十三回忌の日に

「十三回忌(じゅうさんかいき)」とは、亡くなってから故人を年数ごとに供養する「年忌法要」の一つとなります。
時期的には亡くなってから12年後、すなわち「満12年目の命日」に行う法要のことをいいます。
十三回忌にもなると、四十九日や一周忌に比べて規模も小さくなり、親族中心で行うことが多くなります。

十三回忌法要とお返しマナー

今日は3月11日。あの日から12年を迎えました。  死者数1万5900人。行方不明者は今なお2523人。十三回忌を迎え、法事の規模は小さくなっても、あの災害とその教訓を忘れてはいけないですね。

これも課題の一つ。 福島第一原発にたまり続ける処理水と、その貯蔵タンクの群れ。

資源エネルギー庁HPより

 岸田文雄首相は11日、東京電力福島第1原発でたまり続ける処理水を海洋放出する政府方針について「処理水の処分は決して先送りできない課題だ」と理解を求めた。福島市内で開かれた東日本大震災の追悼復興祈念式後に記者団に語った。

岸田首相、処理水処分「先送りできない課題」 海洋放出に理解求める

海洋放出すれば、いわゆる「風評被害」は免れないでしょう。一方で、ALPS処理水の処分も廃炉作業の一環である以上、どこまでも処理水の貯蔵タンクを増やし続けることができないのも、また事実でしょう。

この海洋放出について、日本国政府は、次のように説明しています。

ALPS処理水とは、東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性物質を含む水について、トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のことです。
トリチウムについても安全基準を十分に満たすよう、処分する前に海水で大幅に薄めます。このため、環境や人体への影響は考えられません。

経済産業省

現実問題として、この海洋放出は残念ながらせざるを得ないのではないか と僕は考えているのですが、それにしても一つきっちり監視していかなければいけないことがあります。

貯蔵タンクにためられている処理水「等」と言われる水の約7割は「トリチウム以外の放射性物質濃度が、海洋放出の安全基準を満たすまで浄化できてない」処理途上の水なのです。 

つまり、「トリチウムだけ海水で薄めれば安全に放出できる」状態になっていない水が大半ということです。これは、東京電力のHPに載ってますけど、ニュースとかではほとんど取り上げられません。☆1

ALPS処理水等の現状 東京電力

多核種除去設備(補足・ALPS)は、汚染水に関する国の「規制基準」のうち、環境へ放出する場合の基準である「告示濃度限度」より低いレベルまで、放射性核種を取り除くことができる(トリチウムを除く)能力を持っています。ただし、設備運用当初の不具合や処理時期の運用方針の違いなどにより、現在の告示濃度比総和別の貯蔵量は図の通りになっています。

同上

ALPSの不具合だったり、とりあえず大量の汚染水を処理するのに、Aひとまず「タンクに貯蔵できるレベルの放射線量に落とす」ALPS運用をしていたのでしょう。それは分かります。でも、海洋放出しようって段階に至っても、海洋放出できる基準まで下がっていない水が大半 ってのは、全体運用として非常にお粗末なんじゃないでしょうか?

この画像、2023年3月11日に閲覧したのですが、最新データは22年の12月31日時点。この三か月、東京電力はデータ更新せず寝ていたのでしょうか・・・。このあたりが、海洋処理の事業主体として、東京電力やその監督たる政府機関(それくらいチェックしてデータ更新を催促しろよ。)が信じられない要因の一つになっていると思います。てか、「リスクコミュニケーション」とか知らんの・・・☆2

「リスクコミュニケーション」とは消費者、事業者、行政担当者などの関係者の間で情報や意見をお互いに交換しようというものです。

厚生労働省

情報交換する意志すらない と取られても仕方ありません。

ともあれ、海洋放出したいのなら、まずはこの処理途上水をさっさと再浄化し、海洋放出できる処理水にしておくべきかと(トリチウム以外の放射性物質の放射能濃度を、基準値以下にする)

それをしないのは、「奴らはトリチウムを海水で薄めるのに合わせ、トリチウム以外の放射性物質も『再処理が間に合わなかった。タンク容量いっぱいだしやむを得ない』 として、薄めて放出するんじゃねぇの?その方が処理費安く済むし」とか思ってんじゃね?と勘ぐられても仕方がないと思う・・・

そうなったら、これはもう「風評」による被害とは言えません。

噂の中でも、正確に事実や正確な情報を伝えていない噂が広まったことで、被害を蒙ったと考えられる場合に、その被害や一連の事象を呼ぶためにもちいている呼称である。

wiki

無用な被害を抑えるためにも、こういうことはきちんと処理してほしいし、きちんと報道してほしいところです。

孔子は、「民信無くば立たず(たみしんなくばたたず)」という言葉を残しています。関係者には今一度、この言葉を噛みしめてほしいものです。

《「論語」顔淵から》政治は民衆の信頼なくして成り立つものではない。孔子が、政治をおこなう上で大切なものとして軍備・食糧・民衆の信頼の三つを挙げ、中でも重要なのが信頼であると説いたことから。

g00辞書

☆1「ニュースとかではほとんど取り上げられません」と書いたら、翌12日の東京新聞・中日新聞で取り上げられていました。ただし、状況はさらに深刻のようです。ALPSを動かすと高濃度に汚染された汚泥が発生するんですが、その汚泥の置き場がもうじきなくなるんだって・・・まともにALPS動かせなくなるのかも・・・

事故収束作業の長期化に伴い廃棄物の問題が深刻化している。汚染水を浄化処理する際に出る汚泥の置き場の容量が、まもなく限界に達する。置き場がなくなれば、ALPSを運転することはできない。原子炉建屋などにある高濃度汚染水とタンクに保管している、浄化が不十分な水がたまり続けることになる。ALPS処理前の水が漏えいする危険が高まる。
 政府と東電は、春から夏に処理水の海洋放出を始める計画。保管中の処理水の7割は放出基準を満たしていないため、ALPSで再び浄化処理しなければならない。処理に伴う廃棄物問題が解決できないまま、放出への準備ばかりが進む。

福島第一原発 廃棄物置き場の容量が限界迫る このままでは汚染水処理が…

☆2 参考記事

海洋放出決定までの過程―東京電力と国への不信感
福島第一原発事故後の処理水対策の推移をみると(表1)、措置の実施に関する告知が不十分だったり、不都合な事象に対する情報公開が不適切だったりして、地元漁業者や近隣諸国の東京電力や政府への不信感が生じたことが分かる。
 事業者である東京電力は事故直後、緊急避難措置として低濃度汚染水の海洋放出を実施した。しかし、関係者に対する十分な事前周知がなく、国内外から多くの批判が出た。その後、浄化装置についても、放射性物質の除去が不十分なケースが発覚した。一部タンクの処理水からは、トリチウム以外に、ストロンチウム90などの放射性物質が基準値の2万倍に相当する濃度で検出されたうえ、情報の開示も不十分だった。
・・・このように、汚染水浄化の実態や政府内における処理水に関する議論について十分な開示や周知を欠いたことが、地域住民や近隣諸国に不信感を醸成させるに至ったものと考えられる。

福島第一原発「処理水」海洋放出の信頼獲得に向けて  佐川平和財団

うーん・・・僕はもともと、「日本には原発を安全に運転するための技術はある。しかし安全に運転していく組織力がない。だから日本での原発稼働は危険すぎる」 と思っているのですが、まさにその事例というか、ダメダメですよねえ・・・メルトダウン事故起こしてから、この体たらくでは。

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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