墓ハ神聖ニシテ侵スヘカラス

卑弥呼の墓? 箸墓古墳を「透視」調査、宇宙線使い

奈良県立橿原考古学研究所は9日、邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)の墓との説がある同県桜井市の箸墓(はしはか)古墳(全長約280メートル、3世紀後半)で、物質を透過する宇宙線「ミューオン」を利用して敷地外から内部の様子を探る調査を実施していることを明らかにした。 宮内庁が天皇・皇族関連の施設として立ち入りを厳しく規制する「陵墓」でミューオンを使った調査は初。古墳の実態解明につながるか注目される。

・・・ミューオンを使った調査は同県斑鳩町の春日古墳や同県大淀町の石神古墳でも実施され、いずれも内部の空洞を確認。エジプトでは、クフ王ピラミッドに未知の巨大空間があることが分かった。

毎日新聞

宇宙線を使った遺跡の調査です。技術的には面白そうな話だな とは思うんだけど、仮に結果として空洞が見つかったとしても、自然崩落かもしれないし、最終的には立ち入り調査できなければ学術的に意味なくないすか?むなしい・・・

ただし、これは研究所の責任じゃないです。『宮内庁が天皇・皇族関連の施設として立ち入りを厳しく規制する「陵墓」 だから』です。

高松塚古墳キトラ古墳は調査できたのに、他はなぜダメなんだろう。

邪馬台国の存在は、中国の歴史書「魏志」に記載されているんですけど、そのその歴史書を編纂した魏王朝の創始者、曹操の墓が見つかったとニュースになりましたね。 (「三国志」の曹操です)

2009年に発見された「曹操の遺骨と墓」が本物と断定される

 中国河南省安陽にある、2009年に発見された「魏(ぎ)の曹操(そうそう)」の墓ではないかとされる遺跡について、河南省文物考古研究院が本物の曹操の墓であり、また遺骨も曹操本人のものであると見てほぼ間違いない、と発表したという。

財形新聞

こんなニュースが流れると、「卑弥呼の墓? と言われる遺跡を調査したい」と言うのは学者としては当然、というか考古学や日本史の発展のためにも是非やるべきことだと思うんですけど、なぜ学術調査も厳しく規制されるんだろう。静かに眠っていてほしい という遺族の意向でもあるのかな・・・

 もちろん簡単な問題じゃないことは分かっていますが、組織として管理する宮内庁の意向ではなく、歴史学を専門とし、遺族代表に相当するであろう徳仁さんに意向を聞いてみたい気がします。(←今上陛下です)

※表題は、大日本帝国憲法第三条のパロディです。現在は無効化されているはずです。僕の理解が正しいなら・・・

この条文では「天皇の神聖不可侵」(天皇の尊厳や名誉を汚してはならないこと)を規定している。また天皇の尊厳や名誉を汚してはならない為に55条において「国政は国務大臣が輔弼し、その責任を負う」となっている。

法解釈としては、無答責の法理の根拠とされ、不敬や身体を害する行為が不敬罪として刑罰の対象になり、また、天皇はあらゆる非難から免れることを意味している。

大日本帝国憲法第3条

河川管理と陸軍工兵隊

意味の分からんタイトル・・・ではないでしょうか?まあ、おもにアメリカ合衆国のお話ですし。

河川管理って、日本国内では誰がやるか知ってますか? うん、行政ですね。すごく簡単に言うと、でかい川の重要な区間は国の機関が、すごく小さな川は市町村が、それ以外の川は県が河川管理をしています。 

西尾市で具体的に一例を挙げると

  • 矢作川の管理は国の機関(国土交通省中部地方整備局豊橋河川事務所)
  • 矢作古川や北浜川主要部の管理は愛知県(愛知県建設局河川課)
  • 北浜川上流部の管理は西尾市(西尾市建設部河川港湾課)

んでは、アメリカ合衆国の連邦政府機関で日本の「国土交通省」に相当する役所はどこかと言うと、内務省と陸軍工兵隊( United States Army Corps of Engineers )です。 

日本の国土交通省も戦前は内務省の一部でしたから、アメリカでも内務省が管轄するのはわかります。けど、陸軍工兵隊ってれっきとした軍隊ですよね ・・・

日本にから見ると、なんでこの分野を軍事組織が担当しているのか興味を覚えますよね。その理由はいったい? 

世の中にはそんな奇特なことに興味を持つ人が(河川屋以外に)いるのでして、関連した論文までネットで公表されてます。

玉井良尚 「アメリカ軍の戦略的水管理の起源を探る」 立命館大学地域情報研究所紀要

内容は読んでいただければ と思いますが関係ある所だけ触れると「当時のアメリカは国内の大河川を平時の輸送路としてだけでなく、 米英戦争の教訓から戦時輸送網として非常に重視していた。ゆえに、軍隊組織である陸軍工兵隊に航路としての大河川の管理と改修の権限を与えた」ということのようです。このころの「アメリカ連邦」政府は「小さくあるべき」とされてきたので、この仕事を連峰政府の機関が実施することが決まるまで、すったもんだあったようです。 

また戦時の輸送路としての河川の重要性を示す例として、「南北戦争時に南部を貫くミシシッピ川を北軍に封鎖された南軍は、主要生産物である綿花の国外輸出だけでなく南部諸州の物流や兵站補給が滞ることになり、南部が経済的困窮に追い込まれる軍事的手段になった」ことをあげています。 なるほど※。

アメリカ陸軍工兵隊について

そんなこんなの歴史的経緯から、アメリカでは大河川の管理を陸軍工兵隊に任せてるわけです。その範囲はミシシッピ川が主とは言え、全国規模。その組織概要はなかなか分かんなかったんだけど、ネットでいい資料を見つけちゃいました。

 河川環境管理財団 米国陸軍工兵隊「河川水理学」エンジニアリングマニュアル調査報告書 河川環境管理財団が、工兵隊のエンジニアリングマニュアルを翻訳した際の現地調査記録のようです。アメリカ陸軍工兵隊という組織についてネットに落ちてる日本語で書かれたものは、これが一番詳しいんじゃないでしょうか。

河川環境管理財団 米国陸軍工兵隊「河川水理学」エンジニアリングマニュアル調査報告書 P14あたり

ふーん。河川管理と洪水防御は工兵隊の仕事で、水質保全や動植物の保護は環境省が主なのかぁ。日本は全部河川管理者の仕事だから、そのあたりは違うなあ。それから地方政府のダムでも、洪水防御の機能が入ると国(工兵隊)が管理をするのかあ。これも日本と違うね。

工兵について

工兵は、陸軍における戦闘支援兵科の一種であり、歩兵、砲兵、騎兵に並ぶ四大兵科の一つである。陸上自衛隊においては施設科と呼ばれる。

工兵の主な任務は、敵前での工作を任務とする戦闘工兵(陸上自衛隊では「戦闘支援」)と、作戦全般に寄与するより大規模な建設工兵(陸上自衛隊では「兵站支援」)の2つに大別される。  

 wiki 工兵

戦闘工兵をアメリカ軍でイメージすると、アフガニスタンとかイラクで、埋められた地雷を探知し処分する部隊・・・ですかね。 その部隊を退役した主人公がうまくやれなくて戦友を失い、そのトラウマに苦しむ・・・みたいな映画がありましたね。 自衛隊で言えば、「戦時中に投下された不発弾が発見され、自衛隊が処理しました」というニュースでの実働部隊は、ここでしょう。

ずっと触れてきた陸軍工兵隊は、まさに建設工兵の平和時の姿です。日本でも昔は自衛隊が道路建設とかを請け負ってた時代があります。田舎に行くと通称「自衛隊道路」ってのがありますからね。似たようなものです。

※南北戦争と戊辰戦争期(明治維新あたりの戦)とは歴史的に関連があります。南北戦争終結(1865)で大量に余ったエンフィールド銃が、中国(太平天国の乱)や日本(戊辰戦争1868)に大量に流れ込み、それを主力に戊辰戦争は戦われたのです。 が、日本には関東から東北へ流れるような大河がなく、兵站輸送に利用されなかったので? 明治政府での河川管理は日本陸軍工兵隊ではなく、内務省土木局でやられるようになったのかしらん??