韓国の駆逐艦に近づいた日本の哨戒機に対し、火器管制レーダーが照射されたのではないか という事件について、日本の防衛省と韓国の国防省が、それぞれ自分の主張が正しい ことをPRする動画をYouTubeにアップしましたね。
リンクの一番目が日本の防衛省のもの。二番目が韓国国防省のものです。
どちらが正しいことを言っているのか?それは両方の動画を見れば明らかです。しかし残念ながら、PR戦略としては日本の完敗だと思いました。
まず動画の長さです。「日本海軍と韓国海軍が、なにやら争っているらしいぞ」と思って検索してみると、動画は二つあって、一つは13分29秒。もう一つは4分27秒です。 あなたなら、どっちを見ますか?
もちろん、短い方でしょう。 両方の画像を見て、どちらが真実に近いのか、自分で判断したい なら別ですけど、概要だけ知りたいってときは、短いほうを見ますよ。みんなそんなに暇じゃないし。短いほうが韓国のものです。
次にその内容。日本の映像は、ほぼ生で撮影したもののようです。自衛官が淡々と業務をこなし状況を報告する声が続き、見る側に明確な目的があってみるのでなければ、冗長で眠くなってしまいます。 僕でも「少し飛ばして見ようか」と思いましたもん。
他方、韓国側のものは「韓国の主張したいシナリオ」が きちんと整理され、それに基づいた映像としてきちんと編集されています。なんとBGMが付き、コメントもきちんと編集され、視聴者に訴えかけてきます。なので、特に何も考えずただ見てても退屈しないし、韓国側の主張が良く分かります。
PR戦略で国際世論を味方に付けるのに大事なのは、何が真実なのか ではなく、何を真実として視聴者に受け取らせるか なんです。韓国は明確に後者の道を選択し、日本は徹底的に前者にこだわり、後者の道を取らなかった。
そのうえで、以下の引用文を読んでください。
「情報を制する国が勝つ」とはどういうことか――。世界中に衝撃を与え、セルビア非難に向かわせた「民族浄化」報道は、実はアメリカの凄腕PRマンの情報操作によるものだった。国際世論をつくり、誘導する情報戦の実態を圧倒的迫力で描き、講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞をW受賞した傑作!
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情報戦というと、CIAやらMI5やらの情報機関が水面下で暗躍する、
「ごく一部の人しか知らない情報」をいかにゲットするかの戦いのことだと思われるかもしれない。しかし、いま世界を動かしているのは、自らに有利な情報を多くの人の目と耳に届け、その心を揺り動かすこと、いわば「出す」情報戦である。
情報は、自分だけが知っていても意味はない。
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現代では、それをいかに他の人に伝えるかが勝負になっているのだ。
これはNHKのディレクターである高木徹さんの書かれた「戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争」「国際メディア情報戦」の紹介文です。 日本と韓国はここで書かれた通りの情報戦をやってて、しかも日本は教科書通りに負けとる。
まだ巻き返せるチャンスは・・・あるのかな?とりあえず、韓国より短く、きっちりシナリオを踏んで編集したPR動画を、アメリカかどこかのPR会社に造らせて至急アップすべきではないかと思いますね。
にしても、まだ友好国が相手で良かったですよ。これが(仮想)敵国相手だったら、目も当てられんですから。まだ韓国とは、いあんふとかちょうようこうとか何ラウンドか国際世論にPRすべき事案が他にもありますから、その前に演習ができて良かったと思えば・・・。さっさと戦える体制を整えよう。
と、そもそもの話なんだけど、あそこで韓国の軍艦は何をやってたんじゃろ?
北朝鮮の漁船を救助しとった?らしいけど、それは韓国海洋警察庁(日本で言えば海上保安庁) の仕事ですよね。常識的には、警察で対処が困難な事象だったり、大規模事故なら軍隊も救助に向かうでしょうけど。でも当日の天気は快晴。波も穏やか。救助すべきは漁船一隻。事実として海上警察が救助活動中なわけ。 軍艦は・・・飢えた北同胞の漁船を、敵である日本海軍から守るため(笑)。
いずれにせよ、韓国の軍艦がいなければ、日本が哨戒機を飛ばすこともなかったし、仮に飛ばしても海上保安庁だったかと。したら、火器管制レーダーうんぬん ってこと事体、発生しえなかったんだけどな。
日本軍も韓国軍も、防衛予算はあれど、アメリカの独裁者、ドナルド・ダック氏に「シンゾーはいい奴だ」と言われたいばっかりに高級玩具を押し売りされ、「在韓駐留してんだからもっと金を出せ」と出張押し買いの最中。両軍ともいじめられっ子同士、仲良くできるはずなんですけど・・・。
PS.明日、逮捕されている日産の前会長、ルノー会長のゴーン氏の意を受け、彼の弁護人が外国人特派員協会で会見するようです。超日本的保守組織である日本の検察・裁判所に対し、ゴーン陣営が練りに練ったPR戦略(国際標準の)を見せてくれるのではないかと、ちょっと楽しみです。