マイナカードで便利になった?

 マイナンバー制度の導入のポイントは、次のとおりです。
国民の利便性の向上
 これまで、市区町村役場、税務署、社会保険事務所など複数の機関を回って書類を入手し、提出するということがありました。マイナンバー制度の導入後は、社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続が簡単になります。また、本人や家族が受けられるサービスの情報のお知らせを受け取ることも可能になる予定です。
行政の効率化
 マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。

総務省

先日、とある医療費免除手続きのため、市役所に行きました。医院からの紹介なので、医師の診断書とか保険証(マイナンバーカード)とか、必要なものはすべてそろっています。最初に行くのは「福祉課」です。

「申請書を書いていただきます。保険証はお持ちですか?あ、マイナンバーカードですね、読み取り機を用意しますね。」

と、出てきたのは・・・スマホじゃねーか。んでマイナアプリでマイナンバーカード格納の保険証を読み込んで・・・  「まずはマイナンバーカード裏にある個人番号をこちらに記入してください。 それから保険証の情報(マイナアプリで表示させた保険番号、保険の種類)をここに転記してください」

善良な市民である僕は文句ひとつ言わずに黙々とその作業をしたのですが、内心は毒づいてます「はあ? マイナンバーカードに収納されたデジタルデータを、紙にアナログデータとして人力転記ですと!デジタル化した意味ないじゃねーか、ふざけんな。」

悪夢はそれで終わりませんでした。 福祉課で「受領証」をもらって終わりかと思ったら、「医療保険に関わるので、保険課へお願いします。」と言われ、受領証に「保険課2番窓口」と書いた小さな紙を、クリップ止めして渡してくれました。なんつーか、アナログの極致ですな。  

保険課にて「変更届に記入をお願いします。保険証はお持ちですか、あ、マイナンバーカードですね、読み取りますので・・・以下同文」

結局、マイナカードをスマホで読み取り、保険情報のページを表示させ、それを紙の変更届に転記するという不毛な作業を再度やらされました。(個人情報だから、市役所職員は携われないんだろうと推察)

なんかね、総務省がマイナンバーカード導入のお題目として一応掲げている「国民の利便性向上とか、行政の効率化」ってどこ行っちゃったの?って感じです。「デジタルデータはデジタルのまま読み取れよ、紙に転記させる(人力アナログ変換)とか何やってんだよ。」ってがっくり来ました。

てか転記前提なら、老眼だとスマホの文字が読みにくいから、紙の保険証から転記する方が楽です。そもそも紙の保険証に普通に書いてある情報を表記させるためだけに、マイナポータル起動してマイナンバーカードを読み取らせ、個人の暗証番号を入れさせて・・・むしろ手間が増えてる世紀末現象。そこを自動で読み取れるようにするため、暗証番号でロックかけてるんでしょ? 何のためのテクノロジーなんだ・・・orz.

技術的には、容易に次のような処理をすることが可能でしょう。てか民間で気のある所はもうこのレベル。

「あ、申請ですね。ではマイナンバーカード読み取らせていただきます。はい、マイナンバーカードから必要情報を読み取り、すべての事項が記載された申請書(当課へ提出)と変更届(別課へ提出)ができました。原本はデジタルだけど確認とお客様控として紙に印刷しましたので、内容を確認ください。間違いがなければ受理させていただきます。本人確認済みですので変更届も今担当課へ転送されました。これで終了です。」

これが国民の利便性向上とか、行政の効率化ですよね。

これ、西尾市が特別遅れてるという話ではないと思うんです。いま全国の地方自治体で同種の無駄が山のように発生していることでしょう。市民からすれば、前にもまして役所窓口が混んでる!と思うし、受ける行政職員はもっと辟易していることでしょう。「こんな定型業務で無駄な時間使うより、もっと前向きな課題に取り組みたいよ。しかも紙ベースだった以前より手間も時間も使うデジタル化ってなんなの」と。それが毎日、毎業務で発生するわけです。

かくて、窓口職員が管理職になるころには、すっかり「デジタル嫌い」「デジタル非推進派」のバカ上司になって若手職員に嫌われます。だってしょうがないのです。彼が経験した限りデジタル化して楽になったことがなく、むしろ手間が増えただけでしたから。彼曰く「若手はデジタル化に夢を見てるんだ。彼らも経験を積めば実態がわかる」 あ、これ僕が行政職員だったときの実感(笑)。

もちろんこの改善には、システム改修やら個人情報保護やら部門間の壁、前例踏襲主義、いろいろ「大人の事情」があることは理解します。が、それを乗り越えることがデジタル化の本当の意義(利便性向上や効率化)なんですよね。それをしないで「(何のためか俺は知らんが)デジタル化しなければならない」と天命が下るから、屋上屋を架ける形でかえって無駄が増える「世紀末現象」がおこっているのです。

こんな中途半端にデジタル化を進めるくらいなら、「日本はデジタル化しません。アナログ化の範疇で効率を極限まで極めます」 と宣言したほうが、むしろ効率は良くなるんじゃないか(苦笑)。どのみち世界には置いていかれるけど、ガラパゴス島の閉じた生態系としては、その方が健全かも?

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください