四谷の千枚田、関谷酒造と門谷地区

愛知県新城市四谷地区にある千枚田を見てきました。と言っても、実際に行ったのは5月の田植え時期なんですけど・・・

千枚田があるのは、新城市と設楽町の境となる山の中。下の写真では千枚田が一番上に位置します。一番下の平地が新城市の市街地です。長篠城や鳳来寺と言った名所が見えていますね。

軽自動車で向かったのですが、新城と設楽を結ぶ幹線から外れたアプローチの最後、それはもう狭い山道を登っていきます。「こんなところに本当に棚田があるのかしら、あったとしても山奥過ぎ耕作放棄地になってるんじゃ?」と思いながら到着・・・ おう。

あ、この地形。「あれ」ですね。 下からも見てみましょう。

正解はこちら。

はい、「大規模地すべりの跡地」を棚田として人の手で作り替えたものなんですね。その事実を知って再び写真を眺めると、なるほど、地すべりの後だわ って感じられるのではないでしょうか。

減災の観点からすると、この使用法はたぶん満点に近いです。 不安定な斜面が長雨により崩れました。崩れた土砂は自然と安定した形状になります。だからできるだけそのままの地形にとどめて利用できれば、再び大規模地すべりが起こる可能性は非常に低い安定地。 まあ多くの場合、下部に道路があったり人家があったりで、地形を元に戻して土木的対策(不安定に戻し。アンカーを打ったりコンクリで法面を固めたり)を施してしまうのですが、可能ならそのままにしておく方が安定してるぜ・・・

が、棚田は農業の効率性という観点からはなかなか厳しいものがあります。一枚一枚の水田面積は小さく数が多いので、効率が悪い(大型農機が入れられない)です。 また、この田んぼの水管理はさぞかし大変だろうなと推察します。水を入れるのは簡単な反面、下側の畔からすぐ漏水が起こるでしょう。それを維持管理する大変さ、平地とは比較になりません。コスパを考えるなら真っ先に放棄すべき水田です・・・

てなわけで、観光客の視点で見れば、「いい風景」なのでしょうが、米生産者から見ると「厄介なシロモノ」に見えるんじゃないか と思います。見る主体により受ける印象が違うというか。

僕もすこし稲作に関わっているので、正直、こんな手間のかかる水田には絶対関わりたくない(笑)。だいたい目的の田んぼに着くまでに疲労しちゃうぜ。

 それでも代々ここで農業をやっている人たちは格別な思い入れがあるのでしょう。第三者として よく残っているものだ と感心してしまいました。

*棚田上部の「展望台」には数台停められる駐車場があります。道は狭いです。 棚田下部には駐車できるスペースがありません。車を停車させて写真だけ撮影しましたが、道が狭いから大挙すると地元に迷惑がかかります。タイミングを見計らって行くと良いでしょう。

さて、新城と設楽を結ぶ幹線(新城東栄線)の途中に、茶店が並んでいる場所があります。 ここから「鳳来寺」への参道が分岐するんです。 

この奥に門谷地区という、旧鳳来村の中心地があります。

そちらには寄らなかったのですが(ブログネタに寄ってこればよかった)、今はめっちゃさびれているけれど・・・。往時は名刹の門前町としてずいぶん栄えたようです。

例えば・・・上の写真の「茶屋」の左手に「奥平仙千代の墓」があります。

戦国時代に織田・徳川連合軍と武田軍が戦った「長篠の戦い」はご存じの方が多いと思います。鉄砲の集団運用で有名な戦いですよね。(最近はいろいろ異論が出てますけど)

そもそもこの戦いは、この地の要衝である長篠城の城主である奥平氏が、武田氏から徳川氏に寝返り城に籠城。そこを攻略に来た武田軍と、救援に来た織田・徳川連合軍がぶつかった野戦でした(同時に徳川の別動隊が長篠城の救援に向かってる)。

奥平氏は山間の小領主なので、時の情勢に応じ主を目まぐるしく変え家を保ってきました。でもまあ、大国名門の領主である武田勝頼はこの裏切りに激怒し、見せしめのため人質に取っていた奥平貞昌の弟である仙千代を公開処刑しました。 見せしめですから人が集まるところで処刑しないと意味がありません。それでこの場所が処刑場に選ばれ、そのまま少年の墓として残っているわけです。  つまり、ここが人が多く集まる場所だったことの証明です・・・

 *蛇足ですが、この戦で城を守り抜いた貞昌は織田信長から「信」の字を与えられ信昌と改名しました。 直属家臣以外で「信」の字を与えられるのは家康の長男(松平信康)レベルのすごいことだったんです。上記の通り払った犠牲も大きかったのだけれど。奥平氏は十万石の譜代大名として栄え、最後は中津藩主。「門閥制度は親の敵(かたき)でござる」と言った福沢諭吉(福沢家)の主筋だ(笑)。

かつて門谷地区には愛知県立の高校までありました。この高校、もともとは鳳来寺が設立したとか変則的で興味深いです。往時の鳳来寺はめっちゃ金持ってたんやね。

愛知県立鳳来寺高等学校は、愛知県新城市に所在した公立の高等学校。2009年度(平成21年度)より生徒募集が停止され、2011年(平成23年)2月27日に閉校式が実施された。
鳳来寺が設立した「鳳来寺女子高等学園」を前身とする。農山村の振興が課題であった昭和初期に弘法大師1100年御遠忌記念事業として着手し、1935年に開校した。 当初は鳳来寺の財産から毎年生じる利息6万円余りの内、1万5千円を割いて維持費としていた。開校した1935年度には財団法人鳳来寺女子高等学園を設立した。
開校時は各種学校であったが1939年に中等学校として文部省に認可され、同時に学校名を「鳳来寺高等家政女学校」に改めた。
1943年2月に学校を県に移管するよう愛知県が要請し、同月中に学校理事会はこれを承認した。2月20日には文部省により財団法人の解散と財産処分の許可が下りている。 同年4月に「愛知県立鳳来寺女子農学校」が開校し・・・

wiki

と、ここまで来たら設楽町まで行きましょう。設楽町には・・・ぐび、関谷醸造がある!

「関谷醸造」は、江戸時代に創業した愛知県の老舗蔵です。今回は、蔵元の歴史、地元の愛知で絶大な支持を集める「蓬莱泉」をはじめとする主要銘柄、蔵元ならではの取り組みといえる生原酒の量り売り、日本酒造りに対する蔵の3つのこだわりなどを紹介します。

「関谷醸造(せきやじょうぞう)」は「蓬莱泉」で名高い愛知県の蔵元! こだわりの酒造りや人気銘柄を紹介

はい、生酒の量り売り(特別純米)と、なかなか入手の難しい「蓬莱泉・空」(純米大吟醸)のお試し瓶を買ってきたぞよ。後者は地元ではもちろん、全国的にもそれなりに有名なお酒・・・だと思います。

特別純米が720mlで1,140円。純米大吟醸が180mlで1,300円。

うーん、僕、正直、日本酒の味ってよくわからんのよね。いや、もちろん「空」の方が吞みやすいですよ。でもこの価格差・・・特別純米でも十分うまいぜ・・・。 

お隣に「マルツ田口店」というスーパーがあるので、ここで田口塩鶏ちゅうんを買うのがお約束だそうです。

設楽町には美味しい味付け肉がたくさんあります。
名倉地区には「まるきん」さん津具地区には「栄屋」さん
どちらも遠くから買いに来て下さる人がいるほど人気商品です。
⠀ただ設楽の田口地区には味付け肉がなく、ないのなら自分達で作ろうと思ったのがきっかけでした。
⠀それから何度も試行錯誤しながら悩んだり、壁にぶつかっても仲間に支えられて完成させる事ができました。
 たくさんの人達の想いが詰まった「田口塩鶏」をこれからもよろしくお願いします。
(マルツ田口店Facebook引用)

設楽町観光ナビ

ふむ。特に特筆すべきことなし。(普通にうまいよ。)

あと、設楽町ではいま、大規模なダムの建設工事が行われているでよ~。遠方からだけど展望もできるみたいだね。

設楽ダム工事事務所

「石破もすなるホテル静養といふものを、我もしてみむとて、するなり。」(名鉄株主優待利用旅)

名古屋は金山駅にある、「ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋」に泊まってきました。最近ちょっと忙しかったのと、世間が休むGWに働いた代休があり、シーズンオフで(それなりに)安くなってたので。一泊だけですけど。 

*紀貫之「土佐日記」の冒頭文をもじりました。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。」男性が書く日記を、女性である私も書いてみようと思って書いています。という意味ですけど、貫之氏は男なんですよね。別に変体趣味があったからではありません。当時の男性が書く日記というのは、「漢文体の仕事日誌」でした(藤原道長の「御堂関白記」とか)。だから貫之は主に女性が用いた平仮名を用いることで、今風の日記(土佐からの旅の紀行文)を書こうとしたんです。日本最古の日記文学の一つとも言われますね。

「石破首相は4月27日から30日、ベトナムとフィリピンを訪れ、5月1日と2日は首相官邸などで公務をこなしたそうです。3日からは東京都内のホテルに移り、6日まで趣味の読書などを楽しみつつ、静養する予定だとか。しかし、このホテル滞在に批判の声があがっているんです」(全国紙政治部記者)

「国民の多くが巣篭もり」石破首相、GWの静養で予想される“高級ホテル”滞在に集まる皮肉意見

激務であるのは間違いないので、静養ぐらい好きにやらせてあげて~と思うのですが「人気のない首相」って大変ですね(笑)。

閑話休題。このホテルは名古屋の交通の要衝、金山駅の目の前にあります。その駅前に30階建ての高層ビルが建っており、その建物の上層がホテルになっています。

金山駅 名鉄の名古屋本線、JR東海の中央本線と東海道本線、名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)の名城線および名港線の合計3社局5路線が乗り入れており、名古屋駅に次ぐターミナル駅として機能している。  wiki

この建物の低層階は昔、アメリカはボストン美術館の分館が入っていたのです。今も建物の一階にその時の名残(記念碑)があります・・・そこ目的で何回か訪れたことがあり、その時から一回泊まってみたいなって思っていました。(つまり施設自体は古いのだ)

今回(僕としては)奮発して、中でも高層階ーハイフロアと呼ばれるーの部屋を予約しました。ホテルの公式ページにて、1泊素泊まり20,000円のところ、名鉄の株主優待*で20%OFFとなり16,000円です。  食事付の宿泊プランは株主優待の対象外なんですね・・・。

*名鉄(名古屋鉄道)とANA(全日本空輸)とは非常に関連深く、ANAの筆頭株主は長らく名鉄だったんですね。今も大株主なのかな。まあそのおかげでこの優待が使える!

 参考:ANAの躍進を支えた「名古屋鉄道」の先見の明 航空産業育成に尽力、いまも深いつながり

最近そこそこ良いホテルの朝食って、豪華だけど高すぎる(コスパ悪し)と思うので素泊まりで頑張りましょう!なに、場所が良いから少し外に出ればコスパよく食べられるところいくらでもありますぞ。(実はこのホテルに入っている中華料理屋が旨い と聞いてるので一度食してみたいのですが、夜のコースで9000円からだと・・・)

部屋はこんな感じ。豪華さとか特筆するものはないんだけど、窓際に一人用ソファー、机といすがあって、いい気分で読書ができます。光量も十分。チェックイン15:00チェックアウトは12:00。部屋でゆっくりするなら「ゆっくりチェックアウト」はありがたいです。

部屋から見た北側(街側)の眺めです。正面の高層ビル群が名古屋駅周辺。右端の緑の部分(写真切れてる)が名古屋城です。建物直下見えない部分に金山駅があります。視野直下にある建物が「アスナル金山」という商業施設です。 

アスナルは最近再開発が発表され、2028年2月までに閉鎖するそうです。

名古屋市では、金山駅周辺において、アスナル金山の再整備や新たな劇場の整備を核とした、市有地を中心とする整備の事業化を目指しています。

 アスナル金山エリアにおいては、アスナル金山が界隈性を有する商業施設として地域のにぎわい創出に貢献している一方、来訪者の行動範囲が駅を中心に限定的であるなどの課題や、アスナル金山の定期借地期間終了が控えていることから、本格整備により地域のにぎわいをより一層高めることが求められています。まちづくりのコンセプト「人・文化・芸術とともに育つまち-にぎわいと感性あふれる交流創造の場づくり-」も踏まえ、多様な人が集い楽しむ駅前のにぎわい交流拠点として、金山らしい都市機能を集積させた駅前複合施設を中心とした駅前空間の整備や、金山総合駅と新たな劇場をつなぐ空間の形成などの検討を進めています。

名古屋市

駅前複合施設・・・ありきたりな「でかい商業施設と有名店の誘致」なんてつまらないからやめましょうよ(近くの名古屋駅前がそうなっているから競合もする)、思い切って大阪駅の再開発みたくでかい公園作るといいでしょう!と思うけれど、まあ名古屋市では期待できないか・・・。

大阪駅前に巨大な公園 緑とイノベーションの融合「グラングリーン大阪」好発進

閑話休題。高いところに登ってみると、街が俯瞰できて非常に興味深いですよね。ついでにムスカ大佐ごっこ(もどき)もできて楽しいです。

ハハッ、見ろ!人がゴミのようだ!!ハッハッハッハッハッハッ!!

・・・ちょっと違うな。でもまあ、眼下に小さく人が見えてると、なんか変な優越感みたいなのは感じますよね。多分それがタワマン高層階に住みたい人の心情なんじゃないかな。

ま、暮らすとそういう新鮮な感情なんて、すぐ慣れて消えるでしょうけど。

ちなみに廊下から見た「駅の南側」はこんな感じ。

左の「赤↓」のあたりの森が熱田神宮(と白鳥庭園)です。脇を斜めに流れるのが堀川(運河)。右上の赤丸で囲った部分が名古屋港の主要部です。 熱田神宮のすぐ南に有名な「七里の渡し」があり、東海道はここから桑名まで船旅です。今や埋め立てられ海ははるか遠くになりましたけど。

 熱田神宮あたりを散歩した記事もありますので、よろしかったら読んでください。

さて風景をながめながら晩御飯(第1ラウンド)食べましょ。名古屋駅の高島屋デパ地下で買ってきた、牛ごぼう弁当です。一応旬のものですね。1,080円。

田舎に住んでてなかなか手に入らないのが「美味しい和食弁当」です。洋食(ハンバーグ弁当)とかエスニックならそこそこのものが手にはいるんだけど。田舎の方が高齢化率が高いから、「美味しい和食弁当」って売れると思うんだけど。(あたしもそういうのが欲しい年頃になったんだよ。)

ちなみに、金山で弁当を調達するなら、「アスナル金山」内に成城石井が入っているので、ここで買えばよいかと。デパ地下には負けるけど、なかなかよさげな弁当を売ってます。

本屋で買ってきた本を読んだり、夕寝したり、風呂に入ったりして、19時ころ、ラウンジへ行きます。そう、高層階ーハイフロアに泊まると最上階から夜景がたのしめるのです。アルコール付きで。

最初にシャンパンとオードブルを頂きました! (そのあとにカクテルと紅茶と乾きものも頂いたがね。) 休日直後なのでラウンジもガラガラで、思う存分夜景を楽しみました。まあ北側はレストランだから南側しか見れないのだけれど。

部屋から見た「南側風景」と同じ方向を見てます。金山より南側(海側)で、これだけ建物の灯がついているとは思いませんでした。(=「多くの人が暮らしている」)

というのも、このエリアは超低地(先の写真で紹介した「熱田神宮」が熱田台地の端。それより海側を指す)で、災害に対してかなり危険な地域なんですね・・・具体的には「伊勢湾台風」で堤防が切れ、全域水に浸かったというような・・・

この超低地帯、防災マニアに「東海ネーデルランド」と名付けられるくらいです。ここ、東京湾周辺、大阪湾周辺を上回る、日本最大のゼロメートル地帯なんです。

【東海ネーデルランドとは】「ネーデルランド」とは、オランダ語でオランダ本国のことを指し、「低地地方」を意味する言葉です。本協議会では、愛知、岐阜、三重の3県に跨る日本最大の面積を有するゼロメートル地帯を「東海ネーデルランド」と名付けました。

国交省中部地方整備局 東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会

いや、これだけの人、どこに逃げたらいいんでしょうね。真面目な話・・・

とか思いつつ、僕は二度目の夕食(夜食)調達にホテルを出ました。枕草子も言ってます「夜は夜泣きそば」

麺屋「律」

ふむ。丁寧に作られたラーメンですね。チャーシューも丁寧に作られているけど、これ鶏胸肉だな。きちっと作ってあるからもちろんパサパサではないけれど、やっぱり個人的には胸肉って美味しいとは思えないなあ。肉はもう少し油ほしいっす。 いや、でもごちそー様でした。

朝、部屋に好みの新聞が届けられます(最近では珍しいな)。優雅にコーヒーを入れて日経新聞を読みませう。 コーヒーマシンがないのは残念ですが。

そのあと少し散歩して朝ごはん。駅前のデニーズ(金山店)でモーニングっす。

撮影前にソーセージ食べちまったけど、これで(ドリンクバー付)682円。ホテルで食べるとこれが1,500円くらいになるんちゃいます?

てなことで、11時近くまで部屋でグタグタして、アスナル金山の成城石井でお土産の弁当を買いました(僕と家族の夕食)。高校生がたくさんいて、あちこちの店で楽しんでます。いい校外学習だなあ・・・

金山駅2Fのミュープラット金山で昼食食べて帰りました。 ミュープラット金山、久しぶりに入ったら、ランチお得合戦やってて、なかなか激戦区になってて利用者としては良い施設に変わってました。量は少な目ですけど、刺身と焼き魚が990円で食べられるの、すごいいいですよね。なかなか新鮮でしたし。880円の20食限定海鮮丼も興味あります。(11時半くらいで、かなり混んでました)

嘉文 金山店