意味の分からんタイトル・・・ではないでしょうか?まあ、おもにアメリカ合衆国のお話ですし。
河川管理って、日本国内では誰がやるか知ってますか? うん、行政ですね。すごく簡単に言うと、でかい川の重要な区間は国の機関が、すごく小さな川は市町村が、それ以外の川は県が河川管理をしています。
西尾市で具体的に一例を挙げると
- 矢作川の管理は国の機関(国土交通省中部地方整備局豊橋河川事務所)
- 矢作古川や北浜川主要部の管理は愛知県(愛知県建設局河川課)
- 北浜川上流部の管理は西尾市(西尾市建設部河川港湾課)
んでは、アメリカ合衆国の連邦政府機関で日本の「国土交通省」に相当する役所はどこかと言うと、内務省と陸軍工兵隊( United States Army Corps of Engineers )です。
日本の国土交通省も戦前は内務省の一部でしたから、アメリカでも内務省が管轄するのはわかります。けど、陸軍工兵隊ってれっきとした軍隊ですよね ・・・
日本にから見ると、なんでこの分野を軍事組織が担当しているのか興味を覚えますよね。その理由はいったい?
世の中にはそんな奇特なことに興味を持つ人が(河川屋以外に)いるのでして、関連した論文までネットで公表されてます。
玉井良尚 「アメリカ軍の戦略的水管理の起源を探る」 立命館大学地域情報研究所紀要
内容は読んでいただければ と思いますが関係ある所だけ触れると「当時のアメリカは国内の大河川を平時の輸送路としてだけでなく、 米英戦争の教訓から戦時輸送網として非常に重視していた。ゆえに、軍隊組織である陸軍工兵隊に航路としての大河川の管理と改修の権限を与えた」ということのようです。このころの「アメリカ連邦」政府は「小さくあるべき」とされてきたので、この仕事を連峰政府の機関が実施することが決まるまで、すったもんだあったようです。
また戦時の輸送路としての河川の重要性を示す例として、「南北戦争時に南部を貫くミシシッピ川を北軍に封鎖された南軍は、主要生産物である綿花の国外輸出だけでなく南部諸州の物流や兵站補給が滞ることになり、南部が経済的困窮に追い込まれる軍事的手段になった」ことをあげています。 なるほど※。
アメリカ陸軍工兵隊について
そんなこんなの歴史的経緯から、アメリカでは大河川の管理を陸軍工兵隊に任せてるわけです。その範囲はミシシッピ川が主とは言え、全国規模。その組織概要はなかなか分かんなかったんだけど、ネットでいい資料を見つけちゃいました。
河川環境管理財団 米国陸軍工兵隊「河川水理学」エンジニアリングマニュアル調査報告書 河川環境管理財団が、工兵隊のエンジニアリングマニュアルを翻訳した際の現地調査記録のようです。アメリカ陸軍工兵隊という組織についてネットに落ちてる日本語で書かれたものは、これが一番詳しいんじゃないでしょうか。
ふーん。河川管理と洪水防御は工兵隊の仕事で、水質保全や動植物の保護は環境省が主なのかぁ。日本は全部河川管理者の仕事だから、そのあたりは違うなあ。それから地方政府のダムでも、洪水防御の機能が入ると国(工兵隊)が管理をするのかあ。これも日本と違うね。
工兵について
工兵は、陸軍における戦闘支援兵科の一種であり、歩兵、砲兵、騎兵に並ぶ四大兵科の一つである。陸上自衛隊においては施設科と呼ばれる。
工兵の主な任務は、敵前での工作を任務とする戦闘工兵(陸上自衛隊では「戦闘支援」)と、作戦全般に寄与するより大規模な建設工兵(陸上自衛隊では「兵站支援」)の2つに大別される。
wiki 工兵
戦闘工兵をアメリカ軍でイメージすると、アフガニスタンとかイラクで、埋められた地雷を探知し処分する部隊・・・ですかね。 その部隊を退役した主人公がうまくやれなくて戦友を失い、そのトラウマに苦しむ・・・みたいな映画がありましたね。 自衛隊で言えば、「戦時中に投下された不発弾が発見され、自衛隊が処理しました」というニュースでの実働部隊は、ここでしょう。
ずっと触れてきた陸軍工兵隊は、まさに建設工兵の平和時の姿です。日本でも昔は自衛隊が道路建設とかを請け負ってた時代があります。田舎に行くと通称「自衛隊道路」ってのがありますからね。似たようなものです。
※南北戦争と戊辰戦争期(明治維新あたりの戦)とは歴史的に関連があります。南北戦争終結(1865)で大量に余ったエンフィールド銃が、中国(太平天国の乱)や日本(戊辰戦争1868)に大量に流れ込み、それを主力に戊辰戦争は戦われたのです。 が、日本には関東から東北へ流れるような大河がなく、兵站輸送に利用されなかったので? 明治政府での河川管理は日本陸軍工兵隊ではなく、内務省土木局でやられるようになったのかしらん??