佐渡金山って「世界に誇る」文化遺産なんですか?

【ソウル=時吉達也】日本政府が1日、「佐渡島の金山」(新潟県)の世界文化遺産への推薦を閣議了解したことを受け、韓国政府は対応部署を新設し、官民を挙げて登録阻止に取り組んでいく方針を打ち出した。韓国メディアは「骨を削るような外交戦へ」(ハンギョレ紙)などと速報している。

佐渡金山 韓国が対応部署 「骨削る外交戦で登録阻止」

はあ。いつもの国が、いつもクレーム。鉄板ネタっすね。律儀なことで。

それはそれとして、そもそも佐渡金山って、「世界に誇る文化遺産」に値するのか、いまいちわからないんですけど・・・ 

国内を代表する金山である「佐渡島の金山」では、江戸幕府の直接管理の下、高純度の金を産む生産技術とそれを可能とする高度に専門化された生産体制が整備され、世界でも類を見ない大規模な金生産システムが長期間にわたって継続していました。これは同じ頃にヨーロッパとその進出先で行われていた動力機械装置を多用する鉱業とは対照的なあり方を示すものです。また、幕府によって日本各地から集められた労働者たちによって、信仰や芸能、娯楽などの豊かで多様な鉱山由来の文化が育まれました。
「佐渡島の金山」では異なる二つの金銀鉱床(鉱脈鉱床・砂金鉱床)の開発が進められ、17世紀には世界最大級の産出量を上げ、江戸幕府の財政やオランダを通じて世界貿易にも貢献しました。
現在、佐渡には金の生産技術に関わる採掘・選鉱・製錬・精錬の遺跡、生産体制に関わる奉行所跡や鉱山集落跡などが残り、鉱山の全体像を理解することができます。
こうした遺跡が良好な状態で残るのは世界的に見ても佐渡だけであり、そこに世界遺産登録の意義があると考えています。

佐渡島の金山 世界遺産登録を目指して

まず後半部から。

当時、佐渡の金山が世界有数の金鉱山であったことは間違いないし、その遺跡が良好な状態で残っているのもそのとおりだと思うけれど、それって「文化的価値」なの?

前半部の文言は、一見意味が取りづらい、でも非常に意味深な迷推薦文ですねえ。「モノは言いよう」というか。

高度に専門化された生産体制が整備され、世界でも類を見ない大規模な金生産システムが長期間にわたって継続していました。これは同じ頃にヨーロッパとその進出先で行われていた動力機械装置を多用する鉱業とは対照的なあり方を示すものです。

同時代のヨーロッパの鉱業で、動力機械が何に使われていたかというと、地下坑道に大量に湧出する地下水をくみ出すためのポンプとして使っていたのです。他方、動力機械のなかった江戸時代の佐渡金山では。その仕事を人力でやっていました(水替人足)。

また、幕府によって日本各地から集められた労働者たちによって・・・

劣悪な環境下での重労働でしたから、初期は高賃金で人を集めていました。が、次第に坑道も深くなり更に労働条件が悪化すると人足のなり手がなくなります。困った幕府は、全国(の農村)から江戸(仕事のある大都会)へ流れ込んだ「無宿人」(戸籍のない人)の排除政策を兼ね、彼らを佐渡に送り、水替人足として使役したのです。その境遇は悲惨でした。

「四十をこえたるはなく、多く三年、五年の内に肉おち、骨かれて、頻りに咳出て、煤のごときもの吐きて死する」

佐渡金山を含め佐渡全島を支配していた幕府の出先機関「佐渡奉行所」の奉行、川路聖謨が「島根のすさみ」に書き記したものです。  

 無宿人とは言えあまりに酷い(量刑期間前に島から抜け出せば死罪) という声も出て、「人足寄場」が設置された という説も。 「鬼平」が関わってくる話(笑)。

江戸幕府の設置した軽罪人・虞犯者の自立支援施設である。
軽度犯罪者・虞犯者に対して教育的・自立支援的なアプローチを取り入れた処遇を行った点が当時としては画期的だった。しかし、実態は現在でいう強制収容所に近く、後述のように問題が多々あった。
人足寄場の設置以前には、無宿者の隔離および更生対策として佐渡金山への水替人足の制度があった。しかし、水替人足は非常に厳しい労役を強いられるものであり、更生というより懲罰という側面が強かった。そのため、犯罪者の更生を主な目的とした収容施設を作ることを火付盗賊改方長官である長谷川宣以(長谷川平蔵)が松平定信に提案し、人足寄場が設置された

加役方人足寄場

佐渡というのは、古事記の「国生み神話」にも出ており、古くから島一つで「佐渡国」を形成していた歴史ある島です(でも、「佐渡国・国司」っていないよな。それでも国分寺は建てられてるな。本田「佐渡守」正信(徳川家康の謀臣) とかいるし・・・)。それに佐渡の小木港といえば、北前船の寄港地として有名。ゆえに、特色ある豊かな文化を持った島だと思います。

が、「鉱山」に限定すると、背景として前述のような人々も含めた上での「多様な鉱山由来の文化」を、誇らしげに発信できるものか・・・むしろ日本文化的には、「秘すれば花」という扱いがふさわしいのではなかったかと。(もうオオゴトになってるから、引くに引けないけど)

いや、もしかして、(それを含めた悲惨なシステムが)長期間にわたって継続していた ことを自賛しているのかな?であれば、それはそれですごい文章です。世界に『日本の「社畜」「過労死」「無理ゲー」「機械化できるものを機械化せず(IT化しない)むしろそれを正当化する」文化的原点ここにあり』と知らしめるのが目的の深謀遠慮なのかも(笑)いや、笑えんな。

ことの発端は、ただ単純に、「西の石見銀山が世界遺産なら、東の佐渡金山も」くらいだったのかもしれないけれど。

そういや某国も「強制徴用」を問題にするなら、この非人道行為をもってふさわしくないと言うなら、イチャモン国家ではなく人道国家として、世界に見直されるんじゃないすか?・・・現在の基準で、歴史を評価してはダメ と言うのが一般的な見方ではあるでしょうけど、彼の国では、非人道的行為は時代を超越する みたいだから、ね。

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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