独断と偏見による 建築と土木の違い 

鹿島建設 カジマキッズアカデミー 土木と建築ってなに?

正直、この分野で働いていたり学んでいる人でないと、土木と建築の分けって、微妙じゃないかと。

一言で言うと、建物を造るのが「建築」(昔「建築学科」は「造家学科」と言ってました)、それ以外は土木。だから「橋、トンネルやダムを造りたいから建築を学ぶ」と言うのは間違いなのれす。

追記。ちなみに「東京タワー」を設計したのは内藤多仲(建築士)らとググればすぐ出るのですが、瀬戸大橋のなかで最長の橋である「南備讃瀬戸大橋」の設計者は不明(ざっと調べた限り)。建築では設計者の個人名が出ることが多いですが、土木では設計者の個人名は出ないほうが多いです。

まあ、上記の両方にまたがるような、都市計画みたいな分野もあります。建物を造る時でも、「地盤が弱いんで地盤改良が必要だな」ってことになると、地盤改良は土木に近かったりします。この仕分けで言えば、地面より上は建築で、地面より下は土木の領分かもしれません。

さらに言葉を複雑にする「建設」という言葉もあるんです。建設業界と言うと、建築も土木も含むから、傍目にはありゃ一緒のもんじゃないか と思われちゃう。

建設(construction)は、建築(architecture)と土木(civil engineering)その他・・・インフラストラクチャーなどの基盤構築の分野の総称。

wiki建設

これらの分野に進みたい場合、土木学科と建築学科ってのがあります。土木学科は工学部にあるけど※、建築学科は工学部だけでなく芸術学部にあることも多いです。建築は工学的要素とともに、設計とか意匠、建築史など、デザイン的要素も重視されるからです。 

  ※日本では、農学部に「農業土木科」っていう土木の隣接領域もあるでよ。

もちろん、土木学科も建築学科も工学系の視点から見れば「構造物を扱う」 という点で似ています。他に構造物を扱う学科として機械工学科があります。工学系の観点から見ると、土木学科は建築学科よりむしろ機械工学科に似てるんじゃないかと。

土木学科では、基礎科目として「三力学」を必修として習うのですが、建築学科での必修はたぶん「一力学」だけです。機械工学科では「四力学」が必須です。

  • 土木学科三力学(水理学・構造力学・土質工学)
  • 機械学科四力学(機械力学・流体力学・材料力学・熱力学)
  • 建築学科一力学(構造力学)

それらを表にしてみると・・・

どの学科も、材料力学または構造力学という科目を履修します。これは「固い物質(例えば木材、鋼材など。)が、少し変形したらどのように力が掛かるか」を学ぶ学問です。建物にしても機械にしても、構造体は固い材料でできてますから。

そのうえで、機械系や土木系は、流体力学や水理学という科目で、「柔らかい物質(水などの液体や気体)が大きく変形したら、どのように力が掛かるか」を学びます。

てなことで、土木学科と機械学科は、ともに「剛体の小変形」と「流体の大変形」を力学でどう扱うかを学ぶことが共通しています。一方、建築学科では、流体を建築材料として使うことはまずないので、必須は構造力学「剛体の小変形」だけになります。

ちなみに、土木工学科はトンネルを掘ったり「土」を扱うことが重要なので、土質力学を必須で学びます。もちろん建築でも基礎で土を扱いますが、基本は「地面より上」なので。土質工学は選択科目くらいの扱いです。

機械工学科で学ぶ「熱力学」については、エンジンを扱うのに必要です。流体力学と熱力学がわからないと、エンジンが理解できないんで。

建築系は学ぶものが少ないな〜 と言うことなかれ。その分「設計・製図」に重点が置かれます。建築系の主要な資格である建築士の試験では、二次試験で「製図」が課されますからね。例えば「介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅を設計せよ」 というような課題です(二級建築士H26)。他方、土木系の資格試験で製図が要求されることはありません。(実務に不要って意味じゃないよ)

建築学科は「設計」の時間が多く、ここで鍛えられることで、最近はやりの「デザイン思考」を身につけられる可能性が高くなるのかもしれませんね。

デザイン思考(Design Thinking)とは何か
「デザイン思考」とは、デザインしたサービスやプロダクトの先にあるユーザーを理解し、仮説を立て、初期の段階では明らかにならなかった第二の戦略や代替する解決策を特定するために問題を再定義する、一連の問題解決の考え方のことです。

ferret 「デザイン思考」とは?AppleやGoogleも採用している話題のアプローチ方法をわかりやすく解説

「この本は、僕自身のルーツである「建築」の方法を他分野に応用していくための本です。建築家が建築を作り出すように、多くの人が自分の考えるアイディアを実際に実現していくためのコツを、建築という手法から考えていく本になります。」

アイデアを実現させる建築的思考術 アーキテクチュアル・シンキング

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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