「学校」を巡る最近の記事を読んで

部活動での丸刈りの強制などが原因で退学を余儀なくされたとして、熊本県立済々黌高校の元生徒が熊本県を訴えた裁判で、熊本地裁は5月30日、元生徒の請求を棄却する判決を言い渡した。
 2017年に同校に入学した元生徒の男性は、入学直後、ソフトテニス部で丸刈りにされ、応援団から屋上で校歌を歌うことを強制されたと主張。うつ状態となって退学せざるをえなかったと、2019年に提訴している。
 上級生からの指導は生徒の間で「シメ」と呼ばれ、元生徒は「学校がシメを認識したうえで適切な措置をおこなわなかった」などとして、熊本県に対し慰謝料として「1円」の損害賠償を求めていた。

熊本地裁の中辻雄一朗裁判長は、校歌指導は「体調面など配慮するよう事前準備をおこない、教員も指導の様子を見守っていた」とし、丸刈りについても「生徒は入部前に丸刈りにすることを知っていた。部の顧問は自主性の範囲内でするよう指導していた」などとして、原告の請求を退けている。

「丸刈り強制裁判」生徒の訴え棄却で “学校の理不尽” めぐり論争「悪しき風習やめるべき」「合わないなら去ればいい」

はあぁ、可哀想に。

「入学直後ソフトテニス部で丸刈りにされ」軍隊への入隊儀式みたいだな。「自主性の範囲内でするよう指導していた」とか、受け入れられない子にとって、それが一体何の役に立ってたというのでしょう。

まあ、ちゃんと対応してたから法的に問題ない という結論も、日本でそうなることはわかっちゃいるけれど・・・「謝罪の意を示すため丸刈りにする」という意味のわからん儀式が今も脈々と息づき、それなりに支持されている国においては。

痛みの何分かを、私も受けさせていただきます・・・って意味なのかなと思うのですが、それって何も相手に返してないし、馴れ合いみたいで気持ち悪い・・・

自分は経験したことは無かったのだけれど、僕らの時代、「部活で次の試合で絶対勝つという気合を見せるため、全員丸坊主にする」とか意味のわからんしきたりはありました。

でも勝利が目的なら、頭を坊主刈りにする「儀式」以前に、他に優先してやるべきこと、考えるべきことが絶対あるはずです。僕、この思考停止(坊主刈りにすれば結果がどうであろうと免責)+赤信号、みんなで渡れば怖くない 的思考が大嫌いなんで。 本来、頭を剃ることと、勝負に勝つことや謝罪とは、論理的に繋がってないもの。

「応援団から屋上で校歌を歌うことを強制された」こういう経験はないのだけれど、大学の山登りサークルの新年会で、OB含めた全員で肩を組み、宣揚歌を歌わされる という謎の儀式があってマジ引いた経験はあります。 僕はそういうの生理的に受け入れられないタイプなので、もう二度と出席しません。そもそも山登りとなんの関係が・・・

あ、でもこういうの、日本社会の集団には似たような状況ってありますよね。 それに載らない(同調しない)奴は村八分にされる・・・みたいな。

学校は、日本社会の縮図ってか、同調圧力の最も強い場所の一つ という意見もありますね。

小学5年生の帰国子女の娘がクラスで浮いた存在に…日本人特有の「同調圧力」に悩む38歳の母親に鴻上尚史が答えた“2つの戦略”とは?
『鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』より

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 スポーツ庁が主導する有識者会議は31日、運動部活動を地域に移行することなど、部活改革の提言を固めた。近く国に提出する。2023~25年度を「改革集中期間」とし、公立中学校の休日の指導を民間クラブなどに委ねていく。

公立中学の部活、休日は学校外部へ 「教員頼み」卒業への第一歩

そもそも、休日(学校が休みの日)に、部活動が活動している のが、おかしいと思うんですが。 定休日の商店で、商品が売られてたら・・・おかしいですよねぇ。

この場合の改革とは、「部活の指導を教員から外部へ移行すること」ではなく、「学校が休みの日は、部活(学校活動)も休み。運動したいやつは勝手にクラブでも行け。学校は関与しません」と宣言することだと思うんだけど。ま、部活命の教師もいるからそんな宣言できないだろうがね。 生徒も先生も少数派は大変だよね。

初任校でバスケットボール部の主顧問を頼まれた。週末の休日を確保しつつ、副顧問と交代で練習を見ていたら、怒りだしたのは生徒でも保護者でもなく他部の顧問の教員だった。
「練習時間をもっと長くしろ」「顧問が2人いるなら2人とも毎日部活を見るべきだ」
 休日に部活を休みにすれば必ず「どこで何をしていたのか」と聞かれる。
 干渉してくるのは部活指導をしたくて教員になった人ばかりで、皆で部活動に関心が薄い教員の陰口を言うのが常だった。男性教員は次第に休みをとりづらくなった。

部活に打ち込まないと「いじめられる」教員たち 他部の顧問から「陰口」「嫌がらせ」も

「長時間練習すれば良し」ってのも「坊主刈りにしとけば良し」と繋がる精神構造です。「勝つ」ための道は他にもあるはずだし、「勝つ」以外の目標設定だってあり得るはずですが。 そういう合理的思考は、日本組織では嫌われるのでしょうね。

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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