ここんところ絶好調だったアメリカ株が、ここに来て不調の気配を見せております。
米国株が優位だった時代は過ぎ去り、次の黄金期は30年後かも知れない
まあ、日本の失われた30年と比べれば、すごくましです。それでも、「もうアメリカはオワコンだから新興国株に投資すべき」という声も出てますし、 「わかんないから、全世界株に投資すべきだ」 という声も出ています。 まあ、全世界株に投資するってのは正解かもしれませんがね。 でもアメリカはオワコンなんだろうか?
僕はそうは思わないから(絶対の確申はもてないが)、これからもアメリカ株主力で投資していくつもりです。それに関連するような記事をいくつか集めてみました。
まず僕自身の結論とほぼ同じことを書いている記事。
「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットさんが妻に「遺産の90%をS&P500に投資するように」と遺言を遺していることが明らかになり、大変話題になりました。バフェットさんは優良企業に投資をすることで知られています。彼は、優良企業の条件を「お堀(economic moat)がある」と表現していました。ここで言うお堀とは、参入障壁のことです。
つまり「特別な商品やサービス、ブランドイメージがあって、競合他社がなかなか戦いを挑めないような企業が強い」というわけ。このお堀を持っている強い企業が、S&P500にはたくさん含まれています。ちなみに、「S&P500」は、アメリカの企業500社によって構成されています。
“投資の神様”も「遺産の90%を投資するように」と評価…パックン激推しのインデックスファンド「S&P500」とは?
これまで分散投資を勧めてきたから、「えっ? アメリカ一国に集中投資をするのは危険じゃない?」と思った方もいるかもしれないよね。
それは、すごく良い気づきです!そういう人は、全世界株式のインデックスファンドを選んでもいいと思う!
要するに、アメリカでも、全世界でも、自分で「これが正解だと思う」と選び、選んだ方で長期間頑張れ!ってこと。それを強調しているのが、以下の記事。
米国株と全世界株どちらに投資するのが正解なのか。
書籍やSNSなどでも米国株を推すのか全世界株を推すのかで意見が分かれています。
近年では米国株が絶好調だったため「米国株へ投資しないのは悪」とまで言わんばかりの論調も見受けられたのは記憶に新しいのではないでしょうか。
既に投資をしている方ならまだしも、これから投資を始めようとする初心者にとっては「失敗したくない!」と考えるのは当然のことです。これまでと同じ世界の流れが続くと考えて米国株へ投資した方がよいのか。はたまたどう転んでもいいように全世界株へ投資した方がよいのか。投資するなら「米国株か、全世界株か」 NG行動を取らなければどちらでも大丈夫な理由
結論としては「初心者にありがちなNG行動さえ取らなければどちらへ投資しても大丈夫」です。
これ、素晴らしいまとめだと思いますので、ぜひ記事を熟読ください。
米国株の強みは、 パックンが言ってるように、お掘を持っている多国籍企業が多く上場していて、アメリカ国内だけじゃなく、他の先進国や新興国でも稼げること。そしてアメリカが世界の覇権を持っていること。まあ、その覇権が弱まりつつあるのも事実なのですが。
覇権というのは、覇権国の利益のためには、他国は犠牲になっても反対できない構造のこと。 日本はアメリカに「半導体」でやられた記憶がありますよ。そんでいま、日本は困っているんだけど。
寛大なイメージの米国だが、覇権が揺らぐと名分と合理性をかなぐり捨てて刀を振り回す。1980年代に日本の挑戦が激しさを増すと、強制的に円高を進める「プラザ合意」(1985年)、日本の半導体産業をつぶす「日米半導体協定」(86年)で日本を崩壊させた。日本製半導体の米国市場でのシェアを半分に減らすよう強制する「日米半導体協定」は半導体生産基地を日本から韓国、台湾にシフトさせた。90年代に韓国車の対米輸出が急増すると、米国は「スーパー301条」を使い、米国車に不利な韓国の自動車税制を見直させた。
一時世界の国内総生産(GDP)の40%を占めていた米国は、中国の浮上でその割合が半分程度に落ちた。すると、米国は中国を排除した半導体サプライチェーンと重要鉱物パートナーシップなどを推進している。無制限に刷るドルで莫大な補助金を投じることも辞さない。ところが、その補助金を受けるためには、米国に企業秘密まで出せという。それに中国に半導体を輸出すれば、ただではおかないという。今回は「半導体やくざ」と化した米国の姿だ。
【萬物相】今度は「半導体やくざ」になろうとする米国
朝鮮日報の記事ですが、半導体不足に苦しむ日本としては、「ああ」と思ってしまいますね。ま、個人としてはアメリカ株に投資して、そのおこぼれに預かりたいもので(笑)。
そういやアメリカの前の覇権国だった英国による「アヘン戦争」っていう歴史上の無茶ぶりもありましたね。当時覇権国だった英国は、紅茶の原料となる茶を中国から大量に輸入し国家間貿易で大赤字を負っていました。 赤字を解消したい英国ですが、英国は中国に大量に輸出できる「まともな商品」を持っておらず、「まともでない商品」であるアヘンを大量に輸出しました。 弊害で輸出中止を求めた中国ですが、英国は応じず。怒った中国は英国と戦争をして負けてしまい、さらにひどい立場に追い込まれてしまいました。
最近、現・覇権国アメリカで「アヘン戦争の再来か」 という事態が起きているとか、いないとか。
米国で薬物中毒死が急増しているのである。強力な薬物が出回っていることも懸念材料である。CDCによれば、昨年の薬物中毒死のうちオピオイド(医療用の麻薬性鎮痛薬)が原因となるケースが全体の約75%を占め、2019年の5万963人から6万9710人に増加したという。薬物中毒による死者数が急増する中で注目すべきなのは、オピオイド乱用による死者が20代から50代の働き盛りの世代に集中している点である。
米国、コロナで薬物中毒の死者数が急増…密輸への中国政府の関与に警戒、米中「薬物戦」の様相
オピオイドが蔓延している背景には、熾烈な競争社会という構造的な問題がある。通常の肩こりや腰痛よりも、「不安とストレス」に起因する精神的な痛みを癒やすために大量に使用されているのである。
パンデミック対策で国境管理が格段に厳しくなっているのにもかかわらず、メキシコの犯罪組織のせいでフェンタニルなどの米国への流入が加速しているが、「もともとの製造国は中国だ」と米国政府は考えている。中国は米国に次ぐ世界第2位の製薬産業を擁している。なかでも低価格のジェネリック医薬品や薬の原材料の生産能力が高い。先進国に比べて規制も緩い。
中国の麻薬産業は国際市場の過半数のシェアを握っているとされており、中国政府が「ドル箱産業」をつぶすわけがないからである。中国政府が麻薬の密輸に関与しているとの疑いは1971年から提起されている。
「悪質なフェンタニルの蔓延は米国に向けられた『アヘン戦争』である」と指摘する専門家も存在する。
もちろん、米国にもいろいろ問題はあるのだけれど、 将来的に人口が増え続ける先進国は、アメリカしかありません。 急激に人口が減少する日本や韓国、中国などと比べれば、まだ対処しやすい問題・・・なのかな?
オンライン融資仲介大手のレンディングクラブが昨年12月に実施した調査によれば、米国人の64%が「『その日暮らし』の生活を送っている」と回答している。1年に10万ドル以上の収入がある人でも半数以上が「余力がない」と答えており、同社は「インフレの影響は全ての米国人の財布をむしばみ、給料ぎりぎりの生活を送る人は過去最高水準に達している」と指摘している。 米国は「格差社会」から「国民総貧困」時代に入った感があり、「米国消費」の力強さは見かけ倒しの可能性があると言わざるを得ない。
万引き多発で店舗閉鎖、国民の64%がその日暮らし…アメリカは格差社会から総貧困化時代へ
全世界株式の場合は、新興国やアメリカ以外の先進国にも分散投資します。新興国はあとで述べますが、 アメリカ以外の先進国。例えば日本・・・ 人口急減の上、変われない日本は、インデックス投資の対象にはならないと思います。成長しないからな。
2022年に世界が大きく変動し、それによって日本は翻弄された。しかし、日本は主体的には何も変えようとしなかった。金融政策も変わらず、デジタル化も進まなかった。
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アメリカ、日本以外の先進国と言えば、ヨーロッパですね。ただ、ヨーロッパって何で食っているのか、いまいち分らんのです。 彼らは、何か良い製品を作ろうと努力するより、商売のルールを自分たちに都合の良い方向に変更し、有利に商売を進める戦略のような気がして、あんまり投資に気が進まないというか。気が進まないのはやらん方がよろしい。
経済は衰退気味、国際通貨としての役割も米ドルに比べて限定的で、安全保障協力も発展段階というEUであるが、米コロンビア大学法科大学院のAnu Bradford教授によるとEUは規制・基準形成において覇権的地位を保持しており、これを「ブリュッセル・エフェクト(効果)」と呼ぶ。これは、国際機関や他の国家の協力なしに、一方的にグローバルなビジネス環境を形づくる規制を制定し、ヨーロッパ化を先導する能力を指し、多国籍に展開する企業がEU市場へのアクセスのためEUルールを受け入れ、かつ、効率化やリスク・ヘッジのため、個人情報保護(GDPR)のようなEUルールを全世界のオペレーションに拡張する
・・・EUはその影響力維持・強化のために何をしようとしているのか。まず、新たな成長戦略として2030年・2050年の地球温暖化対策への総合的対処策である「EUグリーン・ディール」の展開があるが、近年、バイデン政権の誕生もあり、世界的に、この動きが加速している。グリーン・ディールは、域内雇用の創出のみならず、ロシア関連のエネルギー安全保障や中国からのデカップリングを視野に入れたサプライチェーンの見直しという経済安全保障政策の強化も狙いとしている。
米中覇権競争時代のEUの成長戦略とインド太平洋
まあ、老獪で立派な戦略だとは思うけれど。規制しておいて、自分たちで都合が悪くなるとあっさり改めたり、気に入りません。自分が気に入らないと長く投資を続けられないから、投資しません。
欧州委は21年7月、乗用車や小型商用車の新車によるCO2排出量を35年までにゼロにする規制案を発表した。ハイブリッド車(HV)を含むガソリン車の販売を事実上禁止し、電気自動車(EV)や燃料電池車への移行を促す内容で、欧州議会も22年10月にEU加盟国と合意した。
ガソリン車販売を事実上禁止する方針だったEU、2035年以降も条件付きで容認
しかし、自動車メーカーを多く抱えるドイツが今年2月、イーフューエルを使用する車両は認めるべきだと主張。イタリアなど他の加盟国の一部も同調した。
新興国はどうでしょうね?たとえば、インドとか。
個人的には、新興国株への投資って懐疑的です。 新興国の経済は間違いなく発展していくと思うのですが、その発展が新興国の株式にきちんと反映されるか分かりません。利益の大半は、「堀」を持つ多国籍企業が(先進国、特に米国に本社のある企業が多い)持っていく可能性も高いでしょうし。
あと、「中所得国の罠」という言葉もあるのです。
新興国が低賃金の労働力等を背景として飛躍的に経済成長を遂げ、中所得国(一人当たりGDPが3,000ドルから10,000ドル)に達するも、人件費上昇によって工業品の輸出競争力が失われて成長が鈍化する傾向を形容した言葉である。世界的に見て、この傾向は顕著であり、アルゼンチン、ブラジル、チリ、マレーシア、メキシコ、タイといった国々が高度経済成長を維持することができず、一人当たりGDPが10,000-12,000ドルを突破できない、もしくは時間が掛かった。こうした傾向は開発経済学でゆるやかに共有されている概念であり、低所得国から中所得国となった国は多いのに対し、中所得国から高所得国となった国は少ない。安定成長を続けた諸国・地域として日本、アメリカ、韓国、香港、シンガポールが挙げられる。
wiki
近年では、香港、シンガポールなどの都市国家を除けば、「中所得国の罠」を逃れたのは日本と韓国くらいしかないという・・・。この2国、 覇権国アメリカ(経済大国でもある)が手塩にかけて成長させた保護国上り・・・なんですよね。
新興国は独裁政権(あるいは左寄りの政権運用)が多いので、せっかく発展し始めた民間企業を、政府が虐めてつぶしてしまう可能性だってあります(たとえば中国・・・)。 これが経済に与える影響は、かなりでかいようで。
開発経済学では「中所得国の罠(わな)」というのがしばしば話題になる。一種の経験則であるが、発展途上国が一定の中所得までは経済発展するが、その後は成長が鈍化し、なかなか高所得国になれないことをいう。
中所得国の罠をクリアするためには、各種の経済構造の転換が必要だといわれる。その一例として、国有企業改革や対外取引自由化などが必要だが、本コラムで再三強調してきたとおり、一党独裁の共産主義国である中国にはそれができない。共産主義国家では、資本主義国家とは異なり、生産手段の国有が国家運営の大原則であるからだ。アリババグループに対する中国政府の統制をみると、やはりと思わされる。
と考えると、中国が中所得国を脱却し、これから経済発展する可能性は少ないと筆者は見ている。
中国経済「独り勝ち」続くのか 一党独裁の共産主義で国有企業改革や自由化は困難、長期的には「中所得国の罠」に陥る
中国が陥った中進国の罠の谷は深い。共産党一党支配という政治制度がその根元にあるためだ。中国の長期高度成長は社会主義経済を市場経済に転換する体制移行に農業国だった中国が工業国に変貌する経済発展が加わった結果だ。そのために爆発的な成長が可能だった。しかし都農間の人口移動に基盤を置いた成長の有効期間は終わり、体制移行は最も重要な部分を残したまま中断された。国有企業と国営銀行の私有化だ。効率的な私企業が市場に進入できるようにさせ競争により退出された国有企業は破産させてこそ生産性が上がる。しかし国有企業破産は共産党の利益に反する。さらに習近平政権発足後に国有企業の私有化も中断された。こうした局面で銀行の私有化は夢見ることもできない。生産性を増加させられる主要ルートがすべて遮断された。
【中央時評】中国経済、例外はない…「中進国の罠にはまった」
国有企業と国営銀行は共産党を経済的に支える柱だ。国有企業は私企業より国営銀行から低利で、資金をより簡単に借りることができる。この資金をシャドーバンキングでさらに高い金利で貸し付けたり不動産事業に活用したりもする。さらに国有企業経営者が共産党員の場合には個人の特性や企業の成果と関係なく非共産党員の時より平均的により高い報酬を受ける。共産党員という政治的関係を媒介に共産党、企業、銀行が密着した構造だ。この密着が緊密なほど共産党員の価値は上がり共産党に対する忠誠心も高まる。共産党と国有企業と国営銀行が政治経済カルテルを形成した格好だ。生産性を高めるにはこの輪を断ち切らなければならないが、習近平主席はそうする考えはなさそうだ。
別に中国だけが「新興国」なわけじゃありませんけど、「新興国ファンド」で中国が占める割合は30%程度あるので、無視できない国ではありますね。
資産運用会社が、中国を除外した新興国・アジア投資商品を開発、販売している。中国の政策や地政学面のリスクの高まりを警戒する世界の投資家から、中国エクスポージャーを抱えない戦略への需要が高まっているという。多くのファンドがベンチマークとするMSCIエマージング・マーケット・インデックスは、中国株が31%のウエートを占める。
新興国ファンドで「中国外し」、リスク意識する投資家ニーズに対応
中国株は、当局のハイテクセクターへの締め付け、不動産危機、米中関係緊張を背景にここ2年低迷し、新興国市場に投資するファンドの成績も停滞。世界の投資家の間で「中国離れ」が起きている。 ・・・中国を新興国市場戦略から外すとしたら、その穴埋めはインドが相当部分を占め、残りはベトナム、ブラジル、メキシコなどに分散させることになるだろう
ほかの国も、どうですかねえ・・・