駅前が寂れるのは時間の問題だと思ってたけど。寂しいと言えば、少し寂しい。
つくばエクスプレス(TX)つくば駅前で、総合スーパー「イオンつくば駅前店」が31日閉店し、33年の歴史に幕を下ろした。入居する商業施設「クレオ」では8専門店も同日閉店。既に西武百貨店は昨年2月に閉店しており、つくば駅前の象徴、クレオは入居店舗がなくなり「休館」となった。相次ぐ大型店の撤退により、中心市街地の空洞化が懸念される。
・・・クレオの後継テナントについては、土地建物を所有する第三セクター、筑波都市整備(同市竹園)が継続して探しているが、決まっていない。市は公共施設の導入など積極的な関与を検討。市議会は市に早期対応を求めている。
イオンつくば駅前店などの閉店を受け、五十嵐立青市長は「非常に残念。クレオについては、引き続き筑波都市整備や関係者と連携しながら、公共施設の導入も含め、今後の在り方の検討を進めていく」とコメントした。
僕がつくばに住んでいたころは、まだ「つくばエクスプレス(TX)」なんてものは存在していなかった。東京へ出るには、いまのつくば駅にあった「高速バスターミナル」から、高速バスに乗ってました。
バスで東京へ行こうにも、東京方面行の高速はいつも渋滞し、着く時間は読めない。(2時間くらい見込む)就職活動とか時間厳守のときは、土浦駅か牛久駅まで自家用車を持っている友達に送ってもらって、常磐線で東京へ向かうのが通例だった。
あのころつくばは「陸の孤島」と呼ばれ、学生の間では「東京との間に時差が二時間」とも言われてた。 交通の便は悪く、学生はみんな自宅外下宿だったから、終電とか気にせず夜遅くから朝まで呑み会とかやってた。
口の悪い教授に言わせると、「君たちは(地理的要件もあり)社会の動きについていけてないから採用面接で落とされ、わが大学の就職率は非常に悪いんだ!」と言ってたな。正論だけど「お前に言われてもな〜」って思うけど。
閑話休題。あれからじき二十年。つくば市は「つくばエクスプレス(TX)」により東京へも通勤圏になるなど、便利になった。駅前には通勤族を見込んだ高層マンションもでき、合併し郊外に一戸建ても開発され、住んでいる人は急増した半面、買い物客も東京に取られ、駅前の大型店はいよいよ撤退する羽目に。うん、見えてた構図だ。
→孤立都市では、ある種の品を買うため、クレオや百貨店が必要だった。商圏の割に店が大きかったと思うけど。
それに対し「市議会は市に早期対応を求めている。」と言われても、手の打ちどころなんてないよねぇ。そもそも、つくば市の成り立ちからして、「駅前を盛り上げよう」って無理があるんだと思う。
僕がはじめてつくばに行ったのは、高校生のころ大学見学に行った時なんだけど、その時「ここアメリカだな」って思った。アメリカと言っても、映画を見て、アメリカにこんなイメージを造ってだけですけど。
- 道路がきちんと整備された車中心の社会。
- 広い庭付低層の住居が、たくさんの緑に囲まれ、郊外まで広く広がっている。
- 週末は車で郊外のショッピングモールに行き大量のお買い物。そのあと広い家の庭で、友達とか同僚家族を招いてBBQをやって過ごす。客も軽くビールを軽く飲んで、車を運転して帰る。もちろんシートベルトはしない(笑)。
たぶん、つくばの町や家の造りはこんな生活をイメージして設計されていたんじゃないかな。(中心部は、日本では珍しい計画都市)当時はショッピングモールなんて無かったけど、今はちゃんとそれがあるから、ますますこれに近い。
ま、日本人は「家に友達とか同僚家族を招いてBBQ」って一般的じゃないけど、総じて「週末を健全に過ごす」には良い場所なわけ。自家菜園とか(笑)。
東京へ通勤してたら平日に選択肢の多い東京で呑めばいいわけ。かたや平日のつくばの夜は呑み客が期待できず、そういう店は成り立たない面もある。そんな生活の中では、東京に出る以外に駅周辺に行く必要がない。
→この面で考えると、つくばは東京の巨大なニュータウンになってしまった。ニュータウンには、スーパー程度の店以外、あまり要らない。そんななかで何をやっても駅前が盛り場になることはないと思う。
つくばの取る道は、「ますますのアメリカ都市化」しかないんだろうか?
でも、本家アメリカではショッピングモールが衰退しており、日本もこの道を辿るだろうから「ミニアメリカ社会」でやっていける時間はあまりないかもしれない。
テナントが相次いで撤退、アメリカのショッピングモールの30%が危機に
業界内で「Aランク」や「Bランク」に位置付けられるアメリカ国内の売り上げ好調なモールの多くは、こうした動きの影響を受けずに済むだろう。
しかし、「Cランク」や「Dランク」に位置付けられたモールは、大きな影響を受けそうだ。
不動産リサーチのGreen Street Advisorsによると、全体の30%を占めるこれらのショッピングモールでは、客足の減少やテナント稼働率、販売効率の低下との戦いがすでに始まっている。撤退したテナントの代わりを見つけるのは困難だ。
とりあえずは、市が検討している公共施設を移転させ、「一応使っている」ことにするしかないだろうけど、全体の街づくりとして、どうしていけばいいんだろうか?
ショッピングモールが衰退しているアメリカでも、うまく回っている都市(ポストショッピングモール都市)はあるはず。パッと思いつくのは、ボルダーとか、シアトルかなぁ?そこではどんな都市計画が進んでいるんだろうか? 幸い、筑波大学には都市工学科があるんだから、いろいろ実験的にやってみるといいんじゃないかな・・・。