今朝、日米首脳会談が無事終わったそうで。 両国の閣僚や各国の記者がずらりと並ぶ中で、狂人のトランプと「出たとこ勝負」のさし会談をするんだから、首相って大変な仕事だなあって思いました。
前首相なら「オレは無理」と、ピストン赤沢に代理させ、国内でもっともらしい批評をしてるとこだな*。いやな場に御大自ら出張っただけでも殊勲ですが、大きなミスもなさそうだったし、いやホントお疲れ様でした。(会談後にトランプは何か必ず難癖付けてくるだろうけど、それはだれがやっても一緒なんで)
高市首相は冒頭、トランプ大統領に「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。私は諸外国に働きかけて、しっかりと応援したい」って言われたそう。
訪米中の高市早苗首相は19日昼(日本時間20日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで首脳会談を行った。首相は会談で中東情勢の緊迫化などに言及し、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。私は諸外国に働きかけて、しっかりと応援したい」と述べた。
最大野党の小川代表は(もと「なんでも反対党」出身者としては)この会談結果に割とポジティブな評価をしてて好感がもてるんだけど、でもこの発言はちょっと評価できないとコメントしてました。なぜなら「それをその通りだと思っている日本国民はあまりいないのではないか」とのこと・・・。
国会内には、あれはアメリカの自衛権の行使に当たるのか?いやむしろ、違法な先制攻撃なのではないかという声が国会内には多数あります。そしてそれはほかならぬ、日本国民の多くがそう感じていることを反映しているからこそなんです。
ですから単純に、簡単に、ドナルドあなたが平和の守り神だというような言い方は大きく日本国民の感覚とはずれている。そのことは難しいお立場たということを割り引いても、しっかりとこれは、むしろ日本国民の気持ちに、まっとうに向き合っていただく必要があると思います。
いや、僕なんかはむしろ、日本国民なればこそ、あの表現を良しとするだろう(非常に洗練されているなあ)って評価するかと思ったんだけど、考えすぎかなあ。
なぜなら、まさにタイトルにある「ぶぶ漬けでもどうどす?」エピソードが、頭に浮かんだからです。
京都人の気質を表すエピソードとしてよく語られるのが「京都のぶぶ漬け」の話です。ぶぶ漬けとはお茶漬けのことです。京都の人の家にお邪魔して用事が済んだ頃、「ぶぶ漬けでもどうどす?」と言われたので待っていると、ぶぶ漬けはいっこうに出てきません。これは「早く帰りなさい」と暗黙に伝える言葉であり、正直に待っている客を”空気の読めない無粋な人”と陰であざ笑うという、上方落語などのネタにもなっている話です。
高市さんは(というかイスラエル以外の各国首脳は)、本音では「てめーらが始めた戦争で、こっちまで大迷惑被ってるじゃねーか、そのうえ勝手に奇襲しかけといて都合が悪くなったら助力しろ?ふざけんな。さっさと落とし前つけろや」って思ってます。
が、大人の事情でそうは言えないんですよね(下手に正論を言うと逆切れされる)。だからオブラートに包んだ建前として「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。」(この紛争を終わらせられる当事者はイランとトランプ、主に責任があるのはトランプなので、この表現でも間違っていない)と発言したうえで、「空気の読める人は暗黙の本音を読み取ってね」ということだったんじゃないかと。
トランプはもともと自分のことをピースメーカーだと言ってたくらいだから、こう言われてまんざらでもないでしょう。しかも、この表現はアメリカとイスラエルのイラン攻撃自体を「支持する」とは言ってません。どう解釈するかは読み手の自由ですが。
この文章のさらにうまい点は、後段に「私は諸外国に働きかけて、しっかりと応援したい」とつけているところ。これは建前ナシの本音で、実際日本は諸外国に働きかけてちゃんと応援(共同声明を出す)してるんですよね。
【ロンドン=黒瀬悦成】英仏独伊とオランダ、日本は19日、イランによるホルムズ海峡での商船に対する攻撃や、周辺国のガス関連施設などに対する攻撃、イラン軍部隊によるホルムズ海峡の事実上の封鎖を「最も強い言葉で非難する」との共同声明を発表した。
これを一文として繋げることで、仮にアメリカ人の中に「空気の読める無粋な人」がいても、前段を「建前だけの褒め殺しだろ」と、表立って非難しづらくなる効果が見込めます。本音は「建前だけの褒め殺し」なんですけどね。それを「いけず」って言うかはあなた次第です。そういや高市さんは関西のおばはん でしたなあ。
いろいろ難しい中で国益を考えた、よく練られた素晴らしい表現 って思うんです。あるいは霞が関文学の最高傑作 かもしれません。
霞ヶ関文学(かすみがせきぶんがく)とは、日本の霞ヶ関、つまり日本の省庁で扱う文書用語表現文を「文芸ジャンル」としてとらえた比喩で、「ありふれたことを滑稽なほどまわりくどく、もったいぶって表現する言葉」のことを指す。その象徴たるポンチ絵は、横向きA4サイズの現代アート」とも称される。
* てか石破氏、首脳会談前にすでにこんな発言してたのね。
自民党の石破茂前首相は15日のフジテレビ番組で、高市早苗首相が19日に予定する日米首脳会談を巡って「まずは米国のイラン攻撃は合法ですか、ということから始めないと話が前に行かない」と指摘し、米側に国際法上の正当性を確認すべきだとした。
アンタ馬鹿ぁ?。「国際法なんて必要ない。」と明言する相手に、そんなこと聞く意味って何ですか・・・即時交渉決裂ですな・・・それこそ話が前に行かないですよねえ。マスコミもこんな人に発言求めるからマスゴミなんて言われるんですよ。前首相なら、せめて岸田さんとか麻生さんとかに聞けばいいと思うんですが。いや、良識ある前首相は、現首相を縛らないようコメントしないだろうから、コメント欲しいマスコミは、良識のないこの人にコメントさせるしかないわけか・・・
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は8日公開の米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで「国際法は必要ない」と明言した。トランプ政権として国際法には従うと述べつつ「国際法の定義次第だ」と語った。
インタビューは7日に実施した。米軍の最高司令官としての判断について「自らの道徳観」にのみ制約されると表明した。
「国際法は不要」=「国際法には従う、ただし国際法の定義次第。」
すばらしい!霞が関文学は、なにも日本だけにあるわけじゃないんですね。 こいつはホワイトハウスだから、ホワイト文学とでも言うのか(笑)。

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。