本日付け(10月19日)の中日新聞に、次のような図が掲載されていました。文字通り「台風19号の爪痕」という図です。
カラーの部分は私が強調したところです。青色矢印が台風19号の進路です。赤円で囲ったのが、左から千曲川、阿武隈川、吉田川の堤防決壊箇所です。
僕はこの図を見て、「特に水害については、台風の進路から、むしろ外れた箇所で被害が大きかったんだ」って感じました。
川での水害の場合は、堤防決壊地点というよりむしろその上流域の降水量が大きく影響しますから(この現象を良く捉えた俳句が「五月雨を 集めて速し 最上川」です。五月雨はその場に降った分だけ、ではありません)
決壊地点より、阿武隈川の場合はさらに北側、吉田川の場合は西側で雨が強く降ったということです。つまりこの図から受ける印象より、さらに台風の進路より離れたところに降雨が集中したということです。
(千曲川は、南から北に流れる川なので、降雨域は決壊点より南側になります。それでも、長野ー山梨県境にある甲武信ヶ岳が源流なので、台風の進路からはかなり離れています。)
もちろん台風の進路上の箱根とか相模原、武蔵小杉でも、それなりの被害を受けてるわけですが、どちらかと言えば土石流だったり、地形的な要因が大きかったと言えるでしょう。さらに下流側の人口密集地域で、治水機能がより充実していたという要因もあったと思いますが。
いずれにせよ、台風の予想進路から離れているから大丈夫だな っていう安心は禁物ってことですね。これを説明するような解説が、気象庁のHPに載っていましたので紹介します。
台風は、垂直に発達した積乱雲が眼の周りを壁のように取り巻いており、そこでは猛烈な暴風雨となっています。この眼の壁のすぐ外は濃密な積乱雲が占めており、激しい雨が連続的に降っています。
さらに外側の200~600kmのところには帯状の降雨帯があり、断続的に激しい雨が降ったり、ときには竜巻が発生することもあります。これらの降雨帯は下の図のように台風の周りに渦を巻くように存在しています。 また、日本付近に前線が停滞していると、台風から流れ込む暖かく湿った空気が前線の活動を活発化させ、大雨となることがあります。
台風に伴う雨の特性
大事な点を要約すると・・・
- もちろん台風の眼のすぐ外は激しい雨が連続的に降っている
- 台風の外側200~600kmのところに帯状の降雨帯があり、断続的に激しい雨が降ることがある。
- 日本付近に前線が停滞していると、台風から流れ込む暖かく湿った空気が前線の活動を活発化させ、大雨となることがある。
です。今回の場合、帯状の降雨帯が活発に活動したのでしょうし、天気図を見ると、まさに日本付近の前線が頑張っちゃった という感じを受けます。 以後気を付けましょう。
※ 「あれ、台風って、進行方向の右半分にかかるとヤバイ」んじゃなかったっけ、今回は左半分が被害受けてね? って感じた方(ええ、僕です)。それは台風に伴う「風被害」について言えることですので、お間違えなさいませぬよう。
台風は巨大な空気の渦巻きになっており、地上付近では上から見て反時計回りに強い風が吹き込んでいます。そのため、進行方向に向かって右の半円では、台風自身の風と台風を移動させる周りの風が同じ方向に吹くため風が強くなります。逆に左の半円では台風自身の風が逆になるので、右の半円に比べると風速がいくぶん小さくなります。
また、台風が接近して来る場合、進路によって風向きの変化が異なります。ある地点の西側または北側を、台風の中心が通過する場合、その地点では、「東→南→西」と時計回りに風向きが変化します。逆に、ある地点の東側や南側を、台風の中心が通過する場合は「東→北→西」と反時計回りに変化します。周りに建物などがあると、必ずしも風向きがこのようにはっきりと変化するとは限りませんが、風向きの変化は台風に備える際の参考になります。
台風に伴う風の特性