教育業界にも、経済原理導入したら?

今日、スマートニュースでニュースを読んでいたら、このような記事が隣接して配信されており、笑っちゃいました。 

  

日本の未来を考える 東京大名誉教授・伊藤元重 人手不足という好機
人手不足の深刻さを懸念する声が企業関係者からよく聞かれるが、データを見ても、日本が構造的な人手不足の状態であることが分かる。今年の春闘では30年ぶりの大幅な賃上げが実現した。・・・

賃上げが及ぼす影響にはいろいろな側面があるが、ここで特に注目したいのは賃金格差である。社会全体の賃金水準が上がる中では、大幅に賃上げを行う企業と賃上げができない企業の差が広がっていき、その賃金格差が雇用の流動化を活性化させる。人手不足が深刻化すれば、人を確保するため他よりも高い賃金を提示することが求められるが、全ての企業が大規模な賃上げをできるわけではない。業績の低迷している企業や業種の賃金は上がっていかない。そこで、賃金が高い業種に人材が移動していくことになる。こうした流れは賃上げのできない企業にとっては厳しい現実ではあるが、社会全体としては新陳代謝が進むことになる。すなわち、業績の伸びない企業や業種から伸び率の高い企業や業種への労働力の移動を促し、社会全体として労働の生産性を引き上げる。それが日本経済の成長力を高めることになるのだ。

産経新聞

日本経済や労働界の現状は、経済学理論に必ずしも従っているとは思えないけれど、理屈としてはこういうことのはず。

で、次の記事は、「業績の低迷している企業で、賃金が高い業種に人材が移動していく」典型業種についての「終わってる」記事。

みんなが休んだら回らない…深刻な教員不足、代替見つからず現場疲弊
「今日は掃除の時間はなしにしました。掃除中はふざけてケガをしたりするので危ないんだけど、監督できる先生がいないから……」。埼玉県内のある市立中学校の校長は、取材に訪れた記者に人員不足の苦渋を打ち明けた。・・・教員志望者を増やそうと、県教委は2022年度、大学生が教員を体験する「教師塾」を開始。免許を持っていて教職に就いていない「ペーパーティーチャー」を募るイベントも開いたが、即効性は望めない。

大学生向けの「教師塾」で県教委と連携する東京学芸大の佐々木幸寿教授(教育行政)は「長期的に教員の需給を推計して確保策を打っておくべきだった」と指摘する。即応策として▽校内や近隣の学校同士で、体育や音楽の合同授業をするなど、授業規模や担当の仕方を変える▽地域の専門家を把握しておき、教員免許を持たない人を登用できる臨時免許や特別非常勤講師、特別免許の制度を使う――などを挙げた。

毎日新聞

「監督してないと中学生は掃除しないからやっても無駄」 という話かと思いきや、「(中学生が)ふざけて掃除中にケガすることを教員が心配しなきゃならない」とは。幼稚園ならともかくねえ。 

「教師がそこまで心配してまで生徒に掃除させる」必要性はあるのか?やめたらどうか?という改革案は、出てこないのでしょうか?

学校で子どもが掃除するのは当たり前ではない

それはそれとして、教員不足の対策はもう、現場の効率化で解決できるレベルじゃないでしょう。経済学をもとに構造を変えるしかないんじゃないかと? 

経済学的に言えば、即効性のある対策として、例えば教員が充足するまで、教員の月給を上げ続けたらいいんじゃないかと思うのです。仕事きつくても、それに見合うだけの報酬があれば、なりたい人はいると思うんですよね。

一案として・・・教員はブラックだからなり手がない、でも教員も公務員の一種です。一般的には公務員って人気の職業ですよね。だったら、一般職の公務員の給与を下げて、教員の給与を上げてやれば、希望者も分散するし、均衡がはかれていいんじゃないでしょうか(需要と供給のバランスを取る)

大学生向けに「教師塾」を作るとか、効果不明の安上がりな対策でお茶を濁さないで、

教員養成大学の教職課程は「授業料無料。ただし何年か教員としてお礼奉公すること」とすればいいんじゃないかと。戦前の日本でこの制度を取っていたのですから、貧困化が進む現在日本でもそれを導入すべきかと。

師範学校は、卒業後教職に就くことを前提に授業料がかからないのみならず生活も保障されたので、優秀でも貧しい家の子弟への救済策の役割も果たしていた。師範学校→高等師範学校→文理科大学というコースをたどれば、学費無料で中等学校→高等学校→帝国大学というルートに匹敵する教育が受けられたため、経済的な理由で進学を断念せざるをえない優秀な人材を多く吸収した。

wiki

現代日本でも、海上保安大学校、防衛大学校とか自治医科大学など、専門家や国家公務員養成校ではそのような制度が導入されています。教員も専門職&地方公務員なのだから、その気になれば制度変更は無理ではないはずなんですが。まあ金の問題だけ。

でも、日本国って、そこに金を使わないことで有名なんだな。

日本の公財政教育支出の対GDP比は、先進国の中で最低であることが、経済協力開発機構(OECD)の報告書で明らかにされた。
 OECDの「図表で見る教育2008」によると、日本の公財政教育支出の対GDP比は3.4%。フランスの5.6%、英国の5.0%、米国の4.8%に比べ、大きな差があり、データがあるOECD加盟国28カ国中、最低の値となっている。
 教育段階別に見ると、初等中等教育では2.6%とデータがある29カ国中、27位。日本より下はギリシャとスロバキアの2.5%だけとなっている。高等教育では0.5%とデータがある29カ国中、最低だった。

科学技術振興機構

初等中等教育の教育支出なんてほぼ人件費ですよね。 それを限界までケチっている国が「異次元の少子化対策を実施してます」なんて、言ってることアホすぎん?

異次元の少子化対策を問う
POINT
■岸田首相が掲げる「次元の異なる少子化対策」の試案が3月に公表された。経済的支援の強化や夫婦が協力して子育てできる環境作りを重点課題とした。
■具体策として、児童手当の拡男性の育児休業取得促進などを挙げた。両立支援中心の従来の対策から幅を広げ、若い世代の多様なニーズに向き合っている。
■目玉となった児童手当の所得制限撤廃は有効性に疑問がある。親の経済格差による子供の教育格差を拡大させ、子育て経費をさらに押し上げる可能性がある。

読売新聞

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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