金融所得増税の予感・・生かさぬように、殺さぬように   

この辺のニュース記事を並べてみると、将来の「金融所得増税」が見えてきそうですね。 

政府は公的年金に上乗せする私的年金のiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)について、掛け金の上限引き上げを打ち出す。運用次第で老後の所得を増やせる仕組みを拡充し、岸田文雄政権が掲げる資産運用立国の実現につなげる。

iDeCo掛け金の上限引き上げ 政府検討、資産運用後押し 5月22日日経新聞

自民党は、所得に応じて徴収される医療や介護の保険料の算定に、株式配当などの金融所得を反映する仕組みの徹底に向けた議論を始めた。25日、プロジェクトチームの初会合を開いた。現在は確定申告をした人のみ保険料に反映され、不公平との指摘があった。見直しによって未申告だった人の保険料が増える可能性がある。算定の事務を担う自治体の負担が増えるなど課題も多く、2028年度までに可否の検討を進める。

金融所得で保険料増を検討 医療介護、不公平見直し  4月26日共同通信

5年前に発表された、老後の30年間でおよそ2000万円が不足するといういわゆる「老後2000万円問題」に、最近の物価高が直撃しています。専門家が計算したところ、不足額は倍の4000万円ほどになる可能性が出てきました。

「老後2000万円問題」もはや「4000万円」と専門家が分析 円安、物価高が直撃 5月13日テレ朝

ストーリーはこう。「国民は必死に働いて、NISAやidecoとかの公的制度(天下り先でもある)を使って老後不足額を自ら貯め運用すべし。 運用がうまくいけば利益にかかる税金はお目こぼししてやる。損したら・・・知らん。運用した自分の責任だ。   その不足額が2000万円だか4000万円だか知らんが(将来のインフレ率によるので)、その額に見合う原資分まで限度額は上げてやらう。その金で各自生きよ。 ただし、不足額を超えて積み立てるゆとりあるもの(不届きもの)にはお仕置き。増税!」

そもそも岸田代官も所得倍増させて今より幸せになろう! と新興宗教の教祖みたいなことは言っておらず、「家計の安定化とか将来の年金不足の解消が目的」と身もふたもない話を語っていたのだから、言動一致ってか、地に足のついた話ではあります。これが現実社会ってもんですわ。

資産所得倍増プランとは、国民の資産形成を促進し、経済の活性化を図る岸田政権の目玉政策だ。具体的にはNISA(少額投資非課税制度)の非課税枠拡大や、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢引き上げなどを通して、家計の安定化や将来の年金不足の解消を目指している。

岸田政権の目玉政策「資産所得倍増プラン」のメリットとリスク  日経ビジネス

「地に足のついた政策を確実に実施する政治家や官僚の皆さんに従える僕らは幸せだなあ」とは思えず、将来の不安におののく不届きな国民は「けいあんのおふれがき」をよく読み、この国の統治要諦を学べばよいのじゃ。その時代とお上の方針は全く変わっておりませぬ。舞い上がる一同、「ず(頭)」が高い!ひかえおろー。」

江戸幕府が、農民の生活を統制するため、1649年に定めたとされているのが「慶安の御触書(おふれがき)」です。32条からなる御触書の主な内容は、「幕府の出す法令を守り、役人に従うこと」、「朝から晩まで、常に気を抜かないで仕事に励むこと」、「麦・粟・稗(ひえ)などの雑穀を食べて、米を食いつぶさないようにすること」、「衣服は、麻と木綿に限ること」などです。江戸時代、幕府や藩は、農民が生活のゆとりを残せないほど、厳しく年貢を取り立てました。「百姓は、生かさぬように、殺さぬように」あるいは「百姓と胡麻(ごま)の油は、絞れば絞るほど出るものなり」という言葉が、それを物語っています。

NHK

鎖国時代とは違い「国産の米を食べて、高い輸入品の小麦を食いつぶさないようにすること」「衣服はユニクロと無印に限ること」等の違いはありますけど、基本、現代も状況は変わってないですよね~(実際には少なくとも幕府の統治はそこまで絞っておらず「天領」と呼ばれた幕府領民は、それなりに富を蓄えたんですけど。)

ちなみに引用したNHKさんはなぜが書いていませんが、触書の最後には「年貢さえ滞りなく納めれば、百姓ほど安気なものはない」って書かれているんです。 いまの言葉に直せば「税金さえ納めれば、一般国民ほど気楽なものはない」ってこと。表には出せないけど、統治者の意識としては、現代だってそうでしょう。

国民は、その税金が安気に納められないから「やってらんねー。」と怒っているんですが、統治者と非統治者(国民)、この二者がどこまで行っても交わらないことはユークリッド幾何学も証明していることです。

政治上の二つの勢力が平行であるとは,これらの 2意見をどのように延長しても決して交わらないことである。 

まあ。イデコ限度額の引き上げも、金融所得増税もたぶん早々に実施されることでしょう。どの代官も伝統宗教である財務真理教の仰せのまま ですから。

諦めて、やれることをやりましょ。 例えば、利がついていて売る予定のある商品は金融所得増税が決まる前に売っておく。今、株高円安傾向なのは間違いないし・・・あとは増税決まった後にむやみに売買しなくて済む(納税機会を減らす)ような定番商品に買い替えとくとか。

ちなみに僕は、金融増税が決まる前に、大昔に購入して利益がたっぷり出ていたETFを売ることにしました。→「i シェアーズMSCI Kokusai ETF」(TOK):米国市場に上場する、日本を除く先進国株式のETFです。

まだ日本人が一般口座でしか米国上場ETFを買えず、しかもオルカンとかS&P500連動とかの「最終兵器ETF」が買えなかった時代に泣く泣く買った遺物でございました。  

参考 先進国株式インデックス → 全世界株式(除く日本)→ 全世界株式インデックスに至るまでの長い道のり  投資信託クリニック

自分の投資方針(アメリカ偏重)とは若干違う商品だったので、いずれ買い替えようとは思っていたのですが、売って利益確定して税金支払うのが嫌で・・・主力商品だからそれなりに利が乗ってまして、なかなか踏ん切りがつかず・・・

でも今となっては買う人もおらず、ゆえに出来高が低く、繰り上げ償還が心配されるレベル・・・なんだそう。

純資産残高は「2億ドル」程度、日本円で300億円くらいしかなく、
何より出来高が衝撃的です。「694口」(4月19日時点)
これは、繰上げ償還を心配しないといけないレベルでしょう。

どうしてETFでは『(日本を除く)先進国株式』があまり見受けられないのか?  投資信託クリニック

一日の出来高が「694口」って・・・僕その倍持ってんだけど・・・ 数日かけてすべて売り切りました。 来年の確定申告、かなりメンドウ(利益計算をすべて自分でやって納税申告、そしてかなりの額納税しなきゃいけない)。けど、繰上げ償還になったらなったで、大変そう。詳しくは分からないけど・・・ネットで調べると「それ前に売れるなら売った方がいい」との説が有力そうなので、これを機会に重い腰を上げました・・・

*参考追記 

現代日本に生きるなら、やはりこの国の統治指針を読んでおいて損はなさそうですぞ。ひろゆきさんの指摘も、要約してますけど、どうぞ。

元記事を読めば、じゃあこのクソ社会で何を目指すべきなのか、それもおぼろげながら見えてくるんじゃないでしょうか。 

僕としては①日本を脱出する。国内に残るなら、無理ない方法で②「億り人(できれば低所得・金融所得長者)」を目指す。 ということかなと。 まあ、人により、その方針にはいろんな考え方があるとは思いますが。・・・僕は後者を目指してはいます。

2ちゃんねる創設者のひろゆきさんの著書『税弱な日本人からふんだくるピンハネ国家の不都合な真実』(宝島社)より、一部を紹介する――。
■徳川幕府の「百姓は生かさず殺さず」
江戸幕府の農業政策を表す象徴的な言葉として「百姓は生かさず殺さず」というものがありました。
 要するに、お百姓さんには贅沢をさせないが、日々の暮らしに困らない程度のお金は残せるくらいにしておくのが、当時の政策としては最良だったということです。
■現在の日本社会でも同じことが行われている
 この時代の言葉にもう1つ、「百姓と胡麻の油は、絞れば絞るほど出るものなり」というものがありますが、ギリギリまで税を搾り取って政権の安定を保っていたわけです。
 これってまさに、現在の日本の社会でも同じことが行われているのではないでしょうか。                   ■「億単位の金融資産を持つ人」は絞り取られない
一生懸命働いて年収1200万円くらい稼いでいる人からは搾り取り、その一方で、億単位の金融資産を持っている人たちは、それほど苦労もせずに稼ぎ、なおかつ政府から搾り取られないという構図が出来上がっているのです。


 このように現在の政府の政策は、庶民がお金持ちになる道を閉ざしてしまっているのです。徳川時代から続く伝統で、国民が有産階級になれないように仕向けていると言っても過言ではありません。

「年収1200万円超は金持ち」という前提がおかしい…ひろゆき「日本では頑張る人ほど税金を搾り取られる」

オルカン投資人に興味深い?記事

NISAとかでインデックス投資をしている方には非常に興味深い記事ではないでしょうか。

おそろしい…「世界株指数さえ買っていれば大丈夫」という思い込み 世界株一本足打法を襲う“3つのワナ”【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】

そんなあなたは、下記の記事を読んでどう感じましたか?

この記事の問題提起部分1を要約するとこんな感じ。

世界株インデックスに投資をすることで「世界経済の成長に投資できる」といわれるけれど、実際には国ごとの投資配分を株式市場の時価総額の大きさに比例させているため、時価総額が大きい米国株への投資が約64%になっている。しかし、世界経済に占める米国経済のウエイト(名目GDP)は約27%に過ぎない。つまり、こう世界株インデックスは「世界経済への投資」というよりも、「米国経済への重点投資」といった方が実態に近い 本当の意味で分散を図るための対策は・・・

それについて僕が感じたことは以下のようなことです。

この認識は正しいです。でもこれは現在の時価総額ランキング上、米国企業が健闘しているから偏重しているだけで、将来的に時価総額ランキングの順位が変われば、それに合わせ投資配分も変わります。それが世界株インデックスなんで。

だからアメリカ企業が大没落し、例えばインド企業の時価総額がめっちゃ上がれば、インド株への投資が70%になっちゃうことだってあり得るのです。 

つまり世界株インデックスは「インド企業の時価総額がこの先上がりそうだから」という理由でインド企業への投資配分を増やすことはしませんが、「インド企業の時価総額が現状上がっている」と認識すればインド企業への投資配分を増やします。時価ですから。 

で、そもそも世界株インデックスを買う人は、理由はどうあれ、とどのつまり「アメリカ企業が大没落するか、この先も繁栄するのか」「インド企業が大躍進するのかしないのか」「中国企業が・・・」「あるいは日本が・・・」という予測なんてできない だから、予測は諦め時価に追従(最善ではないかもしれないが、次善を目指す) という考えを持っている人なので、この問題提起はおせっかいなんじゃ? というのが僕の感想です。

「アメリカ企業はまだこれからも繁栄するっす」と予測する人は米国インデックスも買えばよいし、「インドが」と思えばインドインデックスとか個別株とか買えばいいんですから。

次に、問題提起部分2を要約するとこんな感じ。

2000年以降の約22年間の経済成長率を見ると、米国は約151%にとどまり、世界経済の同約202%を下回ります。世界経済の成長は、主に新興国、特に中国、インド、東南アジアなどのアジア新興国の成長率が著しい。でも世界経済の約29.7%を占めるアジア新興国の株式は、世界株インデックスには約7.8%しか組み入れられてない。新興国買いなはれ。

なるほど一理ありそう。でも、各国の経済成長率と各国の証券市場の時価成長率ってそもそも相関あるの?  身も蓋もない言い方をすると、経済成長率の高い国(新興国)に株式投資する投資家は儲かるのでしょうか?

ってことで、5年分のアメリカ株インデックス(VTI)、世界株インデックス(ACWI)、新興国株インデックス(VWO)のチャートを見てみましょう。

うん、緑の線(VWOー新興国インデックス)だけ、動きが違います、

もっと長期で見ても同様の傾向です。 詳しく知りたい人は、Yahoo FinanceでVTIのチャートを表示していろいろいじってみてください。左上の「comparisons」というところにテッカー(日本で言うコード番号)入れると別の指標との比較ができますし、下にある表示期間を変えることもできますんで。

答えは「新興国への投資はこれまではたいして儲けられなかった」というべきでしょう。まあ、僕は「これからも儲からないんじゃないか」とも思います。つまり新興国の株式市場の時価成長率は経済成長率ほど伸びないだろうなって。

理由は、新興国の証券市場(東証とかナスダックみたいな)や株価って、大人の事情から、経済成長率をダイレクトに反映させられてない仕組みになっているからじゃないかと。

例えば、インドって経済成長率の高い有望な国だよね・・・とは思いますが、そもそもインドの証券市場って日本を含め海外の個人投資家を相手にしてなくて、個別株を直接買えないんですよ。

で、どうするかというと

米国市場を通じてなら、一部のインド個別株を買える。インド上場の個別株式を裏付けに発行された米預託証券(ADR)が米国に上場しており、ADRを保有すれば、実質的にインド企業の株主になれるのだ。・・・ADRとして買えるインド株は少なく、ごく一部のグローバル企業の超大型株だけだ。・・・代表的なのはソフトウエア開発のインフォシスなどだ。IT業界は、インドが国際競争力を持つ代表的な産業の一つだ。ただし、SBI証券の齊木良さんは「ソフトウエア大手は外需が中心で、インド経済の成長を狙う意味ではど真ん中ではない。ADRでは大手銀行株の方が注目」と語る。・・・
 個別株が買いにくいインド株投資を本気でやるなら、投資信託の利用も欠かせない。その際、Nifty50指数などに連動するインデックス型投信では経済成長の果実を十分に取れない可能性がある。
急成長している新興国では、時価総額の小さい企業の爆発的な成長も投資の醍醐味だが、インデックス型では既に大きな数十銘柄にしか投資できない。また、米国に比べてアナリストの調査が行き届かない新興市場は埋もれた有望株が多く、アクティブ型投信の優位性が高くなる。

インド株にはこう投資する ADRや投信の選び方  日経新聞

実はインフォシスのADRは数年前にしばらく持っていました。が、全然株価上がらなかったです。そもそもインドの経済成長率を取り込む本命じゃないのか(まあその通りですね)・・・比較的安価なインデックスファンドだとあんまり儲からないかもしれないそうだし、 アクティブファンドだって儲かると決まったわけじゃないうえに、手数料は確実に高い。

まず寺銭の高いギャンブルは儲からない(笑) いやこれダメだろ。次に新興国Bー中国。 

中国には急速に成長している大きな民間セクターがあり、経済産出量と雇用の面では半分以上を占め、さまざまな経済指標で民間企業が占める割合も上昇している。しかし、民間企業は一般的に小規模だ。中国の大企業は圧倒的に国有が多く、資本集約的な産業のほとんどを国有企業が支配している。
 国の資産の中で国有企業が占める割合は、他のどの大国と比べても中国の方がはるかに大きい。国有企業はその産出量に比して、はるかに多くの経営資源(金融資本、土地、エネルギー)を使っている。また、国有企業は政治権力構造においても不可欠な部分になっている。マクロ経済政策や業界規制の手段として、相対的に弱い政策や規制手段の代わりに利用されるのだ。

経済成長に悪影響があるが…中国が「国有企業優遇政策」を進めるワケ

国有企業は無駄遣い多く効率悪し。そのうえ株主(経済)優先ではなく国家(政治)優先とのこと。そりゃ国有だからどっち向いてるかは自明です。

 政府の都合によりアリババを潰したり、儲け度外視でEVを海外に輸出させたり、中国は特にひどいですけど、中国以外でも新興国では同様の構図になっている場合も多そうですね。 

結局経済成長率が高くても、利益がそのような大人経費に使われてしまい、 株主に配られる利益は少なくなる という構図ではないかと。  越後屋とお代官様の関係です。  そういうのは先進国でももちろんありますけど、 比較すれば代官様の横暴が抑えられ、その分、株主への分け前も多くなるってことかと。

てなことで新興国投資はイマイチだろって思います。記事では、それを含めアメリカ偏重を防ぐ対策として

新興国投資、外国債券、社債・海外REIT(株式と相関が低いと考えられる)・日本格安株や小型株、REITへの分散投資を進めています。

「それってあなたの商売ですよね」(笑) 有益情報もあるから、いいんだけど。

結局、米国企業を含め先進国の大手企業は新興国でも事業展開をしているだろうから、新興国に投資しないでも間接的にその経済成長を取り込めるだろうし、世界株インデックスの中には日本の会社も含まれるんで、まあとりあえずそれ買っとけばいいんじゃね って気がします。

もちろん投資が趣味なら、世界株式インデックスと相関が低そうな債券や小型株(インデックスにはあまり入らない)を入れてもいいとは思いますけど。