新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者の待機期間について、厚生労働省は14日、オミクロン株の感染拡大地域では、現在の14日間から10日間に短縮すると発表した。介護や育児サービス、生活必需品の小売りなど、命や暮らしを支える「エッセンシャルワーカー」は、検査で陰性を確認し、最短で6日に短縮できるようにする。
オミクロン株では感染から発症までが3日前後と短いことがわかり、待機で働けない人が増えて社会機能がまひすることを避けるため、期間を短縮することにした。
エッセンシャルワーカーの待機は、PCR検査や抗原定量検査で6日目に陰性▽精度が落ちるが簡易に実施できる抗原定性検査キットで6、7日目に続けて陰性――のいずれかを満たした時点で解除できる。
エッセンシャルワーカーは行政、インフラ、物流など多岐にわたるが、政府の基本的対処方針に列挙された業種から自治体が判断する。医療従事者はこれまで通り、検査を毎日受けて陰性なら働くことができる。
※記事は長文なので、抜粋しています。
濃厚接触者待機、10日に短縮 エッセンシャルワーカーは6日でも 朝日新聞
社会機能が麻痺するとまずいから、同じ濃厚接触者でも、エッセンシャルワーカーは早く働いてもらわないと!※ という危機感を持つ意味はわかる。
でもエッセンシャルワーカーって、「現場サービス」に当たる人たちを含むわけだから、もし陽性(保菌)だった場合、感染を拡大させるリスクは普通のワーカーより大きいんだよね。ってことは、感染リスクを避けるためなら、ただエッセンシャルワーカーの待機期間を短縮させるのはまずい。
生活必須職従事者とも呼ばれ、医療・福祉や保育、運輸・物流、小売業、公共機関などが該当するとされます。コロナ禍ではオフィス業務を中心にリモートワークへの移行が進みましたが、現場でサービスやサポートを提供するエッセンシャルワーカーは、容易にリモートワークに切り替えることができません。
日本の人事部 エッセンシャルワーカーとは
だから、期間を短縮する代わりに、「検査で陰性を確認」することになっています!
一般ワーカーや一般人は10日間の待機ののち、検査なしで放免だから、これが感染リスクだけを考えるなら、一番安全策になりますな。 それを短縮するなら検査!ふむふむ。
ってことは、この検査で陽性を見過ごすことはないのか?(検査精度がどのくらいあるか?)ってことが大事ですよね。しかし、この記事では精度については書かれてません。
オミクロン株ではないけれど、感染した著名人が「一回目の検査では陰性だったけど、二回目の検査では陽性となり・・・」と報道されていた事例もあったことを覚えている方もいるでしょう。だからこれは、必要な情報のない、片手落ちの記事だと思うな。(他社と比較すれば、詳しく書かれた記事ですが) 不安になるじゃないか・・・
てか、それがわからないと、この短縮策が妥当なのか、そして、その適用範囲をどこまでにするのか、その判断を預けられる自治体は怖くて判断できないと思うぞ。
別に朝日新聞が悪いわけじゃなくて、発表した厚生労働省の資料が、定性的な評価しか記載してないんだけど。「検査すれば感染性は低下、もしくは低い」ってさ。そんな定性的評価はサルでもできる。
遺伝子検査でウイルス量の指標となるCt値が35を超える患者において感染性の低下が報告されている。また、ウイルス抗原検査で陰性が確認された場合、検体採取不良に伴う偽陰性の可能性が否定されれば、感染性は低いと考えることができる。
感染者の療養解除および濃厚接触者の健康観察の期間の短縮について
―オミクロン株の急激な感染拡大を受けてー
まあ、検査精度が100%ってことはありえないでしょう。
とするとこの制度を運用した場合の現実問題として、全国には数多くのエッセンシャルワーカー対象者がいるでしょうから、中には「本当は陽性だったんだけど、一回の検査結果は(偽)陰性でした」ってこともありえるでしょう。
仕方ないことなんだけど、そんな事案が発生した際には必ず騒ぎになるし、責任取るのは、判断した自治体なんだよね。「適用させるエッセンシャルワーカーの範囲が広すぎたんじゃないか」「複数回検査を受けさせるべきだったんじゃないか」と。
その根拠が、上記の定性的な記載で、いいのかなあ?
医療関係者の場合は「検査を毎日受けて陰性なら待機日数ゼロで働くことができる※。」ですね。この方法も万全ではないにせよ、何回か検査を受けることで検査の精度を高め、二次感染者を最小限に留めるという点において(そして「医療関係者には待機なんて贅沢はない」という鬼組織運営において)、現時点ではベストな方法なんでしょう。 ・・・医療関係者の増員考えたり、待機しながらオンライン診療するなど、根性だけでなく科学的な次善策も考えたほうがいいと思うよ・・・
ならば、本当に必要な、最低限のエッセンシャルワーカーの場合であっても、数日の待機に加え、日をおいた複数回の検査結果が陰性なら働くことができる とするほうがいいんじゃないかと思うのですが。
ま、それ以前に「本当に必要な最低限のエッセンシャルワーカー」と「ただのエッセンシャルワーカー」を切り分けるのが可能なのかという問題もありますけどね。会社でBCP(事業継続)計画とか作ってみると、それよくわかりますけど。
一口に「行政サービスを担う人材」はエッセンシャルワーカーと言ってみても、内実は不要不急部署だってあるし、あるいは正規職員だけど不要不急部署にいる人。非正規職員だけど要急部署にいる人もいます。でも非常時に非正規職員は強制招集かけらんない〜とかね。(そもそもエッセンシャル組織として組織編成が不適当なの。BCP作成以前の問題です・・・)
※まあ、一片の通達だけで、社会機能の麻痺が食い止められるほど、甘くはない。
医療従事者は濃厚接触者でも無症状なら毎日の検査で陰性の場合はいつでも出勤できていたのに、沖縄県では休職に伴う医療従事者の不足が深刻化している。・・・
国が通知しても休職者が相次いだ理由について、沖縄県の新型コロナ対策専門家会議座長の藤田次郎・琉球大教授(感染症・呼吸器学)は「学校や保育園が感染拡大で休校や休園になり、子どもを自宅で見なければならず、休まざるを得なくなったケースが多かったため」といい、
沖縄の医療従事者不足 濃厚接触による休職で深刻化 他地域でも警戒
このような状況になることは、最初から想定できたはず。本気で対策するつもりなら、それを含めたサポートシステムの再構築が必要だろうけど、そこは触らずに通達だけで済ますから、こうなるのかなと。もう一つ聞きたいんだけど、そもそもPCRや抗原検査の検査キットは、医療機関関係者が毎日検査できるだけ、足りているのかね?