昨日まで4日間、18きっぷの旅に出ていました。旅行目的は「中国山地の走破」です。てか、観光じゃねーの?
ま、まあ僕にとっては車窓を眺めるのも立派な観光なんですよね。時間があれば観光もしますけど。
で、なんで「中国山地」行きたかったのさ?
以前「松江城天守の柱が、寄木細工でできているのはなんで?」ってエントリーを書いたときに参照した本に、こんな一文があったのです。
(江戸時代)出雲には大鉄山師が、それぞれ数千町歩の山林を擁してたたら製鉄業を営んでいたが、これに関係する労働者数は十万人余と言われた。
岩波新書「小判・生糸・和鉄」奥村正二 より
著者はエンジニアの技術史家。和鉄の技術を解説する傍ら、「山陰の山中に十万人規模で人がいたってほんとですか?」と疑問を持ち、現地調査等も行い、たたら場の箇所数から「あり得る数値だ」と結論づけます。
たしかに映画「もののけ姫」を見て分かるように、たたら製鉄は山地で行われ、多数の人足が必要であることは分かります。分かるんですが、 出雲(現在の島根県)の県庁がある松江市の人口ですらたったの20万人。
現在過疎化の代名詞みたいに言われる中国山地にそんなに人がいた・・・そしてそれだけの人口を支えた「中国山地」の現在の姿はどんなものか?がぜん見に行きたくなったってわけです。
なかなか山陰側って縁がなくて、土地勘もないですし一度行ってみましょ。
「小判・生糸・和鉄」 には、鉄を産する山域とそこを通る線路も載せてくれています。それを元に「木次線」と「芸備線」に乗ることにしました。超赤字路線で、いつJR西日本が廃線にしてもおかしくなさそうだし・・・
全体計画を地図に落としたのがこちら。(紙面の関連上、京都から西だけ抜粋しています)赤い線が走破した路線。
- 1日目:(前泊)名古屋→鳥取 東海道本線、山陰本線経由
- 2日目:鳥取→津山 山陰本線、木次線、芸備線、姫新線経由
- 3日目:津山→大阪 姫新線、山陽本線経由
- 4日目:大阪→安城 東海道線経由
詳しい旅行記は後日。
それからね。
上の地図には、4カ所青字で2地点間の所要時間を載せたんだけど、東西方向の移動と比較して、南北方向の移動 (中国山地横断)にいかに時間がかかるか 身を持って体感できました(笑)。
- 京都駅〜城崎温泉駅 4時間18分(158km 山陰本線南北)
- 鳥取駅〜米子駅 2時間15分(93km 山陰本線東西)
- 宍道駅〜新見駅 5時間35分(125km 支線南北)
- 姫路駅〜大阪駅 1時間2分(88km 山陽本線東西)
※課題※それぞれの時速を算出し、比較検討せよ。
こんな旅はただの「バカの横好き」なんですけど、こういう時間の浪費のような旅、都市に住んでるエリート層にも一度体験してもらいたいな って思います。地図で見た距離感では見えない、実感距離感、みたいな。当地の電車通学高校生は身を持って知っていますが、太平洋側に住んでるとなかなか気が付かないものです。線路が複線で、快速だって走っているのが当たり前だから。おまけに新幹線走ってる上に今度はリニアが走るそうな。。。
旅行最終日に姫路から大阪まで「新快速」乗り継いだら1時間強!それまで過ごした3日間の感覚からすると、驚天動地の出来事でした! うん、こりゃあ穂高君が田舎を捨て都会に家出した気持ちもわかるわ。ありゃ離島だけどな。
ちなみに上三つは単線。(さらに豊岡から先は電車ではなくワンマン汽車)したがって反対電車待ち合わせでしょっちゅう駅止め。三つめは急傾斜を 時に時速30㎞以下で あえぎ登り(JR西日本最高標高駅あり)、時にはスイッチバックで傾斜を超え、木々の枝の先端に車体を擦りながら走っています。