南海トラフでマグニチュード8以上の巨大地震が起きて、さらなる巨大地震の発生に警戒を呼びかける南海トラフ地震臨時情報「巨大地震警戒」が発表された場合、自治体が津波に備えて1週間の事前避難を求める住民が、全国で少なくとも52万人余りにのぼることが内閣府の調査で分かりました。
共同通信社が全国の市区町村に実施した避難所の準備状況に関するアンケートで、トイレ数について49%が「政府が指針で示す基準を満たしていない」と答えた。被災者1人当たりの居住面積も49%が満たしていないとした。予算や場所の不足が主な理由。南海トラフ巨大地震や首都直下地震などでは多くの避難者が出る見込み。避難所環境が不十分な場合、災害関連死につながる可能性もある。
50万人規模の住民に避難を求める警戒情報の発令の可能性がありながら、いざ避難したらトイレも居住面積も足りてないという現実・・・
事前避難の対象者の約半分は高齢者などの弱者です。こんな貧弱なインフラで、だいたい、この暑さでエアコンのない避難所になんて行けます?まともに行政の言うことを聞いて避難したら、地震そのものより貧弱なインフラのため多数の人が死ぬ事態だって考えられます。
災害そのものより、関連死で多くの人が犠牲になる事態・・・状況は違えど、どこかで見た悲しい風景。再現しないことを切に願います。
先の大戦で日本軍の死者は軍人・軍属を合わせて約230万人にのぼる。ソ連は1360万人、ドイツは325万人と多数の死者が出たが、日本軍の死の内実は欧州戦線とは大きく異なる。死者の9割は1944年以降に絞られ、さらにその死の半数ほどが病死、とくに餓死が占めていたことが戦史研究からわかった。日本軍兵士の戦場での実像を研究した吉田裕・一橋大学名誉教授に尋ねた。
真面目な話、災害時のトイレ不足の話なんて、東日本大震災でも、それ以前からも指摘され続けたことなのに、いまだに解決していません。
誰が主体だか分かりませんが、 誰も防災対策を本気でやるつもりはないのです。と言わざるを得ません。
話は簡単。「組立式の防災トイレを政府が必要分買い、地方自治体に強制送付」すれば終わります。国の備品なので地方自治体は「場所がない」と言って捨てるわけにもいかず、必死に保管場所を考え保管するでしょう。
でも政府がやるのは、防災庁を作る とか自己組織増大の話ばかり。 そもそも「屋上屋を架す」って緊急時に有効?
石破茂政権が提唱する「防災立国」実現に向け、司令塔と期待される防災庁。その組織概要が明らかになった。防災庁の役割などを検討する政府の有識者会議(防災庁設置準備アドバイザー会議)が6月4日に報告書をまとめて公表した。これを受け石破首相は同6日に防災立国推進閣僚会議を官邸で開催し、2026年度の設置を目指す同庁の組織概要を表明した。
今の日本に必要なのは、新たなる防災組織か、必要数の防災トイレなのか、どっちでしょう? 考えるまでもないと思うのですが、ちっとも実行されませんね。
*上記記事に出ていた「防災庁設置準備アドバイザー会議」の報告書はよいことが書かれています。
社会に内在する構造的・制度的な脆弱(ぜいじゃく)性により被害が劇的に拡大する現象を平時のうちに先回りして発見し、産官学が連携して被害を劇的に低減させる抜本的な防災戦略・戦術の再構築が必要だ
だからさ、防災トイレくらい100%備蓄しようよ。

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。