会社を辞めたら・・・

会社を辞めた人々の出口には「米作り」があった。「誰もが土を耕す」時代は、今よりもっと豊かになる

という記事を読みました。以下抜粋。

 木々と山に囲まれ、虫や鳥の音に囲まれ、泥だらけにも関わらず皆が笑顔になりながら、人間の本来の“生きる力”を備えつけてゆく。米を作れれば、食せる野草を見分けられれば死ぬことはない。土に種を蒔けば、土木作業できれば、小屋の一つも作れるなら死ぬことはない。

それらのことができれば、何があっても生き延びられるのだ。頭と全身をフルに使うことで、おのずと笑顔に溢れ、生き物の息吹に感動する。風が汗をかすめるだけで幸せを感じ、ぐっすりと眠れる。農に携わる人は街暮らしの人よりも「病気が少なく、現役時代が長く、寿命が長くて、寝たきりが少ない」という研究結果も出ている。・・・

東京のオーガニックバー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」の元オーナーの方が書かれたもの。バーの名前は、その界隈では有名でしたね。

僕もサラリーマン時代は、同じようなことを考えていたし、その後会社を辞め一年畑仕事の真似事をし、そして再就職先では「木々と山に囲まれ、虫や鳥の音に囲まれ、泥だらけ」になりながら、草刈りや田の世話をしてますんで、大変興味深く読ませていただきました。

結論の「誰もが土を耕す」時代は、今よりもっと豊かになる」は、僕も全く同意見です。自分と日本の将来を心配する人は、少なくとも自分達が喰うもんを自分で造ればよろし って思います。都会に住んでたら無理ですけど。

まあ、僕自身はもともと田舎の生まれなんで、ここで書かれた「頭と全身をフルに使うことで、おのずと笑顔に溢れ、生き物の息吹に感動する。風が汗をかすめるだけで幸せを感じ、ぐっすりと眠れる。」は盛りすぎじゃね?と思うけど、都会にいたら、そう感じるのかもしれないす。

僕流に言い換えると「全身をフルに使うことで、クタビレてぐっすり眠れる。蛇の息吹を警戒し、休憩時や帰った控室でエアコンという文明の利器に幸せを感じる」って感じです。大汗かいたときに強めの風が吹いてくれると確かに気持ちいいけど、自然ちゅうのは、こちらの都合に合わせて吹いてくれたりはしないもんです・・・。

「病気が少なく、現役時代が長く、寿命が長くて、寝たきりが少ない」ってのも道理です。畑仕事には定年がなく、畑の草の成長はこちらの都合なんて待ってくれないんです。ゆえに多少身体が痛かったとしても、草刈りをやらざるを得ません。条件の悪い箇所以外で畑を草だらけで放っておくと、田舎では後ろ指さされちゃいます。つまり強制的にリハビリ受けさせられているんです。そりゃ寝たきりが少ないし、「畑どうしよ〜」っておちおち死ねません。

僕は実は蛇が大嫌いなんですが(無農薬の田んぼ周辺には、餌が豊富だからたくさんいる)、それでも会社で人間を相手にするよりはずっとましです。エアコンのなかで書類を片付ける仕事するより、大汗かきながら炎天下で草刈りしていたほうがずっとましです。まあ、そういう生活が「幸せ」と捉えられるかどうかですね。

世の中には「虫は怖くて絶対ダメ」という人もいるし、「泥まみれなんて汚くてダメ」という人もいます。そういう人達はこういう生活は「拷問」としか映りませんよね。僕の腕時計のバンドは、おかげでいつも泥臭い(笑)

ただ、こういう生活をよしとしても、普通の人間は米と野菜だけ食べて生きていける・・・わけではありません。露地の野菜栽培だと、この時期にはもう要らないくらいナスとキュウリが自分の畑から取れる上に、周りの農家からいただきもの(押し付け)が来ます。そうするとスーパーで高い肉も買いたくなるのです!エアコン代や軽トラ維持費も稼がにゃならんしな。

そうすると、農業をやるにしても「半農半X」と言う形で現金を得る手段を持っておかなければ凡人には厳しい というのが、1年間畑仕事の真似事と産直への出荷を目指す農業講習を経験した僕の結論でした。だから再就職先として、草刈りや水路維持、水田耕作をおこない(里山保全活動)給与ももらえる仕事を選んだわけです。 まあ、運が良かったよ。

んでも、この仕事に就けなかったとしても、子供がいなければ、人手不足の現在、割と半Xをアルバイトとして、必要な金額を稼ぐのは意外にありかな とも思いました。

それほど贅沢な生活はできませんが、書かれたように自分で米や野菜を造る生活は、自分の生き方に対してすごく安心感を持てます。「自分で造ったもの喰えば、少なくとも飢えることはない!」ですから。天候が激変しないかぎり。

また、ある種の人は、園芸をやっていると仕事のストレスが軽減されると思います。なにせ園芸を、心や体を病んだ人たちのリハビリテーションとして利用する場合もありますんで(園芸療法)。これは僕も十数年前に実感してます。

あとは、どうやって農地と住まいを手に入れるか ですね。田舎に実家がある人は、Uターンするのが一番早道だと思いますが・・・

 

 

 

蒲郡 竹島と蒲郡クラッシックホテル

以前、西尾周辺の温泉街をまとめた記事をアップしました。その記事は次第に温泉の話から、かつて鉄道省の国際観光局が建設した「蒲郡ホテル」の話、天然記念物「竹島」の話に移っていきました。

書いてて矢も楯もたまらず行きたくなり、ついに取材に(泊まりに)行っちゃいました。今回はその紹介です。

現在、往時の「蒲郡ホテル」は名前を蒲郡クラッシックホテルと名前を変えて、一般客も泊まることができます※。

まず、ホテルの立地がすごいです。竹島を望む海岸沿いの丘の上。

ホテルの窓から竹島を眺めると。

竹島に渡る橋の上からホテルを望む。

竹島は対岸と400mしか離れていないのに、島は暖地性の植生で、対岸の植物相とは大きく異なるという特異的な環境 として島自体が天然記念物にしていされています(1930)。

まあ、難しいことはよくわからんけど、島へ渡る橋のムードもいいし、水もきれいだし(夏は藻が繁茂すると思うけど)、散歩にはよろしいかと。

海底が見えるよ~。中央はたぶんカワウ君。

島には、琵琶湖に浮かぶ竹生島から勧請された弁財天さまを祀る神社がございまして、島自体がご神体。(本土側に崇拝所あり)たぶんそのおかげで、乱開発されることなく現在まで自然が残ってきたのでしょう。

島の奥の方(この社の左奥)へ進んでいくとあんまり見慣れない竹が生えております。「ホテイチク」と言うそうです。

ホテイチク

更に奥へ行くと岬になっておりまして、どうも風当たりが強いのか、すごくねじくれた松が生えとるのでございます。まあ、別に松は珍しくございませんが。

ねじくれ松

松を通して下の海岸を見ますと、島の周りは岩が露出しているのが分かります。

この辺りの海岸は(ほとんど原型をとどめていないが)砂質系だったでしょうから、この島と蒲郡クラッシックホテルのある丘だけ、地質が違うんですな。産総研が公表している1/20万分の一地質図で、この辺りの地質図は以下の通り。

地質の違いと、対岸と400m離れた環境が、周りと違う植生を生んだんですかね?(だとすると、竹島と同じ地質である沖の大島の植生はどうなっているんだろう?)

(追記)竹島と沖の大島の植生について、照樹葉一さまからコメントを頂きました。

大島の植生は代償植生で、シイ・カシ二次林を主体とします。
一方竹島の注目したい点は自然植生が残存し、一応タブノキ群落が成立しますがほとんどスダジイ群落が見られずモチノキが優占する点でしょう。
林床に優占する絶滅危惧種は特筆にあたいすると思います。

情報ありがとうございます。竹島と同じく沖の大島の植生も本土側と比較して特異であれば、植生に対する地質の影響が考えられて面白いんじゃないかと思いましたが、沖の大島は代償植生(人為的干渉を受けた植生)であるシイ・カシ二次林となっているとのこと。論拠にはならないですね。残念でした!

後段のコメントについては少し専門的かと思いますので、下に補足と言うか、調べて意訳したものを載せておきます。(理解が間違ってたらすいません。またご指摘ください。林床植物については完全に能力範囲外ですんで、補足はスルーさせていただきます)

「この辺りの環境条件から考えると、海岸部である竹島の植生はタブノキ、スダジイ等塩分に強い照葉樹の林になることが想定されます。でも実際に竹島を観察してみると、あんまりスダジイ(乾燥に強い)が見られず、モチノキが多く生えているところが注目点です。」

参考:千葉県立中央博物館 生態園>植物群落園>照葉樹林

渡辺一夫「イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか」築地書館

島に架かる橋は夜間に照明が撞きます。海風も吹いて、逍遥するにはちょっと乙だよね と窓から眺めてたらふと、カズオ・イシグロの映画「日の名残り」のワンシーンを思い出しました。

夜景

戦後すぐのイングランド南部。日没頃、海岸沿いのデッキ?を歩く老いたスチーブンスとミセス・ケントン。「人生とは・・・」と話す二人の前で、照明が点灯します。同じように逍遥していた人々は、それを見て拍手をしています・・・。

が、後で確かめてると、だいぶイメージ違いました・・・。

スティーブンスとミセス・ケントンの逍遥 (日の名残り より)

※蒲郡ホテル・1934年建てられた城郭風の建築。(経済産業省 近代化産業遺産指定)「華麗なる一族」のロケに使用。現在も「蒲郡クラッシックホテル」として営業。平日なら一名様15,000円くらいで泊まれます。この価格で、日没と暮れゆく三河湾を眺めながらフランス料理の夕食を堪能できるので、むしろお値打ちかも。 (味は、十分満足できると思います。)

また、昼過ぎにはホテル二階のカフェで1600円のケーキセットを注文すれば、上の写真の眺めが楽しめます。

ホテルのロビー吹抜とカフ