三河湾でハマグリ増えるかな?

親戚から、ハマグリをもらいました。 この方、地元のさかな市場に毎週出かけ、お値打ちものがあると我が家にも届けていただけるのです。 ありがたやありがたや。

その時もらったのが地元産ハマグリです。ついでに一言。 「最近、よく市場で地元産のハマグリを見るんだけど?」と。 そう言った親戚と僕は顔を見合わせました。地元である三河湾は、アサリの産地としてとても有名なんですけど、地元にいても、ハマグリが大量に取れる(お値打ち品)という認識はなかったからです。

「ワシが子供の頃、アサリを採りに潮干狩りに行くと、アサリに混じってバカ貝やハマグリが混じってたことはあるから、昔からハマグリも三河湾にはいたんだけど、大量に取れるって聞いたことないなあ」

平成14年に全国で獲れたあさりの漁獲量は34,494トンでした。
うち愛知県の漁獲量は10,488トンで、都道府県別のランキングでは、千葉県を抑え日本一に輝きました。
西三河地域の漁獲量は6,239トンでした。これは、全国で獲れたあさり5袋のうち1袋は西三河産という計算になります。

幡豆漁業共同組合

 ただし近年では、三河産のアサリは資源量の減少と貝毒の発生により、壊滅的被害を受けています。

ちょっと調べてみると、最近は西尾近辺の三河湾でも、ハマグリが取れるようになっているようなのです。

西尾観光 > 潮干狩りを楽しもう!

一色海岸・・・アサリ資源は回復傾向にありますが、未だ海の栄養不足によりアサリ等貝類は小ぶりですのでご容赦ください。ハマグリやバカ貝・かがみ貝等様々な種類の貝類がとれます。

衣浦海岸・・・当潮干狩り場は、あさり資源の減少につき、はまぐりが主体です。全国でも有数の広い干潟!

西尾市観光協会

栄養不足が原因なのかな?とすると、ハマグリが増えているなら、説明がつかないような? ま、漁獲量も大差があるでしょうし、ここは専門家ではないのでよくわかりません。

一方で、三河湾でハマグリの資源量は増えているようだ という説もあります。

三河湾では,ほぼ消滅していたハマグリ資源が近年回復傾向にあり,潮干狩りなどで漁獲されるようになっている。これまで漁獲のなかった三河湾のハマグリについては,肥満度を始めとする基礎的な情報が示されていないことから,本報において蒲郡地先の干潟に生息するハマグリの肥満度を調査した。

三河湾・蒲郡地先干潟に生息するハマグリに見られた肥満度の季節変化  愛知水試研報

でも、なぜなんでしょう?一般的に知られる生物特性からは、ハマグリもアサリも近縁種で、汽水域の砂泥底を好むとのことで、アサリが減ってハマグリが増える理由はなさそうに思えます。

ハマグリ・・・マルスダレガイ上科マルスダレガイ科 干拓や埋め立て、海岸の護岸工事などによって生息地の浅海域が破壊されたため、昭和後期には個体数が急激に減少した。淡水の影響のある内湾の潮間帯から水深20メートルの砂泥底に生息。
アサリ・・・マルスダレガイ上科 マルスダレガイ科 汽水状態を好み、成貝は海岸の潮間帯から干潮線下10mほどまでの、浅くて塩分の薄い砂あるいは砂泥底に分布する。

wiki

ネット検索してもその理由を説明しているようなページは見当たらなかったので、自分でこんなことなんじゃ? と説を一つ作ってみました。理由は一つではなく、もっと複雑で複合的なものだとは思いますが。  

「閉鎖水域である三河湾の水温は、温暖化等の影響で以前より高温化している。ハマグリはアサリと比べると高温化した海域にも適応しやすいため、徐々に増えてきている」  かもね?

アサリ資源量の回復のために、アサリに関する様々な調査が行われている 。その中でも、生活史を踏まえた資源量の変動要因を把握するために、海底・干潟域に着底したばかりの稚貝(殻長 0.2~1mm、以下「着底稚貝」とする)、着底後に成長した稚貝(殻長 1~5mm、以下「初期稚貝」とする)を対象とした調査の重要性が指摘されている 。これは、アサリ資源量の維持・増大には、成貝の生息環境の保全だけでなく、着底稚貝・初期稚貝などの生活史初期段階のアサリが絶えることなく、連続して生残できる環境の維持・保全が重要なためである。


アサリの生残と温度との関係について、これまでにも成貝や稚貝を対象とした耐性試験の結果が既往の研究により報告されており、我々が行った着底稚貝を対象に室内での高温暴露実験でも、水温 35℃以上になると、短時間での斃死がみられ、時間の経過とともに生残率が低下することを確認した。

九州環境管理協会 研究報告  「野外の高温暴露験によるアサリ稚貝の高温耐性の検証」

ハマグリ着底初期貝は著しい高温耐性を有することが判明したので、以下に報告する。

養殖研究所研究報告 田中(1986)「ハマグリ幼生の沈着におよぼす水温の影響」

両論文の定義や細かい中身まで見てないのですが、幼生段階ではハマグリとアサリで高水温に対する耐性に違いがあるかも です。 海水温の方は・・・

愛知県海域の表層では水温が 10 年あたり 0.4℃上昇しており,海洋全体と比べて水温上昇率は大きくなっている.これは,瀬戸内海や大阪湾といった日本国内の閉鎖性水域における水温上昇よりも大きかった .この理由として,閉鎖性水域である伊勢湾は外海との海水交換が少ないことに加え,湾の水深が浅く,湾内の海水の熱容量が小さいことなどが原因として推察される.

愛知県環境調査センター所報 神戸(2020)「愛知県内の海域,河川及び湖沼の水温変動傾向と水質データの解析~地球温暖化の影響に関する考察~」

これは伊勢湾の事例ですが、その理屈なら三河湾は伊勢湾よりさらに内湾で湾の水深も浅いので、三河湾の水温上昇率は伊勢湾より更に高くなることが予想されます。

伊勢湾環境データベース

将来気候予測値

土木学会論文集(2019)「マルチモデルアンサンブルによる伊勢湾水温の将来変化予測と気候変化外力の影響分析」よ

そう言えば、三重県と愛知県の県境となる桑名市(伊勢湾沿い)は、古くからハマグリの産地として有名です。一時資源量は減っていたのですが、伊勢湾でも水温が上がっているのなら、ハマグリ資源量は回復しているかもしれません。そこの事例を見てみましょう。

桑名で漁獲される「ハマグリ」は、地元で「地(じ)はまぐり」と呼ばれ、伊勢湾の海水と木曽三川から流れ込む栄養豊かな河川水が入り混じる漁場で育まれる、内湾性の「ハマグリ」です。
 特に「焼き蛤(はまぐり)」は、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でも紹介されるなど、江戸時代から東海道の桑名の名物として知られていました。
 しかし、昭和40年代に3,000tあった桑名におけるハマグリ漁獲量は、高度経済成長期の生息環境の悪化で漁場が激減したことから、昭和50年代以降急激に減少して、平成7年には1t以下となってしまいました。なお、全国的にも内湾性のハマグリの漁獲量は減少していて、平成24年には絶滅危惧種Ⅱ類として環境省レッドリストに指定されています。
 このような状況の中、赤須賀漁業協同組合は持続可能なハマグリ漁業をめざして、漁獲数量制限の導入や、種苗生産や稚貝放流活動、干潟の保全、環境保全活動などに取り組んだ結果、近年の漁獲量は年間200t前後にまで回復し、若手漁師も増加しています。

三重ブランド

ふむ〜。一応辻褄はあっていそうな感じもしますね。ま、素人のお遊びはここまでです。 

って、ことでタイトルの質問に対する僕の答えは「増えるから、当分三河湾産のハマグリが楽しめそうですね(アサリは厳しいかも)」でした。あくまで素人予測ですからね。

個人的には、ハマグリよりアサリのほうが好みなのだけれど・・・でもこれからはハマグリ好きになれるよう努力します! これこそSDGsの精神?(170番目のターゲット「持続可能な地産地消」に該当!)

注;SDGsのターゲットは169です。念のため。

Ooohきっと来る~

北海道を旅行したことがある人たちは、「キタキツネは可愛いけど、触っちゃ駄目だよ」と言われたことがあるかもしれません。 北海道でアウトドアを楽しむ人たちは「水を生で飲んでは駄目」と言われたことがあるかもしれません。

それは北海道では、人も犬も感染する、危険なエキノコックスという寄生虫の危険性があるからです。ところが・・・そのエキノコックスが愛知県でも見つかったとな!

北海道には本州ではあまり知られていない致死的な寄生虫感染症である「エキノコックス症」があります。日本では北海道だけのものと思われていました。

ところが、近年、愛知県知多半島で継続的に見つかっており、8月の末からTwitterで話題になっています。


北海道の人はエキノコックスに対して、その怖さを理解しています。しかし、道外の人たちは、その危険性がよくわかっていないようです。

北海道の致死の危険性がある寄生虫疾患【エキノコックス症】が愛知県でも発見…忍びよる恐怖

僕は、大学時代に北海道に登山に出かけたことがあり、のどが渇いて、いかに流れる水が奇麗そうでも、その時生水を飲んだら駄目」と教えられエキノコックスについては知っていたのですが、だいたいこんな感じの疾患です。

  • 人がエキノコックスに感染すると、治療しないと死にいたることがある。
  • 経口感染する。感染したキツネやイヌに触ったり、その排泄物に汚染された沢水や山菜を生で食べたりすると感染の恐れがある。
  • 潜伏期がおよそ5~20年と非常に長い
  • 感染すると、多包条虫の包虫が肝臓で増殖。治療法は外科手術(直接取り除く)

詳しく知りたい人は、漫画「ブラックジャック」を見てください。エキノコックス(潜伏期間なしの、実際には存在しない「エキノもどき」ですが)に寄生されたブラックジャックは、他に外科手術ができる人がいない環境下、自ら開腹手術を行い、エキノコックスを駆除しています。  

まあ、適正に処理されれば回復できる疾患。ではあるんですが、「日本では北海道だけのものと思われている」現状の中、仮に愛知県で患者が出ても「エキノコックスが原因なので外科手術が必要」と素早く適切に判断できるか? これは難しいと言わざるを得ないかと。 

んで、愛知県のどこで出たのかな?

平成26(2014)年3月に愛知県の知多半島にある阿久比町で捕獲された野犬から、愛知県内では初のエキノコックスが検出されました。それを受けて、愛知県では県内のエキノコックス感染状況を把握するために、捕獲された野犬などのエキノコックスの調査を実施しました。・・・愛知県でのエキノコックス陽性犬は・・・計9例確認されています。・・・理由はわかっていませんが、エキノコックス陽性だった野犬の捕獲地域は、全て知多半島です。愛知県全域ではありません。

「理由は分からん」そうですが、中部国際空港経由でしょうね。下の地図で「知多半島」の半の右側にある島が空港島です。 札幌からの便も飛んでますし、海外からの便も来ますし。てか、初期の調査範囲から、行政がどこを起点と推察したかは明確かと思われますが・・・

いちおう現時点で「感染範囲は知多半島のみ」とのことです。が、野犬は動きますから、エキノコックスの生息域拡大は不可避なんじゃないかな・・・

今後本州でもエキノコックスの生息地域が拡大するのか気になります。それを考える上で北海道の事例が参考になります。

国立感染症研究所の「北海道のエキノコックス症流行の歴史と行政の対策」によると実はエキノコックスは北海道には元々いませんでした。・・・最初の人の症例は1936年小樽市在住の女性で、北海道北部の礼文島の出身者でした。感染源は1924年からの3年間に中部千島の新知島(シムシル島)から礼文島へ移入されたキツネに寄生していたものと推測されていて、つまり人為的に持ち込まれた寄生虫です。

おい、この記事、北海道に持ち込まれたエキノコックスの生息域がその後拡大したか書いてないじゃん。これだと考える上での参考事例にならないですね。

ま、リンク先の「北海道のエキノコックス症流行の歴史と行政の対策」によれば

北海道全域の媒介動物調査が行われ, 1993年にはほぼ全域への流行の拡大が確認された。現在, 北海道では毎年400頭前後のキツネが解剖検査され, 毎年の新規患者数等の情報とともに公表されている。そこではこの20年にわたり, 北海道全域の40%前後のキツネが感染していること, また, 年間の本症の新規患者数が20人前後で推移していることが報告されている。

という事なので、「その後順調にエキノコックスの生息域は全道に広まりました。」ということでしょう。  ということは・・・「Ooohきっと来る~」貞子こわーい。

とりあえずは山野にでかけても、(あまりいないと思うが)生水を飲まないように!ということ、「愛知県にもエキノコックスがいる可能性あり」ということを知識として知っておくことが大事かと思います。もし5~20年後に激しい腹痛に襲われ医師にかかったとき、判断情報の一つになるから。 それ以上の心配は、いましても仕方がありませぬ。