今年の夏「も」やっぱり暑いのか?

今日(8日)の中日新聞記事を読んでてそう思いました。結論から述べると、暑くなりそうですね・・・今年の夏も、大変だなあ。

まずは1面の記事。

政府は6月7日、今年の夏と冬は電力需給が極めて厳しい状況にあるとして、企業や家庭に節電を呼び掛けると発表した。数値目標のない節電協力要請は2015年以来7年ぶり。
国内の電力供給は自然エネルギーの導入に伴う火力発電所の休廃止に3月の福島県沖地震の影響も重なり余裕のない状況が続く。「10年に一度」の猛暑や厳冬を想定した場合、7月は東北、東京、中部エリアで電力供給の余力を示す予備率が3.1%と厳しくなる。

政府、夏の節電を要請 「12年度以降で最も厳しい」

様々な理由で、電気供給力に余裕がないことも確かだけれど、政府が「10年に一度の猛暑」を想定した結果として、7年ぶりに節電を呼びかけると。

政府だって、回避できれば不人気な呼びかけなぞしたくないでしょうから、「猛暑になる可能性が高い」と考えているのだろうと思いまして。暑くなればエアコンガンガン使うから、電力需要量が急速に高まると。

そういう目で新聞を読んでると、27面に「迫る真夏 エアコン品薄」(これは半導体不足+上海封鎖が原因)という記事が来て、ヤレヤレと思う隣に「平年より暑くなりそう」 という記事も載っていました。いろいろ記事が(出来事が)連動してるのだな。

中部六県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀)の夏は、平年より暑くなりそうだ。熱中症の救急搬送者は五月以降、急増しているが、今後さらに増える恐れがある。
 消防庁によると、五月一〜二十九日の中部六県の搬送人数(速報値)は計三百二十八人で、前年同期(百八十三人)の二倍近くになった。このうち、各県別の最多は愛知の百二十七人で、前年同期(九十一人)の一・四倍。滋賀は前年同期比三・八倍の五十三人だった。
 気象庁によると、六〜八月は中国大陸から張り出すチベット高気圧と太平洋高気圧がともに平年より勢力を北寄りに広げ、日本付近は暖気に覆われやすいとみられる。このため、全国的に平年より暑くなる見込みだ。

平年より暑くなりそう 室内の熱中症対策は

気象庁の原文はこちら。 3ヶ月予報だけど、5,6,7月の分しか見つけられませんでした。まあ、8月も同様 ってことなのかな。 気象庁→夏は暑い

 予報のポイント
暖かい空気に覆われやすいため、向こう3か⽉ (05⽉〜07⽉)の気温は北・東・⻄⽇本で⾼いでしょう。
予想される海洋と⼤気の特徴
地球温暖化の影響等により、全球で⼤気全体の温度が⾼いでしょう。
海⾯⽔温は太平洋⾚道域の中部から東部では低い⼀⽅、太平洋熱帯域⻄部で⾼い⾒込みです。このため、積乱雲の発⽣は太平洋⾚道域の⽇付変更線付近で少ない⼀⽅、太平洋熱帯域⻄部で多いでしょう。
これらの影響により、チベット⾼気圧は北側で強く、上空の偏⻄風はユーラシア⼤陸から⽇本の東にかけて平年より北を流れやすいでしょう。太平洋⾼気圧は北への張り出しが強いでしょう。

気象庁 | 季節予報解説資料

JAMSTIC(海洋研究開発機構)の季節ウオッチも見てみましょう。地球の季節長期予測には、大きな熱容量を持つ「海洋」の影響は大きいですからね。 JAMSTIC→夏は暑い

日本の夏は気温が平年より高く、降水量が平年より少なくなる見込みです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の情報に十分に注意されてください。

原因の1つとして、海水温の変動が挙げられます。太平洋の熱帯域では、中央部から東部で海水温が平年より低く、西部で高くなる、ラニーニャ現象 のような状況が続く見込みです。インド洋の熱帯域では、東部で海水温が平年より高く、西部で低くなる、負のインド洋ダイポール現象 が発生し、極めて強く発達する見込みです。

2022年5月号 今年の夏は?

部屋にエアコンない人は、早めに買っておきましょう。 あとは・・・できるところでは、できるだけマスクを外して、熱中症になるリスクを下げましょう。

今月に入って、学校で運動中に熱中症の疑いで生徒らが集団搬送されるケースが相次いでいる。
 大阪市中央区の大阪女学院中学・高校では2日、生徒約1300人が参加する体育大会が行われ、生徒29人と保護者1人の計30人が体調不良を訴え、救急搬送された。同校によると、ほぼ全員が参加する「応援合戦」の最中で、学校関係者は「応援合戦を含め、競技中はマスクを外すよう指導していた」と説明した。
 3日には、兵庫県尼崎市の市立立花中学校で体育大会の練習中、生徒22人が吐き気や頭痛などを訴え、病院に搬送された。約570人が行進の練習中だった。ほぼ全員がマスクを着用していたといい、同校は「十分な間隔を確保できないため、マスクを外すよう指導していなかった」とした。

体育の授業中に児童12人熱中症か…学校で集団搬送相次ぐ、ほぼ全員マスク着用の学校も

この手の話、最近多いですね。 今やコロナより、熱中症のほうが危険な気がしますね。特に子供にとっては。 十分な間隔が確保できないなら、マスクつけるつけないは別として、「体育大会で行進」なんてやめればいいのに。軍隊だから無理か。

6月23日参考記事

「今年の夏はかつてないほどの超酷暑になります。例年1500人以上が熱中症で亡くなりますが、今年はそんな数では収まらないでしょう。梅雨明けから10日間がとくに暑くなるので注意が必要です」(気象予報士の森朗氏)

梅雨が明ける7月末に日本列島に「殺人熱波」が訪れる。原因となるのはラニーニャ現象と負のダイポールモード現象が同時に起こること。森氏が解説する。

「まずラニーニャ現象によって西太平洋の海水温が上昇し、太平洋高気圧の北への張り出しが平年より強くなっています。さらに今年は東インド洋でも海水温が上がり、チベット高気圧が東へ張り出しています。これが負のダイポールモード現象です。つまり、日本上空が2つの高気圧に挟み込まれる形になる。たとえるなら真夏に分厚い布団を2枚重ねているような状態になります」

7月末に東京で42℃ 今年の夏は超酷暑!

ラニーニャと負のダイポールモード現象により、酷暑の可能性あり  だそうな。やれやれ。

明治用水頭首工の漏水

矢作川から農業用水・工業用水を取水している、明治用水の頭首工で大規模な漏水が発生し、取水ができなくなる事態が発生しています。 明治用水の受益地は、西三河南部(安城市、豊田市、岡崎市、西尾市、碧南市、高浜市、刈谷市、知立市)で、流路400km長、灌漑面積約7000ヘクタールと広大です。

よりによって、今は田植え時期で、水田は一番水が必要な時期なのです。まあ、「事故は最悪のタイミングで起こる」という感じの、マーフィの法則通りか・・・

にしても、地元にずっと住んでいて、明治用水は「農業用水だけ」 と勝手に信じ込んでいたので、トヨタ系の工場であれほど使われていたとは、報道されて初めて知りました。まあ、時代の流れを考えると、当たり前の事象ではあったのですが。

☆今の施設は、1958年に完成し、1975年から工業用水としても使われていたようです。

何が原因で漏水が起こったのか、どう対応するのか 今朝の地元紙(中日新聞)をもとに少し考えてみたいと思います。

①「頭首工」って何よ? ダムとは違うの?

答え。同じです。 同じ口径の機銃を、陸軍が「機関砲」、海軍が「機関銃」と読んでたくらいの違い。専門家的には使い分けるのだろうけど、一般にはどっちでもいいレベル。

頭首工とは、河川から農業用水を取水する目的で設置する施設の総称

農業水利施設の機能保全の手引 頭首工 農林水産省

ダムとは、 河川の流水を貯留又は取水するため設置された高さ十五メートル以上の構造物

河川法 国土交通省

②なんで漏水したの?

今朝(5月19日付中日新聞1面の解説によれば、明治用水頭首工は、フローティングタイプの取水施設だそうです。

取水堰の形式には岩盤の上に直接築造するフィックスドタイプと浸透性地盤の上に築造するフローティングタイプがある。

農業水利施設の機能保全の手引 頭首工

透水性地盤・・・ぶっちゃけ土砂の上に建造されているので、今回みたいな漏水が起きやすいことは当然想定されています。そこで、漏水が起きないよう、川の底面と側面を、コンクリートでガチガチに固め、水が浸透(漏水)。しないようにします。

なのに漏水?

もうちょっと考えてみましょう。まず、取水堰の一般的な配置は、下の図のような形状になります。

農業水利施設の機能保全の手引 頭首工

これは、頭首工付近を真上から描いた図になります。川の流れは、図の上から下へ。 中央に「固定堰」とあるのが、頭首工の本体です。 その上下流の川底には、「エプロン」と呼ばれるコンクリート製の覆いが設置され、川の側面にはやはり「護岸」と呼ばれるコンクリート製の覆いが設置されます。

一般的に言って、この護岸(側面)とエプロン(底面)の接合部は、漏水の危険箇所になりやすい場所です。隅っこだから正直施工もしにくいです。弱点であることはわかっているから、止水効果を高めるため、護岸の基礎は深めに入っていたり、さらに止水矢板を挿入しているとは思いますけど。

そのうえで、明治用水頭首工について、新聞に掲載された漏水箇所の写真を見てみると・・・

中日新聞

漏水の穴は、随分岸に近い場所です。穴はエプロンと河床の境目もしくは先に述べた護岸とエプロンの境目にできたと考えるのが妥当ではないかと思います。

後者の場合、正確には左岸側には魚道が設置されているようなので、このコンクリート魚道の壁(の基礎)とエプロンの接合部あたりの施工が甘く、穴ができてしまったのかも。魚道(河川環境に配慮した施設)は、1956年当時に設置しておらず、後付かもしれませんね。その場合、特に弱部になりやすいでしょう。

このあたりが、一番有り得そうな可能性だと思います。

③原因究明と復旧の見通しは

新聞記事によれば、 「今回穴が空いたと見られる場所の近くでは、昨年12月にも小規模な漏水が発生。砕石を投入するなどして漏水は一割ほどに減ったが、完全には防ぎ切れなかったという。漏水のメカニズムなど詳しい原因はわからないままだった」そうです。

そして、今回の事象は5月15日に漏水を確認、16日には砕石を投入し穴を塞ごうとしたが漏水は続き、17日に規模が大きくなり・・・ ということだったそう。

記事は、「対応が甘さが問われそう」と書かれており、それはそのとおりなんだけど、もし自分が当事者だったとして、そのタイミングで何ができたか と考え込まずにはいられませんでした。たぶん、僕もそれ以上の対応はできなかったのではないかと。

応急処置として砕石を投入し(根本的な処置ではないけれど)、漏水の九割は止められたのであれば、まあ上出来。あとは経過観察しかないかなあと思ってしまいました。

根本的な対策としては、水を反対側に回し(仕切りの仮設締切構築が必要だろうね)、穴周辺の水を切り、現地を直に見ないと、原因究明も本格的な対策工事もできないでしょう。

でも、工業用水として常時使われている状況では、事前にその対応が取れたかどうか。非常に厳しい判断になります。

工業用水に常時使われており、完全に水を止めて確認したり工事をしたりすることができない状態だった」

中日新聞 頭首工を管理する東海農政局の局長 談

これからの対応は、これをやるしかないでしょうね。 ポンプを多数設置して、ある程度の量の水供給を続ける一方、現場の穴付近は水を抜いてドライな状況にする。そのうえで原因究明と穴を塞ぐ工法の立案と実施、再度水をためてみて、結果良好なら本格的水供給の復旧 という流れでしょう。 かなり時間がかかるでしょう。 何台ポンプを設置したとしても、頭首工の取水能力までは、なかなか追いつかないでしょうし。

④他事例への波及

先の機能保全の手引によれば、エプロンや護岸をどう監視・維持管理していくか の記載も書かれており、言われていることはそのとおりなのですが・・・

エプロン
性能低下はコンクリートのひび割れや摩耗などコンリート自体の劣化と、洗掘やパイピングによる不同沈下など構造物の外形的な状態に着目する。・・・。空洞化が進行した場合、大規模な対策工事が必要となるので、できるだけ早期に空洞化の発生を把握する必要がある。
護岸・取付擁壁
取付部の護岸や高水敷保護工は背面土砂や基礎土砂の吸出しによる変形やひび割れ変状が生じやすい。水中部の洗掘が著しい場合は、土砂の吸出しの危険性が高いため、水中部の洗掘状況を把握しておくことが望ましい。

農業水利施設の機能保全の手引 頭首工

純粋な農業用水取水施設なら、農閑期に水を抜いて、これらの点検を行うことは可能でしょう。

しかし、常時水を使う工業用水を併用する施設では、おいそれと水を抜くことができませんから、「早期に空洞化の発生を把握」とか「水中部の洗掘状況を把握」ってどうやるんだよ? って現場の声が聞こえてきそうです。

今回の漏水事象の原因が、施設の老朽化が一因か まではわかっていませんけど、その可能性は否定はできません。その場合、高度成長期に整備されたその他多くの類似施設においても、同様の事象が発生することは避けられないわけです。 現実問題としてどうやって施設の状態を把握していくか・・・マニュアルで対応できない場合も多々あるはず・・・広範囲に影響のある問題だと思います。

追記

2022年5月19日 12時07分

大規模な漏水で水をくみ上げることができなくなっている愛知県豊田市にある取水施設ではポンプの設置が進められ、愛知県などによりますと、工業用水は19日午前10時から取水が可能になった一方で、農業用水の確保は19日中は難しいということです。

愛知 大規模漏水の取水施設 ポンプ設置で工業用水は取水可能に

先程入ってきたニュースだけど、この対応は「非常にまずい」気がします。トヨタなど、大企業への水供給は経済にとって非常に大事なことだけど、 あくまで農業用水施設で、そこに後のりで工業用水事業がのっているわけです。 それを「工業用水は先に復旧、農業用水はまだ無理」っていう優先度では、農家側の反発は避けられません。

水の恨みは恐ろしい・・・というか、水利権の分配は多分に「経済合理性」だけで測ると取り返しのつかない自体になりかねません。東海農政局はもちろん、そのあたりは十分理解しているでしょうから、どこかから天の声が降ってきたのか・・・苦渋の決断だっとは思うのですが。