米国で財政赤字の拡大を容認するMMT(現代貨幣理論)を巡る議論が2020年の大統領選を控えた政界で活発になっている。その趣旨はこうである。
話題のMMT(現代貨幣理論)とは ~MMT自体は異端だが、主流派経済学者も財政出動容認に変化~
「自国通貨を持つ国は、債務返済に充てる貨幣を無限に発行できるため、物価の急上昇が起こらない限り、財政赤字が大きくなっても問題ない」
実際、日本がこの事例研究の先駆けになっているとされており、日本でも米国の論争をきっかけにMMTへの関心が高まっている。
「自国通貨を持つ国は、債務返済に充てる貨幣を無限に発行できるため、物価の急上昇が起こらない限り、財政赤字が大きくなっても問題ない」
主流派の経済学者からはボロクソに言われている「理論」だけど、経済学者ではない僕としては、「これって(常識的に)それほど間違ったこと言ってないんじゃないの?」と思ったりする。日本の状態を見ていると。
ただね、ニュースを見ていていくつか分からんことがあるんだよね・・・
①そもそも、これって「理論」なの?
コトバンクによれば、理論とは「個々の現象を法則的、統一的に説明できるように筋道を立てて組み立てられた知識の体系」のことを指すようです。だけど、素人がMMT理論の解説を聞いても「結論だけポッと出て、この結論を統一的に説明できるようにできているのか」がわからないんですよ。
別に、素人に向けて細かい説明をする必要はないのかもしれませんけど、 常識的には、この理論の趣旨は理論というより「マーフィーの法則」とか「経験則」に近い、あるいは学術的には「仮説」っていうんじゃないかと思うんだけどな。
ある「仮説」の筋道を専門家が寄ってたかって吟味して、物事を統一的に説明できるように改善され、多数の専門家がその説が正しいと信じることができたものが、理論になるんじゃないかと思うんだけど。
②仮に理論が正しくても、使えない机上の空論じゃね?
この部分ですね。「物価の急上昇が起こらない限り」
この理論は、真実なら日本の政治家にや国民にはうれしい理論です。税金あげずに行政・社会サービスの充実ができるから。けど財政赤字を「物価急上昇」が起こるまで続けるのはヤバいんすよね。んじゃ、 どうなったら「物価急上昇」って起こるんですか?
それがわからないと、怖くてそんな政策実施できないじゃないですかー。
日本の場合、MMT理論に近い政策を取って、物価の急上昇どころか物価の上昇(=インフレ)がちーっとも起こってないんすよね。日銀の黒田総裁も、なんでインフレ率上がらないのか、頭抱えているのが実態なんでしょう。
そんな状態で「物価が急上昇するまで、財政赤字出してみよう!」みたいな特攻、しないでね〜。
6月12日追記 MMT理論が、物価急上昇をどう説明しているのか、理屈が分かりました。 以下、要点だけ引用してまとめちゃいました。正確にはリンク先を読んでね。
なぜ、MMTは、こんなに嫌われているのであろうか。 その理由の根源は、貨幣の理解にある。
現代の通貨は、金との兌換が保証されていない「不換通貨」が一般的になっている。このことを、主流派経済学は「商品貨幣論」によってどう説明するのか。 (この「商品貨幣論」は、実は、誤りなのである。)
MMTの答えは極めて明快だ。・・・政府は、通貨単位で価値を表示した「通貨」を発行し、租税の支払い手段として定める。これにより、通貨には、納税義務の解消手段としての需要が生じる。・・・ こうして人々は、通貨に額面どおりの価値を認めるようになり、その通貨を、民間取引の支払いや貯蓄などの手段としても利用するようになり、通貨が流通するのである。
政府の徴税権力こそが、通貨の価値を担保するアンカーとなっているのだ。
それゆえ、内乱などで無政府状態に陥った国家では、政府の徴税権力も弱体化するから、通貨はその価値を失い、超インフレに見舞われる。逆に言えば、政府権力が正常に機能していれば、戦争や石油危機のような有事でもない限り、インフレが制御不能になるなどということはありえない。
MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由
主流派経済学では、通貨が価値あるものとして流通している理由を 「商品貨幣論」 として説明します。けどそもそもその理論が間違ってて、「政府が定めた通貨での納税をの強制するから」人々はその紙切れを価値あるもの(=貨幣)として信任している ってことですね。
それはそれで理屈が通っているように思えます。その先に、 「政府が正常に機能していれば 、制御不能なインフレにはなり得ない」ってのもそうかもしれないなあ・・・ MMT理論、それなりに筋が通っていそうな感じがします・・・
この記事を書いたのは、中野剛志さんと言うそうですが、一度著書を読んでみようかな。