東京五輪のマラソン協議、急遽北海道の札幌で実施することになりましたね。
IOCの横暴だとか、東京でやらないのはけしからん とかいろいろ言われていますが、そもそも東京で開催することに決定した時の議論がウンコだったと思うです。
東京がオリンピックに立候補した時の立候補ファイルに、こんなことが書かれていました。
IOCからの問い 第32回オリンピックの開催期間は、2020年7月15日から8月31日の期間内から選択するものとしています。(IOC理事会がその他の日程に合意した場合を除く)開催するに当たり、貴都市が予定する開催期間とその詳しい根拠を示してください。
東京都とJOCの回答 東京でのオリンピックは、7月24日から8月9日まで開催します。・・・この時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候です。
(一部の文書は要約してるので、一応上のリンク(原本)に当たってね)
選手ファーストをうたう?IOC様は、「原則オリンピックは、北半球が夏の暑い盛りにやることを計画してます」 とおっしゃってますし、それに対し日本は「その時期の東京は温暖で、選手が最高の状態でパフォーマンスできる時期であります!」と答えております。まあ、どちらもアンチ選手ファーストであることは確かでございます。
焦点:東京五輪、なぜ真夏に開催か 猛暑で懸念高まる[東京 7月26日]
過去30年にわたり、ほとんどの夏季五輪は7、8月に開催されている。テレビ局が大会を取材する上で理想的な時期と考えているからだ。
この時期は五輪以外に世界的なスポーツイベントが少なく、テレビ局はより多くの視聴者を獲得しようと数十億ドルの放映権料を支払う。
立候補都市は代替日を提案できるが、必ずしも認められるとは限らない。中東カタールの首都ドーハが2020年夏季五輪に立候補したとき、7、8月は暑すぎるとして10月開催を提案した。だが、オリンピック放送機構(OBS)とIOCテレビジョン・アンド・マーケティング・サービスSAは、2012年4月に公表されたオリンピック作業部会の報告書の中で、そのアイデアに批判的な反応を示した。
「五輪大会がIOCの推奨する7、8月に開催されれば、ゴールデンタイム視聴率の首位を獲得する『お墨付き』を放送局に与える」と同報告書は説明。「10月の開催では、放送局は低い視聴率に直面することになる」
IOCに76億5000万ドル(約8500億円)を支払い、2032年まで米国における独占放映権を獲得することに2014年合意したNBCはコメントを拒否した。
ロイター
後で調べてみると、 立候補都市の中には、「その時期は暑すぎるんで、10月開催にしたいんだけど」と提案した良心的な都市もあったのですが・・・ 最終的には東京に敗れちゃいました。正直この提案は、IOCを忖度してないから、たぶん当選無理だったと思うけど。
20年夏季五輪、ドーハが立候補表明 東京のライバルに
【ロンドン=共同】東京が招致を目指す2020年夏季五輪で、カタール・オリンピック委員会は26日、首都ドーハが開催都市に立候補することを正式に表明した。既に招致を表明しているローマ、マドリード、イスタンブール(トルコ)を加え、同五輪招致は近年では少ない5都市で争われる見通しとなった。ドーハは夏の猛暑を避け、7月15日から8月末までの通常の期間ではなく、9月20日~10月20日の間での開催を国際オリンピック委員会(IOC)に要望。IOCは26日の理事会で、各競技の国際大会日程への影響を避けるよう調整するなどの条件付きで認めた。
日経新聞
僕らが滝川クリステル氏の「お・も・て・な・し」に目を奪われているすきに、(というか、当時ニュースはそれしかやらなかったよ)そんな議論があったなんてね。
でもなぜか酷暑の東京が選ばれたんだな、結果として。ただIOCの委員もアホじゃないので、開催地決定にあたって「 8月の東京の気候は温暖で、選手が最高の状態でパフォーマンスできる最高の時期であります! 」って言われて「OH,それは素晴らしいですね〜」って信じたりはしなかったでしょう。
どうしてもオリンピックを開催したかった日本は、IOCやオリンピックの選定過程に詳しいコンサルタントに依頼して、立候補ファイルの書き方や開催時期を変更する提案をすべきかどうか ってアドバイスをもらってたんだと思います。 ついでに「立候補ファイルには建前が書いてありますけど、 魚心に水心で、競技開催はうまくやりますんで、選定してくださいね」っていう交渉(接待)だってあったんだろう と社会人の僕は思う(実社会で仕事していると、こういうの多かれ少なかれありますよねー、好し悪しは全く別として、ライバルだってやってんだもん)。ただ、日本はやりすぎちゃった。それが、この辺りに繋がってくるんじゃないかと。
2.3億円は贈賄かコンサル料か JOC会長を本格捜査
朝日新聞
2020年東京五輪・パラリンピック招致を巡り、フランス当局が招致委員会の理事長だった日本オリンピック委員会(JOC)・竹田恒和会長の訴追に向けた手続きに入ったと現地紙が報じた問題の焦点は、約2億3千万円の使途が贈賄なのか、コンサルタント料なのか、の認定だ。
正直このコンサルと持ちつ持たれつの関係を持ってたら、少なくとも「IOCが東京都に対し一方的にマラソンの開催地変更を指示」 と言う一方通行的なやりとりにはならなかったんじゃないかと思うんだけど。・・・てか、この白黒は結局どうなったん? うやむやにするのがお利口さんですね・・・
ま、東京でのマラソン対応については、いささか日本の準備がひどすぎた面もあるのかもしれないけどね。ただなかなか効果のある対策って、ないのだけど。
東京五輪のマラソンコースに基づき、2016年と17年の7月後半と8月に気温や湿度などのデータを集計した国際的な研究チームは、選手や観客が熱中症になるリスクが高い状況となる可能性を警告。日陰のエリアを増やすよう、大会組織委員会に提言している。
同研究に携わり、緑地環境計画が専門の横張真・東京大学教授は、五輪史上で、東京が最悪のコンディションになりかねないと、東京大会のマラソン競技について警鐘を鳴らした。
組織委は、こうした警告を真摯(しんし)に受け止め、マラソン開始時刻の午前7時半から同7時への前倒しを発表。また、マラソンコースや他の主要道路に太陽光の赤外線を反射する遮熱性の塗装を行い、温度を下げるとしている。
組織委はまた、暑さ対策として、テントや冷風機などの設置を検討しているという。
あらゆる可能性を考慮した暑さ対策を準備していると、組織委の高谷正哲スポークスパーソンは語った。
ロイター
あらゆる可能性を考慮した暑さ対策が、「開始時刻の前倒し、遮熱性塗装、テントや冷風機の設置」だってーんだから、そりゃIOCが東京に任せとくとヤバくね?と思うのも当然だよね。まあ、熱中症で倒れる選手続出で、相対的に慣れている日本選手に圧倒的優位だったかもしれない、日本の深謀遠慮だった可能性もあるのかな(笑)。
いっそ、東京都(小池さん)は「他の競技も熱中症続出でしょうから、東京五輪の実施を中止します。どうしてもIOCがこの時期の屋外オリンピックにこだわるなら、寒い冬である南半球の都市限定で募集したら! 」って啖呵が切れたら、あちこちから賞賛の声が上がると思う(けど、大人の事情が絡んで無理だな)