興味深い組織図

自民・公明と国民民主3党の幹事長がきょう、いわゆる年収「103万円の壁」について「178万円を目指して来年から引き上げる」などと合意したことについて、宮沢税調会長は「釈然としない」と苦言を呈しました。

自民・宮沢税調会長「釈然としない」 自民・公明・国民3党の幹事長合意に苦言

宮沢税調会長、財務省出身のエリート(つまり財務真理教のエリート信者、というより現段階の教祖に近いか)だし、減税に反対なのは妥当なところ。だからこのニュース自体には驚きなかったんですけど、

むしろ驚いたのが、党内一機関の会長が、党幹事長に苦言を呈したというところ。 党幹事長って2番目に偉いのでしょう。僕の感覚でいうと、「部長が専務に苦言を呈す」ていうような感じ。組織運営的にやばくねーの?って。

党則上総裁に次ぐ副総裁は常設の役職ではないため、副総裁が空席の場合は幹事長が党の実質的ナンバー2とされる。

wiki

自民党税制調査会 自民党で政策決定を担う政務調査会の一機関。

きょうのことば

政務調査会だって、幹事長の指揮下なんだろ?と思って自民党の機構図とか見てみたですよ。そしたら、うまく書けた組織図だな~って思いましたね。

自民党機構図

ぱっと見、「幹事長」と「政務調査会」「政調審議会」が同格、そして「政調審議会」の下に、税制を含む「調査会」があるわけだから、税制調査会会長は幹事長より格下なのかと見てしまいます。

がよく見ると、「政務調査会」「政調審議会」そして「調査会」は実線ではなく、破線で繋がれているんですよね。  たぶんここがミソ。「直接の上下関係はありません」ということの表れじゃないかな?

まあ、昔は自民党税調と言えば、すごい権力を持ってたから、この組織図はその時の名残(序列をあいまいに表現)かなって。

1980~2000年代、山中貞則が「税調のドン」として君臨。「首相に(税制改正を)判断する能力はない」として首相が何か口出ししようものなら「おしゃべり野郎」と言い放った。また、1986年に府令で設置が決まっている公式組織である政府税調と方針が対立したとき、記者から「政府税調を軽視しているのではないか」と聞かれた際、「軽視ではない。無視しておる」と発言している。2000年から2004年にかけて、これら長老議員の相次ぐ死去・引退によりかつてほどの独立性は薄れていった。

wiki

こんなぼろくそに言われる総裁(首相)ってつらいよなあ・・・。大日本帝国憲法下の首相と軍部(統帥権の独立)の関係みたいです。 税制決定権が独立してるんだから。

そういう意味で、よく考えられた組織機構図だ と感心した次第。ただ平常時はまだしも、緊急時(国会で半数割れした党)の機構として、これで大丈夫なんか?とは思います。まあ、僕は自民党支持者じゃないから、そこはどうでもいいけど。

にしても、自民党が国会で多数を占めていた時代ならいざ知らず、今のご時世で幹事長に苦言を呈するって、時流が見えてないのかな という気もします。いかに税制のプロだとしても、その判断は専門職(税務)の視点・立場にすぎません。

幹事長は企業全体の意思決定や管理・監督業務をする「専務」だと例えましたが、まあ専門職とは違う、もっと広い視点で判断を下していることに間違いはないでしょう。だとすれば、組織としてはその判断の方を重んじ、黙っているのが組織人の務めのような気もしますけれど。 

 与党過半数割れの下、かつて首相官邸も口出しできない「聖域」とされた自民税調の衰退ぶりは顕著だ。宮沢氏は記者団に「釈然としない感じは正直言ってある」と不満をあらわにした。「悔しいが仕方ない。これが少数与党だ」。自民幹部はあきらめ顔で語った。

補正予算、ぎりぎりで妥協成立 「少数与党」最初の関門―政権運営の厳しさ浮き彫り

ま、考えてみると、政党って独立企業経営者(政治家)の集まりなので、会社に例えるのはうまくない のかもしれませんが。

そのあたりの組織学は、ハーバード大の行政大学院なんかでは、どのように教えているのでしょうね。経営大学院とかじゃないと教えないかな?

大蔵官僚として
1974年、東京大学法学部第2類(公法コース)を卒業して、大蔵省に入省。1978年、米国ハーバード大学行政大学院を修了(行政学修士(MPA:Master in Public Administration)取得)

wiki 宮沢洋一

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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