大本営日銀部発表

大本営発表って、先の大戦中に軍部(大本営・陸軍部、海軍部)が行った戦況の公式発表のことです。公式発表なのにウソついてたことが敗戦後に明らかになり、「政府や有力者などが発表する、自分に都合がよいばかりで信用できない情報発信を示す」慣用句となっています。

・・・大本営が行った戦況の公式発表である。太平洋戦争初期は戦果を概ね正確に発表していたが、珊瑚海海戦(1942年5月)の発表から水増しが始まり、以降は戦況悪化の実態と乖離した、虚偽の大戦果発表を行なった。敗戦後に実態が明らかになり、戦後は政府や有力者などが発表する、自分に都合がよいばかりで信用できない情報発信を示す慣用句として使われるようになった。

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そして現代。大本営日銀部の発表がこちら。

[東京 5日 ロイター] – 日銀が、中小企業にも広く賃上げが波及しているとの調査結果をまとめたリポートを月内にも公表する見通しであることが分かった。賃金と物価の好循環を目指してきた日銀にとって、追加利上げの是非を判断する際の材料の1つになるとみられる。

「中小企業にも賃上げに広がり」、日銀がリポートで公表へ=関係筋  ロイター

「中小企業にも広く賃上げが波及」という時点で眉唾(笑)。その調査方法は支店による聞き取りだそうで。 

中小企業は労働組合の組織率が非常に低く、連合の集計値では中小企業にまで賃上げが波及しているのか把握は困難との見方が多い。このため、日銀の各支店が地域の中小企業から賃上げの聞き取り調査を進めてきた。 

同上

エリート日銀の各支店が聞き取り対象にする中小企業って、地方の「優良大企業」じゃね? ま、いずれにせよ日銀の支店長会議で上げられる調査なんて、戦前の大政翼賛会と変わらねー。軍部(首脳部)の意向が「勝利(利上げ)」にあるんだから、それに反するような調査が出てくるわけなす。

大政翼賛会を中心に太平洋戦争下での軍部の方針を追認し支える体制を翼賛体制という。

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まあ調査が「まとも」なのかはこれ以上つっこまないけど、この情報が「大本営発表」で悪質だと思ったのは、以下の点。

日本の賃金が前年より上がったとしても、それだけで喜んではいけない。重要なのは「実質賃金」も上がっているかどうかだ。実質賃金が下がっていると、私たちの購買力は低下する。

知ると恐ろしくなる「実質賃金」の推移。購買力の低下に備えるためには ?  大和ネクスト銀行

「実質賃金が下がっていると、私たちの購買力は低下する」これがまさに今起こっていること。

厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質で前年同月比2.5%減だった。減少は24カ月連続で過去最長だった。給与総額は伸びているものの、物価高に追いつかない状態が続いている。

実質賃金3月2.5%減 24カ月連続マイナス、過去最長  日経新聞

実質賃金の低下、これは大本営発表記事の言い方を使えば「賃金と物価の悪循環」と表現できます。彼らのロジックは「賃金と物価の好循環が起こっているので利上げを行う」ですから、そのロジックに従うなら利上げはできないはず。ま、ロジックがどうであろうと彼らの結論は決まってますけど(現実がどうなのかは問題じゃない)。

賃上げにのみ触れ、実質賃金の増減には触れない時点で、これが「政府や有力者などが発表する、自分に都合がよいばかりで信用できない情報」という「大本営発表」の定義に当てはまる と考えた次第。

問題なのは、そんな「自分に都合がよいばかりで信用できない情報ばかり」を垂れ流す政府や有力者がいる国にいる人たち。どうしたらいいんだよ・・・先の大和ネクスト銀行の記事は資産運用を進めています。

実質賃金の低下が将来的に常態化するとは限らない。しかし、そうなることも想定して事前に対策を取っておくことが重要だ。考えられる対策の一つが「資産運用」である。投資でお金を増やすことができれば、購買力の低下に対する影響を抑えられる。

知ると恐ろしくなる「実質賃金」の推移。購買力の低下に備えるためには ?  大和ネクスト銀行

んで、株式投資や外貨預金、金 (ゴールド) 投資、不動産投資などに分散してみようというのはまあいい。けど初心者はまず外貨預金からどうよ?というダメ結論でしたが(笑)

ま、若い人たちを中心に本能的に「こんな大本営発表する国に投資してもダメ」ってことで、ひそかにキャピタルフライトが始まっており、最近の円安(円を売ってドル資産を買う)の理由の一つがそれだ という説まであります。

野口悠紀雄先生は、大規模なキャピタルフライトと、それによる円安原因説は否定されていますが(海外投資額と為替市場取引額の桁が違うため)、真にキャピタルフライトが生じてしまう可能性とその悪夢についても述べられてます。 ちょっと一読しておいた方が良いのかも・・・

円が危機的なレベルにまで急落した原因について、様々な説明が行われている。その1つとして、新NISAによるキャピタルフライトが原因だとの説がある。
 ここで、「新NISA」とは、2024年1月から始まった株式投資などへの非課税措置。また、「キャピタルフライト」とは、家計や企業が、自国通貨建て資産を売却して、ドルなどの強い通貨建ての資産に乗り換える資金の海外逃避である。
 もし個人レベルでのキャピタルフライトが起きているのであれば、日本経済にとって極めて深刻な事態だ。しかも、新NISAという政府の政策によって国家的危機が引き起こされたのだから、由々しき事態だということになる。この問題は、国会でも議論された。

・・・

以上で見たように、現段階では、キャピタルフライトによる円安は生じていない。

しかし、以上で述べたことは、今後ともキャピタルライトが起らないことを意味するものではない。まったく逆であって、いつ何時、大規模なキャピタルフライトが生じてもおかしくない。なぜなら、現在の為替レートは、すでに危機的な円安水準であるからだ。
キャピタルフライトは、国民の自国通貨への不信任の表明であり、深刻な危機だ。
キャピタルフライトによって円安がさらに進行すれば、輸入物価が高騰して、国内物価が高騰する。いま生じている物価高騰など比較にならない激しいインフレが発生するだろう。


その場合、ドル建て資産に転換した人々は購買力を維持できるが、円建ての資産を保有し続けていた人々の購買力は低下する。そして、生活は困窮する。 これは、まさに国を破綻させる大問題なのである。
これは、決して架空の話ではなく、開発途上国では現実に生じていることだ。このような悪夢の世界が日本に到来することは、何とか阻止したい。しかし、日本の金融政策が現状のままでは、これが現実のものとなる可能性を決して否定できない。

新NISAが円安の元凶だというのか? まだキャピタルフライトは起こっていないが……

・キャピタルフライトは、国民の自国通貨への不信任の表明であり、深刻な危機だ。

・ドル建て資産に転換した人々は購買力を維持できるが、円建ての資産を保有し続けていた人々の購買力は低下する。そして、生活は困窮する。 これは、まさに国を破綻させる大問題なのである。

日本国民が、自国政府や有力者を信頼できなくなって久しいですが、自国通貨への不信任も現在進行形じゃないかなあとも思います。

《「論語」顔淵から》政治は民衆の信頼なくして成り立つものではない。孔子が、政治をおこなう上で大切なものとして軍備・食糧・民衆の信頼の三つを挙げ、中でも重要なのが信頼であると説いたことから

民信無くば立たず  goo辞書

今後近いうちに、国内の買い物においても外貨決済することが得になるような時代が来るのではないかとも思ったり。 現在では無理なのかな

うむ、この記事↓読んでみたけど、読めないな・・・

国内でもクレカ「ドル払い」利用で激安になる 2つの注意点
公開日:2019/03/27 06:00 

ミッション!「国内で米ドル決済にチャレンジせよ!」公開: 2016.02.08

金融所得増税の予感・・生かさぬように、殺さぬように   

この辺のニュース記事を並べてみると、将来の「金融所得増税」が見えてきそうですね。 

政府は公的年金に上乗せする私的年金のiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)について、掛け金の上限引き上げを打ち出す。運用次第で老後の所得を増やせる仕組みを拡充し、岸田文雄政権が掲げる資産運用立国の実現につなげる。

iDeCo掛け金の上限引き上げ 政府検討、資産運用後押し 5月22日日経新聞

自民党は、所得に応じて徴収される医療や介護の保険料の算定に、株式配当などの金融所得を反映する仕組みの徹底に向けた議論を始めた。25日、プロジェクトチームの初会合を開いた。現在は確定申告をした人のみ保険料に反映され、不公平との指摘があった。見直しによって未申告だった人の保険料が増える可能性がある。算定の事務を担う自治体の負担が増えるなど課題も多く、2028年度までに可否の検討を進める。

金融所得で保険料増を検討 医療介護、不公平見直し  4月26日共同通信

5年前に発表された、老後の30年間でおよそ2000万円が不足するといういわゆる「老後2000万円問題」に、最近の物価高が直撃しています。専門家が計算したところ、不足額は倍の4000万円ほどになる可能性が出てきました。

「老後2000万円問題」もはや「4000万円」と専門家が分析 円安、物価高が直撃 5月13日テレ朝

ストーリーはこう。「国民は必死に働いて、NISAやidecoとかの公的制度(天下り先でもある)を使って老後不足額を自ら貯め運用すべし。 運用がうまくいけば利益にかかる税金はお目こぼししてやる。損したら・・・知らん。運用した自分の責任だ。   その不足額が2000万円だか4000万円だか知らんが(将来のインフレ率によるので)、その額に見合う原資分まで限度額は上げてやらう。その金で各自生きよ。 ただし、不足額を超えて積み立てるゆとりあるもの(不届きもの)にはお仕置き。増税!」

そもそも岸田代官も所得倍増させて今より幸せになろう! と新興宗教の教祖みたいなことは言っておらず、「家計の安定化とか将来の年金不足の解消が目的」と身もふたもない話を語っていたのだから、言動一致ってか、地に足のついた話ではあります。これが現実社会ってもんですわ。

資産所得倍増プランとは、国民の資産形成を促進し、経済の活性化を図る岸田政権の目玉政策だ。具体的にはNISA(少額投資非課税制度)の非課税枠拡大や、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢引き上げなどを通して、家計の安定化や将来の年金不足の解消を目指している。

岸田政権の目玉政策「資産所得倍増プラン」のメリットとリスク  日経ビジネス

「地に足のついた政策を確実に実施する政治家や官僚の皆さんに従える僕らは幸せだなあ」とは思えず、将来の不安におののく不届きな国民は「けいあんのおふれがき」をよく読み、この国の統治要諦を学べばよいのじゃ。その時代とお上の方針は全く変わっておりませぬ。舞い上がる一同、「ず(頭)」が高い!ひかえおろー。」

江戸幕府が、農民の生活を統制するため、1649年に定めたとされているのが「慶安の御触書(おふれがき)」です。32条からなる御触書の主な内容は、「幕府の出す法令を守り、役人に従うこと」、「朝から晩まで、常に気を抜かないで仕事に励むこと」、「麦・粟・稗(ひえ)などの雑穀を食べて、米を食いつぶさないようにすること」、「衣服は、麻と木綿に限ること」などです。江戸時代、幕府や藩は、農民が生活のゆとりを残せないほど、厳しく年貢を取り立てました。「百姓は、生かさぬように、殺さぬように」あるいは「百姓と胡麻(ごま)の油は、絞れば絞るほど出るものなり」という言葉が、それを物語っています。

NHK

鎖国時代とは違い「国産の米を食べて、高い輸入品の小麦を食いつぶさないようにすること」「衣服はユニクロと無印に限ること」等の違いはありますけど、基本、現代も状況は変わってないですよね~(実際には少なくとも幕府の統治はそこまで絞っておらず「天領」と呼ばれた幕府領民は、それなりに富を蓄えたんですけど。)

ちなみに引用したNHKさんはなぜが書いていませんが、触書の最後には「年貢さえ滞りなく納めれば、百姓ほど安気なものはない」って書かれているんです。 いまの言葉に直せば「税金さえ納めれば、一般国民ほど気楽なものはない」ってこと。表には出せないけど、統治者の意識としては、現代だってそうでしょう。

国民は、その税金が安気に納められないから「やってらんねー。」と怒っているんですが、統治者と非統治者(国民)、この二者がどこまで行っても交わらないことはユークリッド幾何学も証明していることです。

政治上の二つの勢力が平行であるとは,これらの 2意見をどのように延長しても決して交わらないことである。 

まあ。イデコ限度額の引き上げも、金融所得増税もたぶん早々に実施されることでしょう。どの代官も伝統宗教である財務真理教の仰せのまま ですから。

諦めて、やれることをやりましょ。 例えば、利がついていて売る予定のある商品は金融所得増税が決まる前に売っておく。今、株高円安傾向なのは間違いないし・・・あとは増税決まった後にむやみに売買しなくて済む(納税機会を減らす)ような定番商品に買い替えとくとか。

ちなみに僕は、金融増税が決まる前に、大昔に購入して利益がたっぷり出ていたETFを売ることにしました。→「i シェアーズMSCI Kokusai ETF」(TOK):米国市場に上場する、日本を除く先進国株式のETFです。

まだ日本人が一般口座でしか米国上場ETFを買えず、しかもオルカンとかS&P500連動とかの「最終兵器ETF」が買えなかった時代に泣く泣く買った遺物でございました。  

参考 先進国株式インデックス → 全世界株式(除く日本)→ 全世界株式インデックスに至るまでの長い道のり  投資信託クリニック

自分の投資方針(アメリカ偏重)とは若干違う商品だったので、いずれ買い替えようとは思っていたのですが、売って利益確定して税金支払うのが嫌で・・・主力商品だからそれなりに利が乗ってまして、なかなか踏ん切りがつかず・・・

でも今となっては買う人もおらず、ゆえに出来高が低く、繰り上げ償還が心配されるレベル・・・なんだそう。

純資産残高は「2億ドル」程度、日本円で300億円くらいしかなく、
何より出来高が衝撃的です。「694口」(4月19日時点)
これは、繰上げ償還を心配しないといけないレベルでしょう。

どうしてETFでは『(日本を除く)先進国株式』があまり見受けられないのか?  投資信託クリニック

一日の出来高が「694口」って・・・僕その倍持ってんだけど・・・ 数日かけてすべて売り切りました。 来年の確定申告、かなりメンドウ(利益計算をすべて自分でやって納税申告、そしてかなりの額納税しなきゃいけない)。けど、繰上げ償還になったらなったで、大変そう。詳しくは分からないけど・・・ネットで調べると「それ前に売れるなら売った方がいい」との説が有力そうなので、これを機会に重い腰を上げました・・・

*参考追記 

現代日本に生きるなら、やはりこの国の統治指針を読んでおいて損はなさそうですぞ。ひろゆきさんの指摘も、要約してますけど、どうぞ。

元記事を読めば、じゃあこのクソ社会で何を目指すべきなのか、それもおぼろげながら見えてくるんじゃないでしょうか。 

僕としては①日本を脱出する。国内に残るなら、無理ない方法で②「億り人(できれば低所得・金融所得長者)」を目指す。 ということかなと。 まあ、人により、その方針にはいろんな考え方があるとは思いますが。・・・僕は後者を目指してはいます。

2ちゃんねる創設者のひろゆきさんの著書『税弱な日本人からふんだくるピンハネ国家の不都合な真実』(宝島社)より、一部を紹介する――。
■徳川幕府の「百姓は生かさず殺さず」
江戸幕府の農業政策を表す象徴的な言葉として「百姓は生かさず殺さず」というものがありました。
 要するに、お百姓さんには贅沢をさせないが、日々の暮らしに困らない程度のお金は残せるくらいにしておくのが、当時の政策としては最良だったということです。
■現在の日本社会でも同じことが行われている
 この時代の言葉にもう1つ、「百姓と胡麻の油は、絞れば絞るほど出るものなり」というものがありますが、ギリギリまで税を搾り取って政権の安定を保っていたわけです。
 これってまさに、現在の日本の社会でも同じことが行われているのではないでしょうか。                   ■「億単位の金融資産を持つ人」は絞り取られない
一生懸命働いて年収1200万円くらい稼いでいる人からは搾り取り、その一方で、億単位の金融資産を持っている人たちは、それほど苦労もせずに稼ぎ、なおかつ政府から搾り取られないという構図が出来上がっているのです。


 このように現在の政府の政策は、庶民がお金持ちになる道を閉ざしてしまっているのです。徳川時代から続く伝統で、国民が有産階級になれないように仕向けていると言っても過言ではありません。

「年収1200万円超は金持ち」という前提がおかしい…ひろゆき「日本では頑張る人ほど税金を搾り取られる」