土木施工管理技士の試験に合格しました!試験を受けること苦節3回
この試験は「学科」と「実地」という名の二次試験があるのだけど、僕は毎回「学科」は受かれど、「実地」が受からなかったんですよ。
「実地」試験は、記述式の 学科の問題と「これまであなたが担当した工事で、品質向上(※)を図るため検討・実施した課題を論述せよ」という経験論文から成るのですが、僕、書類上はともかく、あんまり実務経験がないので(ペーパードライバー:役所で工事監督した経験もあるけど実態はたまに検査に行くぐらい、普段はデスクワークなので:運転試験の経験記述に苦戦したと・・・)
※候補は「工程管理」「安全管理」「出来形管理」など
で、施工管理技士の資格を取るとどんないいことがあるのかと言うと・・・
- 公共工事で必置となる主任技術者や監理技術者になるために必須の資格
- 災害復興とかで、現在需要は非常に高い(もちろん経験が重視されるが)
- 経営事項審査(公共工事の入札に参加する建設業者が受けなければならない審査)において、社内の施工管理技士の人数は技術評点の対象。特に一級は最高の技術点を付与される。
- 「なんだよ〜公共事業にべったりじゃねーか」な資格。まあ国家に守られた独占資格って、就職に有利なのは確か
てなことで、特にゼネコン(「General Contractor」元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者)に勤めるには必須の資格になります。
ゼネコンの 設計部や営業部に属さない、大半の技術系社員はちょっとユニークな形で働いています。公共工事の場合、一つの工事現場に常駐する(関わる)ゼネコンの社員は大抵 1人( 「現場代理人」と「主任技術者」を兼任)。 監理技術者 が必要になる額の大きな工事においても、大抵は 「現場代理人」と 「監理技術者」の2人しかいません。 施工管理技士の受験には実務経験が必要なので、 二人の場合は若い技術者が現場代理人を、ベテラン技術者が 主任技術者か監理技術者を勤め、若手はOJTで経験と試験に必要な実務経験を稼ぐ感じです。
会社からは「×千万円で契約したから、その金で工事を完成させてね。そのうえで〇%利益を上げて」って言われます。そして工事現場の近くにプレハブの事務所を立て、日々会社ではなく事務所へ通うことになります。用事があれば会社にも行くっていう感じ。 「現場代理人」 ってのは、その工事について会社の代表取締役の代理を務める っていう意味なのです。
その少数精鋭の社員が、現場の状況にあわせて工夫した工事の計画を立て(施工計画)、実際に工事を行う下請け会社(Subcontractor)と契約を行い、材料や必要に応じた専門業者も手配し、 工期までに完成するよう工程管理を行い、 安全管理を行い、発注者(役所)や周辺住民との調整、苦情対応を行い、工事完成後は検査を受け、工事と技術者の評価を受ける・・・
会社には属しているけど、かなり独立性の高い、責任も重い、大変な仕事です。資格も必要なんだけど、調整能力や経験も大事。とてもじゃないけど僕には無理です。
えー、じゃあ何のためにオマエは資格取ったんだよう? うーん・・・ガチに就職する場合(現状その気はないですが)、自分の経歴上この業界が有力候補になります。そうするとこの資格はあるに越したことないです。それに看板だけでも、理論(建設系技術士)と実践(土木施工管理技士)の両方あるとかっこいいじゃないですか〜(笑)。
この資格については、他にこんな記述も。
陸上自衛隊において施工管理技士は、施設科において幹部自衛官(3尉以上)となるための必要資格である。
土木施工管理技士
施設科の仕事内容を考えると妥当なとこです。
ただ、普段の仕事の内容を考えると施工管理技士の資格を持つ人( =日常的に仕事として公共工事の主任技術者や監理技術者をやる人)って、普段から多くの人に指示を出したり、工程管理をしたり、上部機関(役所)と交渉・調整したりしてるのです。これっていざ戦時においても、軍隊における部隊の指揮官として、とても適応度高いと思うんです。
ってようなことを自分が感じるようになって初めて、初代土木学会 会長・古市公威が語る「土木学会の精神」の言葉が腑に落ちるようになってきたですよ。正直始めは、「時代背景を差し引いても夜郎自大じゃねーか、恥ずかしいなコイツ」 って思っていたんです。 初心者が読めば、そう感じても仕方ない文章です。でも、今読むと非常に含蓄に富んでると思うんです。
本を読んでても、ある年代になって経験を積まないと味わえない感覚 ってありますね。若い時分だからこそ感銘できる文章 があるように。
部分抜粋
本会の会員は技師である。技手ではない。将校である。兵卒ではない。すなわち指揮者である。故に第一に指揮者であることの素養がなくてはならない。そして工学所属の各学科を比較しまた各学科の相互の関係を考えるに、指揮者を指揮する人すなわち、いわゆる将に将たる人を必要とする場合は、土木において最も多いのである。土木は概して他の学科を利用する。故に土木の技師は他の専門の技師を使用する能力を有しなければならない。且つ又、土木は機械、電気、建築と密接な関係あるのみならず、その他の学科についても、例えば特種船舶のような用具において、あるいはセメント・鋼鉄のような用材において、絶えず相互に交渉することが必要である。
・・・
なお本会の研究事項は工学の範囲に止まらず現に工科大学の土木工学科の課程には工学に属していない工芸経済学があり、土木行政法がある。土木専門の者は人に接すること即ち人と交渉することが最も多い。右の科目に関する研究の必要を感ずること切実なるものがある。
古市公威 土木学会会長就任演説
ということで、それを感じるようになった僕も、有事に徴兵されたら有資格者ってことで兵ではなく、いきなり将校( 幹部自衛官 )に任命して貰えないでしょうか。能力不足は認めますけど、日本の兵教育とか、陰湿さが想像できてマジ勘弁。
初年兵を苦しめたのは、課業時間以外の内務班生活における古年次兵からの私刑である。これは規則で禁止されていたが、黙認されていた。多くはビンタなどの体罰だが、体罰によって怪我をさせると無いはずの私的制裁の存在が否定できなくなるため、セミやウグイスの真似をさせたりして精神的な苦痛を与えたりするなど、様々な「しごき」があった。
兵 (日本軍) 教育 初年兵教育