西尾の文化財(7-2)華蔵寺 伝・池大雅襖絵

華蔵寺に初詣に行ってきました。(1月2日)

華蔵寺には、池大雅と伝わる襖絵が40面とたくさんありますが、普段は非公開です。

しか~し。正月三が日は、普段宝物庫に納められている襖(ふすま)がすべてはめられ、さらに無料拝観できる そうなので、物見遊山・・・いやお参りに。

池大雅(1)
池大雅(2)
池大雅(3)

なかなかのものですな。・・・スイマセン。私、絵は疎いものでよくわかりませぬ。一部鮮明なのもありましたが、色が薄いし、保存状態が悪いんか?近くで見てもよー分からんなあ というのが本音でございました。

池大雅・・・江戸時代、18世紀の画家・文人で、「瀟湘八景」とか、国宝・重要文化財級の画家ですな。

で、なんでそんな人の絵が大量にこの寺にあるんだよう?

伝池大雅作品群

9世澧川(れいせん)は駿河国松陰寺の白隠(はくいん)に師事し、大雅とは兄弟弟子の間柄であった。本襖絵は大雅が澧川を訪ね、本寺に滞在した折に描かれたといわれる   西尾市の文化財より

こちらの襖絵は「伝(そう伝わっている)」なんすけど、寺には池大雅と伝わる書がありまして。そちらは確認されているようです。

池大雅書の木額、その他書幅

木額は山門にかけられた山号「片岡山(へんこうざん)」、中門の「華蔵世界(けぞうせかい)」および本堂西の間の「香水海(こうすいかい)」の3面で、「片岡山」については版下となった墨書も残っている。書は禅語「一二三四五六」「碧眼胡僧数不足(へきがんのこそうかずぶそく)「烹金濾(ほうきんろ)」の3点で、いずれも独特の書風で書かれている。     西尾市の文化財より

これですねー。そういうことだとは知らなかったので、画像が小さくてスイマセン

山門(額に注目!たぶん、片岡山って書いてあるとおもう・・・)
中門の額

共に前回訪問した夏の時期に撮影したもの。中門の「華蔵世界」は、ちょっといい感じだな〜と思ってアップで撮影したんだけど、僕の感性も捨てたもんじゃないね(笑)。おかげでブログにアップできました。

池大雅の書があり、住職との交友や滞在もあったということは、たぶんこれらの絵も真筆でしょう!

これ知名度のないまま朽ち果てるのすごく惜しい観光資源ですよ!おりしも、今年の4月から、京都国立博物館で、池大雅展をやるんです!

池大雅 天衣無縫の旅の画家 2018年4月 7日 ~ 2018年5月20日

僕が市の広報あるいは観光担当にいたら、「なんでも鑑定団」に鑑定してもらって、この展覧会の開催時期にあわせて放映してもらうんだけどな。

 華蔵寺なら、吉良さんの関係もあるからテレビネタには事欠きませんし、モノはたぶん本物でしょうし(テレビ出演すれば、無料でお墨付きと全国PRができる)、そのうえで絵が40点もあれば、展覧会で関心を深めた客がわんさか来るじゃないですか!しかも、京都まで絵を鑑賞に行く上客ぞろいでっせ。

(肝心の絵が、正月しか公開されてないけどな)

有名になるとどこかの博物館に強制送還されるかもしれないけれど、絵の修復に国費が投じられるかもしれないし、そのほうが長期保存にはよいのかもしれない。寺や地元としては、複雑な心境かもしれないけど。

 

さて、お寺の裏には、遠州流と伝わる庭があります。

遠州流の庭

小堀遠州?と言いたいところですが、そこまでは行かないかもしれないなあ。

それでも、どーんとデカイ築山があって、なかなかよい庭だと思います。苔の生育具合も良いようです。ここは腕の良い写真家に、かっちょいい苔の写真を撮ってもらって、ネットに「小京都の庭」をうまく広めるべきじゃ。あ、でも近隣に、他の名庭候補がないかぁ・・・。

こちらの庭は常時拝観100円で見られます。でも平日に行くと、(お客は少ないから)お寺の人が受付にいない時間帯もあり、しばらく遠慮してました。わざわざ100円徴収のためにお呼びするのもねえ。

そういうこと気にせず無料で見られるから、正月はええのう。

ちなみに山門と中門は無料で拝見できます。寺の前には駐車場があり、車が10台くらい停められる感じ。公衆トイレもありますよ~。

 

 

 

 

 

日本の寺院 寺院数と宗派

以前、西尾市のお寺の数と宗派内訳を調べました。

そうなると、ピノコじゃないけど「でも先生、日本全国だとどうなゆのさ?」と疑問が出てきます。 じゃあ、調べてみゆ。 (漫画・ブラックジャック風)

全国の寺院数を調べるのに一番便利なのは、たぶん「文化庁編 宗教年鑑」です。これの昭和60年版が吉良図書館で閲覧できますので、それを元に集計します。

僕が知りたいのは、伝統仏教とされる13宗の寺院数の内訳です。(華厳宗、法相宗、律宗、真言宗、天台宗、日蓮宗、浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗)+その他。

年鑑の「文部大臣所轄包括宗教法人の包括宗教団体別・被包括宗教団体・教師・信者数」の仏教系の内訳をこの13宗派に分類します。

統計上は上記の13宗派には分類されていません。例えば「禅系」だけでも臨済宗××派、臨済宗△△派、一畑薬師教団、曹洞宗、如来教、黄檗宗など22に分けられている)

どこまでが臨済系で、どこからが「その他」なのか、僕に微細な違いはわかりませんし、知りたくもありません。でも「だいたい上記13宗派がどのくらいの分類になるのか知りたいので、ネット情報を元にエイやと主観で分けました。だから正確ではありませんけど、おおむねの傾向を知るなら十分かと思います。

結果。

昭和60年版集計では、日本には74,406の寺院がありました。

(華厳宗58、法相宗60、律宗115、真言宗12266、天台宗4217、日蓮宗6762、浄土宗8251、浄土真宗20791、融通念仏宗357、時宗414、曹洞宗14808、臨済宗5780、黄檗宗460、その他67)

参考まで「愛知県宗教法人名簿」 昭和60年版による西尾市の寺院数は303寺院。

(華厳宗0、法相宗0、律宗0、真言宗6、天台宗0、日蓮宗9、浄土宗156、浄土真宗90、融通念仏宗0、時宗0、曹洞宗17、臨済宗14、黄檗宗1、その他10)

まあ、数はあまり問題ではありません(てか正確さに欠ける)。大事なのはそれぞれ全寺院数を100%として、それぞれの宗派が概ねどのくらいの比率になるかを表した下表。まあ誤差ありで見てね。

青色が西尾市、オレンジ色が全国を示しています。

全国的には、浄土真宗、曹洞宗、真言宗の順にお寺が多いです。

西尾の場合は浄土真宗は全国並みなんだけど、曹洞宗と真言宗は少なく、その分浄土宗の寺院が圧倒的に多い ということが言えます。

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さて、日本にはなんで浄土真宗のお寺が多いのでしょう?

この疑問に答えてくれる本があります。宗教学者島田裕己著「浄土真宗はなぜ日本で一番多いのか」 幻冬舎新書。

答えはあとがきに書いてありますが、それが庶民の宗教であることを徹底したから だそうです。詳細は本を読んでね。

この本は、浄土真宗に限らず日本の仏教の宗派の違いや特徴、教団の歩み、多宗派との関係や影響を解説する本です。ザーッと読んでおくと、たぶん宗派について(宗教じゃないよ)、歴史とかを楽しむのに十分な知識が得られるでしょう。新書版だし。おススメの本です。

本の中には部分的に寺院数や信徒数も紹介されているんだけど、この数字を視覚的に分かりやすいようグラフ化してくれると、もっとヒットしたと思うんだよ。そこにグラフが載っていれば、僕も調べなくて済んだわけだし・・・

(もっとも、上記13宗派にまとめて図表にすると分かりやすいんだけど、どうしても統計を「主観的にまとめる」ことが必須だから、学者としてはまずいかもしれんし、宗教法人からクレームも来るだろうね)

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グラフを眺めているといろいろアイディアが出ますよね。 鎌倉以降の宗派は信者の身分との結びつきが強いと言われているから、(士農工商なら、士=禅系、農=浄土・浄土真宗系、工商=日蓮宗系)禅宗や日蓮宗系の寺院は旧城下町に多く、浄土・浄土真宗系は旧農村地帯に多いんじゃないか とか、真言宗や天台宗は密教や修験道と結びつきが強いから、寺院数は平地より山国の方が多いんじゃないか とか。

古くからある仏教(華厳宗、法相宗、律宗)は奈良に集中していそうだし、時宗や融通念仏宗もかなり特定の地域に集中してるんじゃないかな とか

日本の場合、「宗派歴史地理学」が学問として成立するような気がします。(葬式のやり方とか、田舎では宗派が厳然として残ってますからね)まあ、調べるのはいろいろ面倒くさそうですけど。