タンポポetc と外来種について

いよいよ春本番。桜(ソメイヨシノ)がもうじき咲くな〜!

その前に足元にも春を告げる黄色い花が咲いてますよ。そう、タンポポです。都会の片隅でも、それなりの存在感をもって咲いていますね。 せっかくなので、花の裏側を見てください。 そうすると、簡単にニホンタンポポ(在来種)か、セイヨウタンポポ(主要な外来のタンポポ)か分かりますんで。

ニホンタンポポ
セイヨウタンポポ
ニホンタンポポ
セイヨウタンポポ

写真の通り、花だけ見てても、どっちがどっちかは分かんない(専門家なら分かるのかも・・・)。でも花を裏返してみると、緑色の花びらみたいなやつ(総苞片)があって、それが反り返っている(セイヨウタンポポ)か、反り返らずまっすぐになっている(ニホンタンポポ)か で区別できるのです。 もっとも、最近は雑種も多いみたいなんですけど。

都会に多いのは圧倒的にセイヨウタンポポです。田舎でも人通りの多いところはそっちが多いですね。

セイヨウタンポポは年中咲けるのに対し、ニホンタンポポは春しか咲けない。そのうえセイヨウタンポポは受粉しないでも生殖できるから、そりゃ増えますって。ニホンタンポポから見ると、セイヨウタンポポはバケモノでしょうね。

てなことで、セイヨウタンポポとそのお仲間(外来種タンポポ)は日本中に増えて、「要注意外来生物」に指定され、さらに「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されているほど。まあ「指名手配犯」になっております。従いまして、オフィシャルには「見つけたら防除するのが正しい」ものと思われます。

え、本当にそうすべきなの? ってのが以下の私の暴論です。外来種の話は面倒ですし、興味のない方はここまででやめておいた方がいいと思います。これを参考にテストの答案を書くと零点ですよ〜

これだけ広くはびこっちゃったものを一掃できるはずがないです。少しでも残したら、セイヨウタンポポはその繁殖力の強さでまた増殖します。それでも在来のタンポポが復活できるまでセイヨウタンポポを防除し、その状態を維持し続けるには、まるで労力(ボランティアの人手?予算?)だって足りません。最近はやりの「持続可能性」っていう言葉を使うと「セイヨウタンポポの防除は持続不可能」と思います。 持続不可能なこと、やっても仕方なくね?

それに、仮に一掃できたとしても、都会に在来のタンポポが戻ってくることはおそらく難しく( ニホンタンポポはやや湿った土地を、セイヨウタンポポは乾燥した土地を好むという点から )、「都会ではタンポポなんて見られない・・」ってくらいなら、在来だろうが外来だろうが、タンポポが咲いているほうが風情があって、僕はいいだろうと思うんですよね。 

もう一つ理由もあります。生態系は複雑なので「単純に防除したら万事OK」ってならないかもしれないです。長いので後ろに回します→※ まあ、セイヨウタンポポとニホンタンポポなら、それほどの大事にはならない かもしれないけど。

まあ多くの人は、「野生植物の外来種問題をどうするか」ってあまり関心度の高い問題じゃないですよね。それ以前に、野生植物に興味もつ人自体が少数でしょう。もちろん教科書で「外来種」について教えられているから、多くの人は知識はあるんだけど。

少数のマニアックな(失礼)人達が、セイヨウタンポポの防除をどうするか って騒ぐ前に、外来でも在来でも、少しでもタンポポに興味を持つ人を増やすほうが先決だと思うんですけど。えーと、「まず関心を持たせることから始めよ。」「木を見て森を見ず ではいけない」んじゃね?ってことかな・・・

 ※とあるトンボ保護区で、特定外来生物のオオクチバス(ブラックバス)が繁殖し、ヤゴをはじめとする水生生物の生息環境が影響を受けました。そこでオオクチバスの駆除が計画されました。 トンボ保護区の環境は、オオクチバスが侵入する以前の状態に戻ることが期待されたのです。

ところが、オオクチバスの駆除が実施された翌年、オオクチバスに捕食されていたアメリカザリガニが大発生し、 水生生物の生息環境である水草が激減してしまい、アメリカザリガニの駆除を行ったけど大きな成果は上がらず、保護区の環境は以前よりも悪化するという結果を招いた

松井正文「外来生物クライシス」P86 を要約  概要は石川県のHPに掲載

ここに出てるアメリカザリガニも 「要注意外来生物」に指定され、さらに 「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されたお仲間です。「赤いのが アメリカザリガニ 。小さくて茶色いのがニホンザリガニ(在来種)」っていう俗説もありますが、これはマチガイ。ほぼ全部アメリカザリガニです。そもそもニホンザリガニは、北海道と東北の水が冷たくきれいなところにしか生息していません。

でも、外来種のアメリカザリガニ だって、自分に子供がいたら「ザリガニ釣りさせたいな」「ザリガニ取りにつれていきたい。触らせてあげたい」ってくらいは、身近な自然の中にいてくれるといいな って思う人、多いんじゃないですか?? ま、アメリカザリガニ君も、いろいろ環境への影響は大きいようですけど・・・

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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