石川県の馳浩知事は19日、県庁で記者会見し、能登半島地震で孤立した集落にとどまっていた住民の避難がほぼ完了したとし「実質的に孤立集落は解消した」との見解を示した。一時、3345人いた孤立住民は18日時点で輪島市23人、珠洲市3人の計26人にまで減り、このうち輪島市の9人が近日中に避難する予定だと明らかにした。
孤立集落ほぼ解消も17人が避難固辞 馳知事会見
馳知事は「一つのヤマは越えた」と述べた。一方、残り17人が避難を固辞しているとし、「理由はプライバシーに関わるので控えたい」と話した。今後も自治体職員や県市議、地域の区長が説得に当たるとした。
孤立集落のほぼ解消は喜ばしいことですし、ここまで持ってこられた住民の協力、関係者の努力あってのことで素晴らしいことだと思います。
が、残り17人が避難を固辞しており、県知事として以下の対応をするとのこと
- 固辞の理由は「プライバシーに関わるので控える」
- 今後も自治体職員や県市議、地域の区長が説得に当たる
この2点の対応はおかしいのではないか と思いました。3345人のうち、3328人は孤立集落から避難しました。中には避難したくないけど、サポートする側のことを慮り避難した人もいたはずです。 孤立集落から避難してくれればサポートは容易になるため、その分、限られた貴重なサポート力(人的資源)を、他の分野に振り分けられます。
一方で、避難しない17人のため、自治体職員や県市議、地域の区長という復旧の要である貴重な人材(限りある人的資材)が説得に費やされることになります。そして、そのサポートのためさらに人員が割かれることになるのかもしれません。不明ですけど。
でも確実に言えることは、もしこの17人が素直に避難してくれていれば、説得にあたる貴重な人材を、3345人のサポートに、あるいは他の避難者のために使えたということです。
固辞の理由は様々でしょうが、説得する側の公務員(議員も区長もそれに準じる)は、個々への奉仕者ではなく、全体の奉仕者なのです。(だから人件費もみんなで賄うのです。=税金)
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。(地方公務員法第三十条)
それをつぎ込むべき案件だったのか は後でも良いのできちんと検証されるべきだし、検証結果は次の被災時に生かされるべきです。場合によっては 「あくまで固辞するなら行政はサポートしない」 という取り決め(法律策定)だって必要かもしれません。
もちろん、人として目の前の17人を放ってはおけない というのはあるかもしれません。固辞する17人にもそれぞれ言い分はあるでしょうし、内容を聞けばサポートしていくこともやむを得ないものなのかもしれません。あるいはわがままなのかもしれません。 それは公表されないと分かりません。
プライバシーを守りながら、固辞する理由を公表する方法だってあったのではないでしょうか。
厳しいことを言うようですが、この災害対応はすでに非常事態。ある意味(自然との)戦争中なのです。限られた貴重な人的資源は冷酷効率的に、トリアージ的に使っていく必要があるのではないでしょうか。
トリアージの目的は、医薬品や医療従事者などの医療資源が不足している状況下で、できる限り多くの人を効率よく助けることです。
トリアージとは? JTAS法とSTART法の違いやトリアージの分類を解説
”災害対応における人員配置は、資材や公務員などの支援要員が不足している状況下で、できる限り多くの人を効率よく支援することである。”
そのくらい覚悟しておかないと、南海トラフ地震で首都圏を含む広域が一気にやられたら、どうするんだい?