ジャンヌ・ダルクとは・・・
15世紀のフランス王国の軍人。フランスの国民的ヒロインで、カトリック教会における聖人でもある。「オルレアンの乙女」。
wiki ジャンヌ・ダルク
当時、フランスは国家分断の危機でした。フランス王家の衰退に伴い、血縁関係にあったイングランド王家(出身は現フランス・ノルマンディ地方)がフランス統治の権利を主張しフランスに侵攻。フランスを舞台に百年戦争が繰り広げられ国土は荒れ果て、国民(農民)は疲弊の極みにありました。その上、フランス最後の重要拠点であるオルレアンは陥落寸前でした。フランス危うし!
そこに現れたのが、神に「フランスを助けよ」と啓示を受けた少女です。農家の娘だった彼女は白馬に乗り甲冑を付け戦いの最前線に出て戦い、陥落寸前だったオルレアンを救いました。 そのまま彼女を先頭に押し立てたフランス軍はイングランド軍に勝利し、王家のフランス王戴冠に多大な貢献をしました。祖国を救った英雄万歳! (が、そののち裏切られ、悲劇の少女は列聖。)
ひどいたとえかもしれないんですけど、僕はグレタさんを見てジャンヌ・ダルクを思い出してしまいました。まあ、これは 映画「Joan of Arc」の影響かもしれませんが。
各国の指導者たちの集まりである国際会議では、会議は開かれど実効性のある温暖化防止策は打ち出されず、市民、特に将来を担う若者たちの願いは聞き入れられない。そんな絶望的な状況(百年戦争下のフランス)の中で、若い女性活動家が突如現れる。彼女は国連と言う檜舞台(オルレアンで)、まるで神がかってるんじゃないか と思うほどの言葉と表情で大人たちに迫り、全世界が彼女に注目する・・・
グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ。「あなたたちの裏切りに気づき始めています」(スピーチ全文)
「あなたたちが話しているのは、お金のことと経済発展がいつまでも続くとい うおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!」
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)は9月23日、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを叱責した。
トゥーンベリさんは世界のリーダーを前に、時に涙を浮かべながら約5分間スピーチ。
温暖化解決のための具体的な行動を取らないのであれば、「結果とともに生きなければいけない若い世代」はあなたたちを許さないと強く訴えた。
写真とも、HUFFPOSTより引用
いろんな裏話だってあるんだろうけど、温暖化という環境危機に立ち向かう旗頭(若い世代の象徴)という観点で彼女に注目が集まっているのは事実。そしておろかな大人たちはそれに対する行動をしていない・・・ように見えますね。だから熱烈な殉教者から、穏健な支持派まで賛同派が形成されるのはよくわかる。
一方で、純粋な彼女を審問にかけようとしている多数派のずるい大人たち?の中にも、「彼女は異端者だ!」という狂信者から「いや、祖国フランスは国家存亡の危機にまで達してない(彼女の信じている危機は事実だろうが、ことの緊急性はそれほど高くない)」という穏健派まで、内部はいろいろあるんだと思うね。それらを一絡げに激しい言葉で攻撃するのは(時に必要だとしても)、あんまりいい戦略じゃないと思うんだ。彼女がジャンヌの道を辿り、のちに列聖されないよう願うばかりです。
ちなみに僕は「祖国フランスは国家存亡の危機までは達してない」と考えるずるい大人派です。もっと具体的にはロンボルグという統計学者を信じる派です。
2003/6/27 ビョルン・ロンボルグ (著), 山形 浩生 (翻訳) 「環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態」
刊行によせて訳者 山形浩生
環境問題に関心を持っている人は多い。みんな環境が急速に悪化しているから、自分も少しはなんとかしなきゃ、と憂慮している。
でも、環境が急速に悪化しているというのは本当だろうか? なぜみんなそう思っているんだろう。さらに環境問題となると、かなり変な議論も横行する。野菜からちょっと基準値を超える農薬が出ると、みんな大騒ぎ。環境ホルモンで人類の危機、とか。地球温暖化であちこち水没だの、東京がカイロみたいな灼熱都市になるとか、森林がほとんどなくなりかけているとか。いろんな環境団体は、真顔でそう主張し、いまの消費偏重の経済文明のままでは、地球は滅びるぞ、と脅す。
ちょっと待った。それってホント? そう問いかけたのがこの本だ。いろんな環境団体の言うことは、感情的で眉唾な誇張や歪曲がかなり含まれていて信用ならないぞ。実際のデータを見てやると、いろんな部分で地球の環境問題って改善されてるじゃないか。そして悪いものだって、いますぐ地球が滅びるようなものじゃない。さらに一部の問題は、ヘタにあわてて動くとかえって有害だ、と本書は指摘する。まだ問題は残っている。でも人類はこれまでいろんな問題を解決してきたし、いまの努力を続ければ残りの問題も解決できる。文明を根底から覆すなんて無謀なことを考えず、いまの自分たちの問題解決能力を信じて取り組んでいけばいいんだよ、と
これはちょいと古い本なんで、最近のコメントないかなって探したら、ちょうど9月ごろ最近のコメントが出て、それを奇特な方が日本語で要約してくれてるので張っておきます。
ふと、かつて温暖化対策の行き過ぎを諌めたビョルン・ロンボルグはグレタ・トゥーンベリについて何か言っているのかな、とぐぐってみたところ、9月末にこのような論説を書いていることを知った。以下はその概要。
himaginary’s diary 2019-12-14 将来世代はグレタ・トゥーンベリを許さない?
内容はリンク先を見てください。でも僕が特に重要だと思ったとこだけ引用するです。是非リンク先読んでみてね。ちゃんと論理的に書かれてますんで。
2028年までに化石燃料を削減しなければ若い世代は我々を許さないとトゥーンベリ氏は言うが、これは偏狭な先進国の見方である。国連が世界の一千万の人々に優先順位を尋ねたところ、上位に上がった5つの問題は健康、教育、仕事、腐敗、栄養だった。即ち、人々は、自分たちの子供が治療が容易な病気で死なないこと、まともな教育を受けること、飢え死にしないことを望んでいる。気候変動は16の選択肢の最下位だった。それは、この問題が重要でないためではなく、大半の人々にとって他の問題がより切迫しているからである。
問題は、気候変動がますます他の問題を押し退けていることにある。例えば、世界で貧困に喘ぐ人々の優先順位に真っ向から反し、今や開発援助全体の3分の1は気候変動に充てられている。グリーンエネルギーの研究開発への投資を増やして気候変動問題に対処すべきではあるが、貧困、健康、教育、栄養という問題への対処よりも気候変動を優先したならば、世界の若者世代の大半は我々を決して許さないだろう。
「 偏狭な先進国の見方である。 それは、この問題が重要でないためではなく、大半の人々にとって他の問題がより切迫しているからである。 問題は、気候変動がますます他の問題を押し退けていることにある。 」って重いですねえ。それこそ「見たくない真実」かも。