何やら、中国の三峡ダムが大変なことになっていた(いる?)ようで・・・
中国・三峡ダムに過去最大の水量流入、いまダムはどうなっている?
2020年8月24日(月)11時30分Newsweek日本版
長江上流域の各地で続く大雨は中流の三峡ダムに流れ込む水量を増加させ続け、8月20日朝には過去最大規模の毎秒7万5000立方メートルに達した。
習近平(シー・チンピン)国家主席は18~19日に豪雨被害の安徽省を初めて視察し、対策強化を指示したが、三峡ダムは未曽有の大災害を回避できるのか。
僕は日本で、ダムの建設工事やダム管理所で管理に携わった経験があるのですが、ダムへの最大流入量75,000m3/sって、一体どんな状況なのか全く想像できないです。まあ日本のダムでは考えられない数値なので。
ってことで、三峡ダムと日本のダムを比較してみました。日本のダムの代表としたのは、天竜川にある「佐久間ダム」です。 日本の大河川・天竜川本川中流部にある同形式のダムってことで、長江本川中流部にある三峡ダムとの比較にはちょうど良いかと思いまして。 ではどーぞ。
うーん。一番右の列に、三峡ダムと佐久間ダムの数値比率を取ってみたんですが、三峡ダムは佐久間ダムと比較して、流域面積が240倍、貯水容量が120倍、長さ8倍、高さはほぼ同等って感じ。
佐久間ダムも「日本第9位の高さと第8位の総貯水容量を有する日本屈指の巨大ダム(wiki)」なんですけど、三峡ダムと比較すると模型見たいですねえ(重力コンクリート式ダムで日本最大の貯水量の数字を持ってきても、奥只見ダムの601,000,000m3)。
ちなみに佐久間ダムはだいたい1400m3/sを超えると「洪水モード?」になるようです。
現在の佐久間ダム放流操作は、電源開発(株)が実施しており、洪水時の主な操作は次のとおりである。
平成22年度 第6回佐久間地域協議会 議事要点 浜松市
佐久間ダム流入量が1,400m3/sに達するまでは、流入量に対し同じ流量を放流する。
流入量が1,400m3/sを超えた段階で放流量1,400m3/sを1時間維持し、流入量がピークに達するまでは、1時間前の流入量と同じ流量を放流する。
まあ比較しておいてなんですけど、日本みたいな造山活動な盛んな土地を流れる河川と、それが終わった大陸の河川とはそもそも全く違ったものであり、形式が同じだから・・・と両国の大河川に造られたダムを比較することが、本来無茶だった(笑)。
造山活動の盛んな土地の河川と、安定した大陸を流れる河川の違いについて、防災科学技術研究所のHPにいい資料があったので引用します。
天竜川の河川勾配は、この表だと木曽川程度です。図を見れば分かる通り、日本の洪水は、一気に海まで流れ下ります。実単位としても、まあ1日程度頑張ればなんとかなります(堤防から氾濫しちゃったら水が引かなくてダメだけど)。でも中国みたいな大平原を流れる河川では、水位が高い状態が数か月単位で続くんでしょう。
筆者は中国ではないが、かなり地形の似たタイ国に5年ほど住んでいたことがある。タイという国は、国全体が沖積平野でできているようなものであるが、この国に洪水が起きることは6カ月前くらいからわかるのである。洪水は山奥からそれこそ、のそり、のそりと下ってきて、河口にいたるのであるが、チャオピヤという河の河口部にタイ国の首都、バンコクがある。そこで洪水がおきたら、水はなかなか引いてくれない。われわれ、つまり私と家内と娘、はその中をジャブジャブ歩いて買い物に行くのである。・・・
このようなことは、いろいろな本に書いてあって、理屈の上ではたいていの日本人は理解できていることである。しかし、体験的、あるいは生理的に理解することは非常に困難なことであるようだ。傾斜の急な地域に住んでいるわれわれ日本人にとっては、洪水というのは突然やってきて、せいぜい1週間の間に終わってしまうものと相場がきまっている。
鹿島出版会「わかりやすい水の力学」椎貝博美 昭和54年
そうなんですよね。知識としてはあるけれど、なかなかそれが実感というか理解できないので、ちょっと比較してみるか って思うものなのです!
にしても、長江でダムを造るとなれば、日本と名前こそ同じ重力ダムと言えど、その建設方法や管理方法も、日本とは全く違う形で行われていることでしょう。ちょっと見てみたいなぁ。