Ooohきっと来る~

北海道を旅行したことがある人たちは、「キタキツネは可愛いけど、触っちゃ駄目だよ」と言われたことがあるかもしれません。 北海道でアウトドアを楽しむ人たちは「水を生で飲んでは駄目」と言われたことがあるかもしれません。

それは北海道では、人も犬も感染する、危険なエキノコックスという寄生虫の危険性があるからです。ところが・・・そのエキノコックスが愛知県でも見つかったとな!

北海道には本州ではあまり知られていない致死的な寄生虫感染症である「エキノコックス症」があります。日本では北海道だけのものと思われていました。

ところが、近年、愛知県知多半島で継続的に見つかっており、8月の末からTwitterで話題になっています。


北海道の人はエキノコックスに対して、その怖さを理解しています。しかし、道外の人たちは、その危険性がよくわかっていないようです。

北海道の致死の危険性がある寄生虫疾患【エキノコックス症】が愛知県でも発見…忍びよる恐怖

僕は、大学時代に北海道に登山に出かけたことがあり、のどが渇いて、いかに流れる水が奇麗そうでも、その時生水を飲んだら駄目」と教えられエキノコックスについては知っていたのですが、だいたいこんな感じの疾患です。

  • 人がエキノコックスに感染すると、治療しないと死にいたることがある。
  • 経口感染する。感染したキツネやイヌに触ったり、その排泄物に汚染された沢水や山菜を生で食べたりすると感染の恐れがある。
  • 潜伏期がおよそ5~20年と非常に長い
  • 感染すると、多包条虫の包虫が肝臓で増殖。治療法は外科手術(直接取り除く)

詳しく知りたい人は、漫画「ブラックジャック」を見てください。エキノコックス(潜伏期間なしの、実際には存在しない「エキノもどき」ですが)に寄生されたブラックジャックは、他に外科手術ができる人がいない環境下、自ら開腹手術を行い、エキノコックスを駆除しています。  

まあ、適正に処理されれば回復できる疾患。ではあるんですが、「日本では北海道だけのものと思われている」現状の中、仮に愛知県で患者が出ても「エキノコックスが原因なので外科手術が必要」と素早く適切に判断できるか? これは難しいと言わざるを得ないかと。 

んで、愛知県のどこで出たのかな?

平成26(2014)年3月に愛知県の知多半島にある阿久比町で捕獲された野犬から、愛知県内では初のエキノコックスが検出されました。それを受けて、愛知県では県内のエキノコックス感染状況を把握するために、捕獲された野犬などのエキノコックスの調査を実施しました。・・・愛知県でのエキノコックス陽性犬は・・・計9例確認されています。・・・理由はわかっていませんが、エキノコックス陽性だった野犬の捕獲地域は、全て知多半島です。愛知県全域ではありません。

「理由は分からん」そうですが、中部国際空港経由でしょうね。下の地図で「知多半島」の半の右側にある島が空港島です。 札幌からの便も飛んでますし、海外からの便も来ますし。てか、初期の調査範囲から、行政がどこを起点と推察したかは明確かと思われますが・・・

いちおう現時点で「感染範囲は知多半島のみ」とのことです。が、野犬は動きますから、エキノコックスの生息域拡大は不可避なんじゃないかな・・・

今後本州でもエキノコックスの生息地域が拡大するのか気になります。それを考える上で北海道の事例が参考になります。

国立感染症研究所の「北海道のエキノコックス症流行の歴史と行政の対策」によると実はエキノコックスは北海道には元々いませんでした。・・・最初の人の症例は1936年小樽市在住の女性で、北海道北部の礼文島の出身者でした。感染源は1924年からの3年間に中部千島の新知島(シムシル島)から礼文島へ移入されたキツネに寄生していたものと推測されていて、つまり人為的に持ち込まれた寄生虫です。

おい、この記事、北海道に持ち込まれたエキノコックスの生息域がその後拡大したか書いてないじゃん。これだと考える上での参考事例にならないですね。

ま、リンク先の「北海道のエキノコックス症流行の歴史と行政の対策」によれば

北海道全域の媒介動物調査が行われ, 1993年にはほぼ全域への流行の拡大が確認された。現在, 北海道では毎年400頭前後のキツネが解剖検査され, 毎年の新規患者数等の情報とともに公表されている。そこではこの20年にわたり, 北海道全域の40%前後のキツネが感染していること, また, 年間の本症の新規患者数が20人前後で推移していることが報告されている。

という事なので、「その後順調にエキノコックスの生息域は全道に広まりました。」ということでしょう。  ということは・・・「Ooohきっと来る~」貞子こわーい。

とりあえずは山野にでかけても、(あまりいないと思うが)生水を飲まないように!ということ、「愛知県にもエキノコックスがいる可能性あり」ということを知識として知っておくことが大事かと思います。もし5~20年後に激しい腹痛に襲われ医師にかかったとき、判断情報の一つになるから。 それ以上の心配は、いましても仕方がありませぬ。

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

「Ooohきっと来る~」への4件のフィードバック

  1. 西尾でキツネを見たのを誰も信じてくれませんでした。狐=北海道のイメージがあるからですかね。スマホ取り出して写真撮ろうとしたら逃げられました。残念

  2. 警戒心が強いから西尾で野生のキツネは見たことないですが、生息域を考えるといるんじゃないでしょうか。北海道にいるキタキツネは有名ですけど、本土にもホンドギツネがいますから。
     童話「ごんぎつね」は、西尾に近い半田市出身の新美南吉が17歳の時の作品で、地元の老人に聞いた話が元になっているとされていますから、その当時はもっとよく見かける動物だったのかもしれませんね。

  3. ちなみに、西浅井町の山から下りてきて畑へ入っていくとこを鉢合わせしました。たしか宿縁寺?の裏の山です。グーグルマップには峠と地名がありました。
    エキノコックス気をつけなきゃいけないですね。情報ありがとうございます。

  4. お坊さんに化けてたけど、しっぽが見えてたので・・・ とかのオチじゃなかったですね(笑)。

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