本気で地方移住させたい?

 8月30日、女性が結婚のために地方に移住する「移住婚」を支援する方針について、自見英子地方創生担当大臣は、事実上撤回すると表明した。 「政府は当初、地方創生などの一環として、東京23区から“移住婚”する女性へ最大60万円の支援金を支給する新制度を導入しようとしていました。これがSNSで大炎上。性別で分ける不公平感や金額についての批判があったことから、政策を見直すことになったのです」(全国紙政治部記者)・・・

Xでは《本気で一極集中を是正したいと考えてるなら嫌味でも何でもなく、まずは影響力の強い省庁が率先して地方に行くべきだと思う》という意見も。

「移住婚女性に60万円」発表から3日で撤回…「さすが自民党」「岸田さん最後までスジが悪い」国民呆れ「省庁が率先して地方に行くべき」ツッコミも

ある晴れた昼下がり 地方へ続く道
荷馬車がごとごと 女貧民を乗せて行く

かわいそうな貧民 都落ちしてゆくよ
悲しそうな瞳で見ているよ

ドナドナドナドナ 手切金を乗せて
ドナドナドナドナ 世論が揺れる

いろいろ問題ありそうな政策案だけど、政策の狙いに近い 「地方移住して結婚する」ですら支給の対象外って、さすがにおかしいよねえ。江戸時代の同種政策のほうが、性差別しないだけ人道的だったという(笑)。

人返しの法(ひとがえしのほう)は、江戸時代の水野忠邦の改革において、江戸の人口を減少させ農村の人口を確保することを目的に発令された法。人返し令(人返令)とも称される。
前史
松平定信が寛政の改革において、この人返しの法と似た法令である旧里帰農令を発令した。こちらは離村して、江戸に流れてきた地方の農民たちに元の村々へ帰ることを勧め、そのための旅費・食費を幕府が交付する、というものだった。しかし、この法令には強制力がなく、また費用の交付も十分では無かったため、ほとんど効果がなかった。

wiki

「本気で一極集中を是正したいと考えてるなら、まずは影響力の強い省庁が率先して地方に行くべきだと思う」というのは極めてまっとうな提言だし政策だと思うな。実際、そのためにブラジルは首都を移転したし、インドネシアでも首都移転計画が進んでいるくらい。日本もやればよろし。 安全が確保され、人口が戻らず苦しむ福島の海岸通りへどうぞ。

けど、日本では無理だな。

根拠・・・現職の国家公務員は「地域手当」と言って、地方を忌避し東京や名古屋など大都会の部署に勤務すると、給与が20%も上がる仕組みが導入されているから。

僕も国家公務員だったので経験あるけど、 この仕事は基本官舎が用意されているので(贅沢言わなければ)、田舎より都会の方が暮らすのにめちゃめちゃ費用が掛かるということはあまりない。 

考えてもらうとわかるけど、サラリーマンの衣食住において、衣食の部分は都会でも田舎でもそれほど支出差があるわけじゃない。むしろ田舎の方が店舗間の競争がないだけ割高。さらに田舎で自家用車通勤すると(公共交通機関がないから仕方ないのだけど)、車の維持費とか雪国だとスタッドレスタイヤまで必要で持ち出し。都会で自家用車持たず、公共交通機関で通えば100%交通費が出る。

ってことで、誰でも田舎ではなく都会で勤務すれば、特に能力に差がなくても20%増しの給与が貰えるのだよ。優秀?な公務員が、そんな「黄金の羽根」を拾わないはずがないだろう?

黄金の羽根とは制度の歪みがもたらす幸運のこと。手に入れると大きな利益を得る。誰でもできる「人生の利益の最大化」とその方法。

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この制度設計、一極集中も助長するし、国の設計ミスじゃね? てな問題提起をした裁判官がでました~。

国家公務員に適用される地域手当によって実質的に報酬が減っているのは「違憲だ」などとして、三重県・津地裁の竹内浩史判事が7月2日、名古屋地裁に未払いの報酬の支払いを求める訴訟を起こした。・・・

地域手当は、大都市圏で手厚い傾向がある一方、地方では支給されないところも多く最大20%の差がつくため、竹内氏は「地域手当によって、地方に行きたくない、東京にいたいと考え、(人事権を持つ人たちに気を使う)ヒラメ裁判官もいるのではないか。こんな制度はやめたほうがいい」と訴えた。
そのうえで、他の国家公務員も含めて、議論が広がることへ期待を示した。

現役裁判官が「地域手当は違憲」と提訴 「こんな制度はやめたほうがいい」

激しく同意。国の姿勢としてはむしろ、地方への移住を促進するため、地域手当支給額は田舎ほど支給額を高くするべきだと思うね。むしろ、ひろゆきさんが言うように、公務員であるかどうかにかかわらず、地方へ行けば減税 のほうがいいけどさ。

インターネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆきさんが言及。「普通に性別による差別だよね」とツイートし、自論を語っている。確かに今回の案は女性だけであり、男性は含まれない。・・・
このひろゆきさんの指摘に対して一部のXユーザーから「ならばほかに策はあるのか」との指摘があった。
それに対してひろゆきさんは「地方に税率を決める権利を渡して、過疎地域は税金安くする」と考えを述べている。

日本政府「東京から地方に移住結婚する女性に60万円あげる案」→ ひろゆきさん「普通に性別による差別だよね」

でもまあ、「こうすべきだ」というよい意見や提言は山ほどあれど、日本はそれをまったく実行しない国だから、すでに三十年が失われたのだけれど・・・。