処理水の海洋放出。政策決定の過程を調査すべきでは?

処理水 早ければ24日放出開始へ 関係閣僚会議で決定
東京電力福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり、政府は関係閣僚会議で国内外で計画への一定の理解が進んでいるとして、気象条件などに支障がなければ24日放出を始めることを決めました。

NHK

ついに決まりましたか・・・

ところで、この処理水の海洋放出って、これから延々30~40年続くって知ってました? 

福島第一の処理が終わらない限り、東北大震災の復興は終わらないでしょうから、もっと早く処理したいところでしょうけど。「なんでそんなに時間がかかるの?」毎日新聞が記事にしてます。

この話題を取り上げたことは評価できるのだけれど、大本営発表をそのまま記事にしただけ。 オマエ、報道機関なんだからもっと突っこめよ。 「もっと短時間で終わらせる方法ってないのか、なぜ事態を今まで放置していたのか?」 って。

処理水の元となる汚染水は、22年度時点でも1日あたり約90トン増え続けている。福島第1原発の敷地内にある1046基(約137万トン分)のタンクの98%が埋まっている。来年2~6月ごろには満杯になる見通しで、タンクのさらなる増設も難しい。政府と東電が放出を急ぐのはこのためだ。

処理水の海洋放出をいま始めても、完了するのは30~40年後の見通しだ。なぜそこまで時間がかかるのだろうか。

・・・タンクのうち約7割は、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で一度処理したのにトリチウム以外の放射性物質の濃度が基準値未満まで下がっていない「処理途上水」だ。放出にはアルプスでの再処理が必要だが、元のタンクは放射性物質に汚染されているとみられ、再処理後の水をためる方法が決まっていない。・・・こうした事情から、完了まで長時間を要するのだ。

毎日新聞

タンクの大半を占める処理途上水。それを再処理した後の処理済水は元のタンクには納められず、新たなタンクを増設する敷地がないので、処理済水を貯める場所が決まってないそうな。・・・ねえ、君たちバカなの? こうなることは明らかだったじゃない・・・

本来は、敷地にタンクを増設する余裕のあるうちにALPSを増設して、「処理途上水」タンクと「処理済水」タンクの容量を確保にしておくべきだったでしょう。そのうえで、敷地がいっぱいになる前に、海洋放出を進めるべきだったかと。

まあ、後で振り返ればなんとでも言えるのですけど。

ところで、この海洋放出実施にあたり最大のネックとなった「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という表明って、いったい誰が、どういう状況でそれを表明したんでしょう? 当時でも、この約束を守ることがMission: Impossibleであることは、少し考えれば自明だったと思うのです。実際、この約束がずっと海洋放出実施の足を引っ張り、そして結果として、政府はその約束を破る形で、海洋放出を実施することになりそうです。もちろん破ってないと強弁するだろうけど。

守れるはずもない文言を、どういう過程で政府表明として決定し伝えてしまったのか(文書化されているので決定的だ・・・)、その時の状況で、そういわざるを得ないものであったとしても、後のことを考えると、致命的な誤りだったと言わざるを得ません。

今後同じような過ちを犯さないため、この決定経緯をきちんと調査する必要があると思います。それを徹底しない限り、政治家は「耳障りの良い」「かっこよい」セリフを言いたいでしょうから(選挙にはその方が有利だから)。でもその発言の責任は、きちんと追及しないといけません。

政治家を「言ったもの勝ち」の状況に放置して置いたら、結局困るのは僕たちだからです。

福島第一原発の処理水の海洋放出について、松野博一官房長官は28日午前の記者会見で、2015年に政府と東電が「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と福島県漁連に文書で伝えた方針を「順守する」と述べた。今夏にも始める海洋放出の判断が大詰めを迎えるなか、反発が根強い地元の漁業関係者らへの説明を尽くす姿勢を強調した。

「関係者の理解なしに処分しない」 原発の処理水、官房長官が明言  朝日新聞

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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