という記事が、11月22日の中日新聞に載っていました。概要は以下の通りです。(系列の東京新聞のtweet記事)
集団移転、補助対象を拡大 規模5戸以上で調整
2019年11月22日 06時07分政府は21日、土砂崩れや津波、浸水の危険が高い地域から住民の集団移転を促すため、市町村に対する国庫補助の対象を拡大する方針を固めた。集団移転先の住宅団地の規模に関する要件を「10戸以上」から「5戸以上」に引き下げる方向で調整しており、2020年度から適用する。台風19号の被害も踏まえ、災害が起きる前の「事前防災」につなげる。
災害前の移転は、緊急の理由なく住み慣れた土地を離れることになり、住民の意見がまとまりにくい。東日本大震災の後は、被災地以外でも将来に備えて移転を模索する動きがあったが、実現していない。
東京新聞
こういうの、いい取り組みだとは思うんですけど、書かれている通り、10戸を5戸に変更したからと言って、「事前防災」に繋がるかは微妙です。東日本大震災を受けてからでも、実現はしていないっていう位ですから。
住み慣れた土地を離れると言っても、例えば同じ町内で5軒や10軒まとまって移動するなら、「それほど違いはないんじゃないの?」と転勤族で「住めば都」派の僕などは思ってしまうのですけど。
Tweet記事には書かれていませんが、中日新聞(紙面)の記事では「政府は具体的な対象地域を想定していないが、堤防や砂防ダムの整備が遅れている地区で、川や崖が近い小規模集落での活用を見込む」とのことでした。
それなら、この要件緩和の趣旨を踏まえて一言言いたい。 「市町村に対する国庫補助の対象」とするのではなく、国や県の砂防や河川事業を実施している部署にどちらかを選べる権限と予算を付けてあげて!」と。
極端な事例になりますが、「5戸を守るために砂防ダムを造るか、砂防ダムを造る予算を5戸に分配して、そのお金でより安全で交通の便の良い場所に移ってもらう かを選べるようにしてほしい」 と言うこと。
規模にもよりますが、砂防ダムを一基造るのに、工事予定地までの取り付け道路建設やのり面保護まで含めると、「2億円」かかるという事例は、そう珍しくありません。 そんな砂防ダムは造るのを中止しますが、一軒に4千万円支払うので、より町中心部の安全な場所に引っ越していただけたら・・・
4千万円あれば、現在より安全な土地と家屋、必要なら水田や畑を購入することが可能です。そういうところに住んでいる方は高齢の方が多いので、買い物や通院に便利な土地を選ぶことも可能でしょう。うまく場所を選定できれば、市町村としても、訪問介護等の行政サービス、道路の維持・補修、電線や水道などのインフラ維持費用が節約できるようになるので(コンパクトシティ)、これは悪い話ではないでしょう。というか、人口右肩下がり社会、日本では、なかなかよい政策になるんじゃないでしょうか?
「 災害前の移転は、緊急の理由なく住み慣れた土地を離れること」がネックなんですけど、「砂防ダムをつくるか、造るお金をみんなで分けてより安全な場所に移転するか」って「緊急の理由」になると思いますので、決断もしやすいのかな って思いますし。
問題は、「砂防ダム建設費」と 「事前防災のための移転費」の予算を持っている部署が現状全くの別組織であること(国や県の地方事務所VS市町村の防災課?)。それから現在の行政の制度では移転の場合、「移転者にもメリットがあるから(例えば安全な場所で新築の家に住める)その分の利益は移転者負担」としか考えようがないところかと。
「砂防ダム造らんのやったら、造るのにかかる予定額を、移転者で山分けして安全な場所に住んでもらったらいいですやん。工事せんから自然は守れるし、コンパクトシティ化進むし、トータルでみたら同じ費用掛けてもいいんじゃね?」 って、常識的には妥当な考えだと思うんですけど、行政的には認められないんですよね。
と、昔 田舎で砂防ダムの工事監督していた僕は思うのであります。