「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」というアニメがありましたが、それのパロディタイトルです。パロディというより、悲劇というべきだろうけれど。
①ガソリン価格高騰対策として、石油元売り会社に1Lあたり36.6円の補助金(現在)
すでにかなりの補助金が投入され、ガソリン価格は高騰しないよう抑えられているのですが・・・減税という手段で我々消費者に直接投入されていないから、僕ら消費者は、あんまり有り難みを感じられないですよね。
景気って「気」の面も多分にありますから、消費者が実感できない価格高騰対策って、カネを使う割に効果低いと思うんだけど。
そもそも、ガソリン価格高騰時には1Lあたり25.1円を減税することができる「トリガー条項」という条文はできていたのです(実施には法手続きが必要)
最初からこのトリガー条項を使って減税してたら、消費者は拍手喝采。先の選挙で与党政治家は楽に選挙に勝てたと思うのに、政治家はなぜ減税ではなく補助金という手段を選択したのか、不思議でしょうがないです。
ま、政治家ではなく政府(役所)の立場であれば、トリガー条項を使った減税をやりたくないのはよくわかります。トリガー条項発動で減税する1Lあたり25.1円分の税金は、明確な課税理由がないまま課税され続けている(本来納める必要のない)大変けしからんものなのです。役所としては、一度減税すると理由がないから再度徴税できないリスクを恐れているのでしょう。
ガソリンには1リットル当たり24.3円の揮発油税(国税)と4.4円の地方揮発油税が「本則税率」として定められているが、租税特別措置として、さらに25.1円(国税24.3円、地方0.8円)が上乗せされていた。2008年には租税特別措置が廃止されたが、合計金額の53.8円が「当分の間」の暫定税率に据え置かれた。
もともと、ガソリン価格が高騰した時には特別税率の25.1円分を廃止する「トリガー(引き金)条項」が付いていたが、東日本大震災の復興予算を名目にトリガー条項が凍結されている。多くの識者から、これを解除すべきだ、という声が上がったわけだ。
過去の経緯から暫定税率の上乗せ分はいずれ廃止されるのが本来だったはずで、いったんトリガー条項でその分を減税すると二度と元に戻せなくなる、と考えているのだろう。
また、所管の経産省からすれば、補助金を元売会社に出せば、元売りに恩を売る形になり、役所としての権限強化につながる。減税してもその分価格が下がるだけなので、元売りから感謝されることはない。霞が関全体からすれば、予算規模は大きければ大きいほど、予算執行を通じた権限が増す。政治家にとっても話は同じで、補助金で業界に恩を売れば、選挙でも支持を得られる可能性が高まる。まさに、政官業の「鉄のトライアングル」の結束の結果だと言っていい。
絶対に「減税」はやりたくない…岸田首相が「ガソリン補助金」にこだわり続ける”危険すぎる理由”
政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」というところが、意味のわからん対策を立てて喜んでいます。
政府は15日、「物価・賃金・生活総合対策本部」(本部長・岸田文雄首相)の第2回会合を首相官邸で開いた。ロシアのウクライナ侵攻などに伴う物価高騰に対応するため、農産品の生産コスト上昇を抑える肥料の購入支援金創設や、電気料金の負担軽減を図る節電プログラムの実施などを決定。こうした対策の経費を賄うため、政府は月内に予備費の執行を決める方針だ。
肥料、電気代の負担軽減へ 岸田首相「物価高騰、最大限警戒」―対策会合・政府
②物価高騰に対応するため、農産品の生産コスト上昇を抑える肥料の購入支援金創設
意味不明なんですけど・・・ 消費者向けの物価高騰対策なら、農産品ではなく、最終製品である食料品を対象にすべきでしょう。そして、政府主導で食料品の価格を抑えたいなら食料品にかかる消費税を減税するのが普通の考えでは?
食料品には、海外で生産されたもの(輸入品)だって多くあります。それは無視して、国産のみ、それも農産原価の一構成要素に過ぎない、肥料購入の支援・・・最終品である食品価格の物価高騰対策としてどのくらいの効果が見込めるのか、だれか計算してよ?
もちろん農家が困っているというのは分かるけれど、困っている生産者は農家だけではないし、それは農業政策としてやるべきもの。物価高騰に対応するメニューとして適切なの?説明してよ岸田えもん。
③物価高騰に対応するため、電気料金の負担軽減を図る節電プログラムの実施などを決定。
電気料金の負担軽減を図ってくれる という前段の文章はありがたいんですけど、それが後段の「節電に協力してくれたらポイントさしあげます」と繋がらないんだよね。
一消費者として「物価高騰対策として節電します」というのはわかります。でもそれはミクロな話で、政府というマクロ対策を行うところが言うことじゃありません(セコすぎ)。マクロ的に言えば、電気料金の負担軽減って、高騰する電気料金をなんとか食い止めることでしょ。
具体的には、↓こうした動きに対し、オラオラ言うことでしょう。 前総理大臣は、通信業界にオラオラ言ってなんとかしたんだから、現総理大臣は電力・ガス業界にオラオラ言ってなんとかすべきでしょう。(ほとんどヤクザだけど)。無理なら自腹切って、電気料金にかかる消費税を無税にするとか、電気基本料金を国が建て替えるとか(貧乏西尾市でも、コロナ対応として市営水道の基本料金を数ヶ月無料にしたぞ)
電気・ガス料金に設けられている「上限額」。東京ガスは7月分から上限額に達し、超過分を自社で負担していたが、一般家庭向けガス料金の上限価格を10月分から段階的に引き上げると発表した。
電気・ガス料金「上限額」引き上げ…資源エネ庁が記載“制度の精神”に反する非情ぶり
電気・ガス料金の上限制度について資源エネルギー庁の解説には〈原燃料の価格が大幅に上昇した際の需要家への大きな影響を和らげるため、自動的に調整される料金の幅に一定の上限が設けられています〉とある。
「需要家」には一般家庭も含まれる。原燃料価格の高騰を理由に上限額をいじるのは“制度の精神”に真っ向から反していないか。
中部電力ミライズは26日、家庭向け電気料金メニューの一部で、燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」の上限を撤廃すると発表しました。
燃料の高騰を受け“上限撤廃”へ 電気料金の算出めぐる調整部分 中部電力ミライズ
これは、火力発電所の燃料が高騰していることを受けたもので、今年12月分の電気料金の算出から適用されます。
大手都市ガスや大手電力会社は、公益企業として価格変動の上限枠が設けてあったわけだけど、こうもあっさりそれを撤廃できるなんて・・・
④自賠責保険は値上げ
税金ではないけれど、地方在住者は車に乗らざるを得ず、ほぼ税金みたいなものです。
それはさておき、役所ってのは、ほんとヤクザ顔負けの組織です。自分は借金を返さず、それを国民に負担させて平気なんですから。こんなヤクザ組織じゃ、減税なんていうまともな政策実現はとても無理でしょう。
被害者救済のために積み立てられている自賠責7500億円のうち、6000億円がいまだに財務省から返還されていない。それも20年も前からである。一般会計の補填(ほてん)であり、まったくの目的外利用であることは明白だ。
こともあろうに政府は来年度、2023年度からの自賠責の値上げを決めた。6月9日に衆院本会議で賛成多数により可決、政府および財務省はいまだ6000億円を自賠責の積立金から借りたままにもかかわらず「交通事故の被害者支援を充実させるため」
として、最大1台あたり150円の値上げを決めた。つまるところ、日本国は6000億円を「すぐに返す必要はない。足りないのでユーザーからさらに徴収すればいい」そう考えていると受け取ってもらって構わない、という意思表示なのだろう。
「自賠責保険」値上げでドライバー大激怒! 積み立て6000億円踏み倒し、財務省はもはや脱法組織か
(当時、大手報道機関は「交通事故の被害者支援を充実させるため自賠責値上げ」としか報道してなかった。第4の権力ってなんでしたっけ?)
必要なときにはきちんと減税ができる、「まともな」海外政府が羨ましいです。
コロナ禍の始まった’20年にはイギリスやドイツで、日本の消費税に当たる「付加価値税」の税率を引き下げました。国民の生活を見て、税金もそのつど必要な見直しを行っているのです。
インフレ対策にサイボウズは15万円支給…政府は直ちに税率改善を
ところが日本政府は、税率などを変えるのは“ご法度”とばかり、税金には一切手をつけません。
これだけの悪手を打っても政権交代できる野党がいない ってのが我が国の不幸だと思うけれど、なんでそうなっちゃうんだろうねえ?
「自民党政治は最悪の政治形態といわれてきた。他に試みられたあらゆる野党政治を除けば」 ジャーチル