老後資金不足額のリアルな辺りは?

年金の話って、難しいですよね。 というか、難しいのは勉強すればいいんだけど、誰が言ってることを信じれば良いのか、それが分からない というのが正確なのかもしれませんけど。

少し前に、厚生労働省が「国民年金の水準低下緩和へ 厚生年金から財源振り分け」を検討するっていうニュースがあったのですが、

この検討案、自営業者の方(国民年金だけ加入)は賛成するでしょうけど、所得の多い少ないに関わらず、会社員(厚生年金に強制加入)している人は、反対するでしょうねえ。厚生年金による、国民年金の救済措置ですから。

 田村憲久厚生労働相は10日の記者会見で、少子高齢化に伴い、国民年金(基礎年金)の水準が将来大幅に減る見込みであることから、低下幅を抑える制度改革を検討する方針を明らかにした。厚労省は会社員が加入する厚生年金から財源を振り分けることで実現したい考え。

ただ高収入の会社員は将来の年金水準が現行制度に比べ下がることになるため、経済界の反発も予想される。田村氏は会見で「所得の低い方々に手厚い年金に変わり、非常に意味のある改革になる」と強調した。

国民年金の水準低下緩和へ 厚生年金から財源振り分け

そもそも、厚労省は小泉政権時代に、「年金100年安心プラン」と言いつつ年金改革しているので、だったら今改革する必要性なんてないはずじゃ・・・

この件については、前に一度記事にしようと思って「100年安心プラン」について検索してみたのですが、ざっと検索した程度では、「安心というのは、どの程度安心なのか」さっぱりわかりませんでした。厚生年金で国民年金を救済しようと検討案が出るくらいだから、全然安心じゃなかった のだろうけど。

今回取り上げる(年金以外の)老後資金不足額については、金融庁の諮問機関が、「年金だけでは老後の生活費は2千万円不足する」と報告書をまとめたのに、金融担当大臣の麻生氏が報告書の受け取りを拒否したニュースがありましたね。行政機関が委託した諮問委員会の報告書の受け取りを拒否するなんて、ありえないのですが・・・

2千万円問題」報告受け取り拒否 審議会は何のため?

中身は詳しく知らんけど、結論としては妥当なところでしょうね。その「言ってはいけない真実」を、どんな暴言を吐いても当選できる麻生氏ですら受け取りを拒否。 「年金と老後のリアルを直視すると選挙戦えない」という現実。

なので、そんな政府が発表する「安心ですよ」なんて信じられないですね。

実際のところ、この問題はどの程度ヤバいんだろう?どの程度不足すると見込むべきなんだろう?   誰か(僕が)信頼できる人、教えてよう!

信頼する識者の一人*が、タイムリーな記事を出してくれたので読んでみました。これ、なかなか納得できると思いますので、ぜひ読んでみてください。 想定もできないと、備えも考えられないですからね。

老後生活資金に2000万円必要という金融庁の報告が、2019年に関心を集めた。しかし、「どれだけの貯蓄が必要か?」という疑問は、うやむやのままにされ、忘れられている。マクロ経済スライドによる年金額の削減や、支給開始年齢が70歳に引き上げられる可能性を考えると、必要貯蓄額はこれよりかなり多くなる。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第56回。

現在56歳以下の老後「3000万円超必要」の驚愕試算
1965年以降出生者9割が老後生活資金を賄えない

*僕の場合、金融・経済関係だと、野口悠紀雄氏、高橋洋一氏、山崎元氏の記事は目に付けば必ず読みます。もちろん、彼が正しい かどうかは知りえません。でも納得できる部分が多いので、僕にはそれで十分。

(100年安心年金で)政府が約束してきたのは、つぎのことだ。
厚生年金については、モデル世帯の所得代替率を、ほぼ50%に維持する(注)。2025年までに支給開始年齢を65歳に引き上げる。年金保険料率は、現在以上の引き上げは行わない。


「100年安心」とは、「このような内容の年金制度を100年維持できる」ということだ。
このことと、「老後に備えて一定の蓄えが必要」ということは、なんら矛盾しない。

「モデル世帯で現役時の手取り収入の50%の年金を維持する」ということですから、自営業とか、低賃金で働いている人(僕です)とか、独身の人(僕です)は、50%も貰えないよ ということですね。

(審議会の報告書は)「老後の生活費のうち7割強を年金が保障する」としているように読める。
しかし実は、これは政府が約束していることとは異なる。


あとで詳しく述べるように、年金の実際の支給額が生活費の7割より少なくなることは、政府が約束している範囲内でも、十分ありうることなのである。
しかし、報告書を受け取れば、「生活費の約7割を年金が保障する」という約束に縛られてしまうことになる。


政府が受け取りを拒否したのは、これに関する言質を与えたくなかったからだと思う。

なるほど、そういう見方もあるのね。

ここから先は、僕が記事を読んで理解した内容でしばしまとめてしまいます。

モデル世帯で手取り収入の50%の年金があれば、老後に必要となる総費用のうち70%が賄えます。だから残りの30%は自分でなんとかしてください。残りの30%の具体的な金額は、概ね2000万です」 

というのが審議会の報告書だったようです。 ただし、その前提となる「100年安心」年金運用の想定では

想定→実質賃金の上昇率が実質GDPの成長率より高い(社会保険料の徴収額も合わせて上昇する)という、ありえない仮定がおかれ、年金財政が好転するはずだった。

現実→実質賃金は、わずかでも上昇して・・・いません。ましてやGDP成長率を上回るなんて夢物語でした。(当たり前だ)

想定→「マクロ経済スライド」という、現役人口の減少や平均余命の延びに合わせ、年金額を減額する仕組みを導入していた。

現実・マクロ経済スライドは導入されておらず、年金の減額はされていない。辻褄を合わせるため、賃金・物価が上昇したときに調整する新たな仕組みが導入されている。

結論・年金運用は想定通りには行っておらず。したがって立て直しが必要ですが・・・

保険料引き上げや基礎年金に対する国庫負担率の引き上げなどが考えられるが、難しいだろう。政治的に抵抗が少ないのは、マクロ経済スライドの強化と支給開始年齢の引き上げだ。。

年金の支給年齢が現在の65歳から70歳まで引き上げられると・・・年金の支給は現状65才からなのに、政府は70才まで働きましょう って言ってるくらいだから、もうほぼ既定路線でしょう。

支給開始年齢を70歳にまで引き上げる措置が取られる可能性は、十分ある。2年で1歳ずつ引き上げ、10年間かけて行うだろう。仮に、65歳への引上げが完了する2025年から開始するなら、2035年に完了する。

70歳支給開始の影響をフルに受けるのは、1965年以降に生まれた人々だ。今年56歳以下だ。
それらの人々は、単純に考えれば、5年間分の年金額に相当する額を2000万円に加えて、自分で用意しなければならない。
したがって、標準的な場合には、65歳の時点で、約3150万円の蓄積が必要ということになる。

ということでございました。 知らないほうが幸せだったのか、知って悩むのか、悩みどころですなあ。ま、これは「標準世帯」での話ですから、支出額も標準世帯より少なければ、もう少し楽にはなります。 その辺りが僕には解の一つかなあと。

参考記事です。現時点での高齢者の事例では・・・

総務省『2020年家計調査家計収支編』で、年金と貯蓄の取り崩しで生活しているだろう、高齢者夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上のみの無職世帯)についてみていきましょう。
・・・年間40万円ほど不足。足りない分は貯蓄の取り崩しをしないと暮らしていけない……それが一般的な高齢夫婦の実態のようです。
・・・単純計算、70代の5人に1人が「生活のために働かなければいけない」という状況に陥っています。
・・・男性65歳であれば平均余命は20.05歳、女性65歳であれば平均余命は24.91歳。年間40万円の赤字だとすると、20年で800万円、25年で1,000万円を貯蓄でカバーする計算です。

年金だけでは苦しいです…高齢者「年間40万円の赤字」の暮らしぶり

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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