老朽化が進む道路や上下水道などの維持・補修に充てる財源を確保するため、政府は新税の創設に向けた検討に入る。自動車の利用者から徴収する案が有力で、年末にかけて具体化の議論を進める。新税は事実上、与野党が年内に廃止すると合意したガソリン税の旧暫定税率にかわる財源とみられ、実現には野党側の協力が欠かせない。
ガソリン減税するけど、代わりの税金取ります って、減税の意味ないじゃん。政治家はデンマーク政府を見習ってよ。
デンマークは、食料価格の高騰に苦しむ家計の経済的負担を軽減するため、コーヒーとチョコレートに対する税金を廃止する。22日にトロルス・ルン・ポールセン副首相が発表した。
ポールセン副首相はテレビ局TV2に対し、「デンマーク国民がすぐに効果を感じ、手元により多くのお金が残るような措置を選択した」と述べた。
当局によると、税金廃止に伴ってコーヒー1パックの価格は平均で5クローネ(約115円)下がる見込みとなっている。
選挙で審判を受ける政治家なら「国民がすぐに効果を感じ、手元により多くのお金が残るような措置を選択した」ってかっこいいこと、言ってみたくないですか? 国家財政だけを守りたい官僚(罷免されない公務員)のいいなりに言わされて、悔しくないんですか?
そもそも、この税制論議には「大義(税金を取る正当な理由)」がありません。
ガソリンの暫定税は、道路整備の遅れを解消するため、専用財源(特定財源)として1954年に導入されました。自動車を利用する人が、その利用に応じて道路の建設や整備を目的に税金を支払うという仕組みは、それなりに筋が通っていました(受益者負担)。
しかし、2009年に「道路整備に使う特定財源の税収がそのための支出を大幅に上回る」ことを理由に、道路に限らずなんにでも使える財源(一般財源)としました。
道路特定財源の見直しに関する基本方針(平成17年12月9日 政府・与党)
道路特定財源は、長年にわたり、立ち遅れた我が国の道路の整備状況に鑑み、自動車利用者の負担により、緊急かつ計画的に道路を整備するための財源としての使命を担ってきた。
しかしながら、その後、道路の整備水準の向上する中、近年の公共投資全体の抑制などを背景とする道路歳出の抑制等により、平成19年度には特定財源税収が歳出を大幅に上回ることが見込まれるに至っている。このため、現時点において、改めて、今後、真に必要となる道路整備のあり方について見極めるとともに、特定財源のあり方について、納税者の理解を得て、抜本的な見直しを行うことが喫緊の課題となっている。
「道路整備は緊急かつ計画的にやる必要はないから特定財源は一般財源化する」なら、「なぜ自動車を利用する人が一般税を負担する必要があるのか?」という疑問が生じたまま、今に至っています。
で、今回の新税検討です。もちろんインフラが老朽化しているのは分かるし、そのための予算が必要ということは理解できます。でもインフラ施設が将来的に老朽化することは、2009年だってわかっていたこと。
それならば、道路特定財源を廃止せず、その目的を「道路整備」から「道路維持修繕」に舵を切っていれば、いまの「老朽化対策待ったなし」の状態にはなっていなかったのでは?
そのうえで、『現在は「新設改修」を抑制し、事業の大半を「維持修繕」とし老朽化対策に尽力しているけど、それでも老朽化対策費が足りないので、増税をお願いしたい』 というなら話は分かりますが(というか、そういう説明をしてほしいな)、実際はどうなのでしょうか?
実際には、全体の「道路事業費」における「維持修繕費」の割合は、昔からほとんど変化していないと思われます。例えば、国が管理する国道(指定区間)の場合は1985年から2004年までほぼ25%です。

道路の維持管理の現状と課題 ―その解決に向けた合意形成― 清水あすなろ建設より
最近のデータが見つけられず証拠にならず申し訳ありませんが、まあこの配分比率は権益に密接に関わることなので、現在もほぼ変わっていないでしょう。
自分のできる範囲で努力しているならともかく、それをしないで増税というなら、ちょっと納得できないですねえ。
しかもしれっと「上下水道などの維持・補修」なんて文言が入っています。上下水道を利用するのは自動車利用者だけじゃないのに、なぜ自動車の利用者から徴収するんで?

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。