む。カキツバタは湿地を好み、ハナショウブは中間。ってことは、畑にあればアヤメかハナショウブ。水田周りや湿地にあればカキツバタかハナショウブだ。
また、アヤメとカキツバタと比較すると、ハナショウブはやや大型にもなれ、花の咲く時期もすこし遅い。
そのあたりを参考に、見分けて下されい。
ちなみに学名(ラテン語)表記するとこのようになる。
- ショウブ Acorus calamus
- アヤメ Iris sanguinea
- カキツバタ Iris laevigata
- ハナショウブ Iris ensata var. ensata
学名は「属名」と「種名」から成ると決められているので、ショウブはAcorus属「calamus」(和名分類なら、ショウブ属ショウブ。正確にはショウブ目ショウブ科ショウブ属ショウブ)
なので、学名を見ただけで、ショウブとアヤメ・カキツバタ・ハナショウブは属が違うから、いろいろ見た目違うはず、後者三つは同じ属だからよく似てるんだろうな と推定できる・・・か?