円安で日本企業バーゲンセールでっせ。

2024年ももうじき終わりますが、今年は日本を代表するような象徴的な大企業が、外資系に買収提案され、てんやわんやするような事案がいくつかありましたね。 

これからも日本企業のお買い得状態(円安等)はしばらく続くでしょうから。来年度以降も同様の傾向が続くでしょう。うひひ、おもしれ(と前向きに考えないとね・・・。)

日本最大のコンビニチェーンを有するセブンアイホールディングスが、格下の外資系に狙われ、それを阻止すべく創業家も買収に名乗りを上げたのだけれど、 資産不足で苦戦してるようです。

カナダのコンビニ世界大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているセブン&アイ・ホールディングス。11月にはセブン&アイ副社長である創業者の次男の伊藤順朗氏と、大株主で、伊藤氏ら創業家が役員を務める資産管理会社・伊藤興業からも対抗提案を受けていることが明らかになった。

・・・一般的にLBOでは買収資金の3~4割をエクイティでまかなうケースが多い。9兆円の買収となれば、3兆円前後の自己資金が必要だ。が、事情をよく知る関係者の多くが「まだエクイティが足りておらず、2月中の完了は厳しいだろう」と指摘する。
ブルームバーグのビリオネア指数によれば、伊藤家の総資産は約7400億円と推定されている(2024年12月時点)。その多くをセブン&アイの株式が占め、伊藤興業は同社株を8.16%、伊藤副社長個人も1%の株式を保有している。今回の買収において、伊藤家が自腹を切れるのは1兆円程度だと考えられる。

「セブン買収合戦」、創業家の9兆円MBOに黄信号2025年2月中に買収したいが、資金集めに苦戦か

アホやなあ と思います。 今はクシュタールに高価で買わせ、しばらく経営させれば良いのです。

日本の小売業は世界標準で見ると異常に経費がかかり、あまり儲かっていません(「お客様は神様」状態にある)。だからこそ、世界標準の小売業に慣れたインバウンド客が日本を訪れ「この価格でこれだけ丁寧なサービス!素晴らしい♡」と感激してるんです。円安だけが原因じゃないです。

セブンを買収したら、クシュタールは世界標準の、十分利益が出る客あしらいや経費節減をするでしょう。すると目の肥えた日本人客は次第に客足が遠のき、経営は早々に行き詰まります。それが日本のスーパーチェーンを買収した外資系のこれまでの末路です。そしてクシュタールは日本から撤退するので、そのタイミングで創業家は安価に再買収すればよいのです。

ま、クシュタールもその辺は分かってて、本当に欲しいのは海外(主に北米)のセブンチェーンで、これから購買人口が激減する日本分はノウハウだけ吸収して、いずれ売り払えばいいか くらいに思ってるかもしれないですが。

あと、鴻海(ホンハイ)が日産を買収しようと動いているという話もありましたね。 外資系に日産を奪われることを恐れた経産省あたりが、嫌がるホンダに無理やり救済合併させようとしてるようですけど。

 経営統合に向けて協議しているホンダと日産自動車が2026年の統合を目指していることが23日、わかった。両社は26年8月に上場を廃止し、新たに上場する持ち株会社の傘下に入る方向で検討している。両社は23日、統合に向けた検討の基本合意契約を正式に結び、午後にも記者会見を開いて詳細を説明する。

ホンダ・日産、再来年の経営統合を目指す方針…取締役の過半数はホンダ側が指名で検討

この記事読んでまず思ったのは、「持株会社を作ってホンダと日産を傘下にぶら下げるのに再来年まで時間がかかるのかよ」ってこと。 なら、統合の成果が出るまでにどれだけ時間がかかるの?そして、この二社に、それだけの時間猶予(体力)が残されてんの?と。

日本の自動車メーカーの中で、ずば抜けた体力を持つトヨタは「全方位戦略」を取り、エンジン車も、ハイブリッド車も、PHV車も、EV車も、水素車も開発していきます という戦略を取ってます。現段階では、特にハイブリッド車で世界的優位を保っています。

それだけの体力のないメーカーはトヨタの傘下に入るか、ホンダのようにエンジン開発に関わっていた部門(技術研究所)やエンジン部品下請け(八千代工業)を捨て、EV一本にかける戦略を迫られました*。  最近世間では「EV一本でいいんか?」という雰囲気にはなっていますが、もう退路は断っちゃったので後には引けない・・・

*ホンダは現在株式配当が5%を超え、表向き収益(EPS)は悪くありません。なので株を買おうかと調べてみた結果です。 が、四輪(自動車)事業はほとんど儲かっていません。二輪(バイク)で稼いだ利益を四輪に回してなんとかやりくりしている状態。そこでエンジンを捨てEV一本化。結構崖っぷち戦略なんじゃないかと。株は買えねえな(いっそ専業二輪メーカーになれば・・・)。  他方、日産は・・・売れる車がなく、9000人リストラを考えるような経営危機。

閑話休題。だから、この戦法で先行するアメリカや中国企業に伍するため、会社合併し、持ち寄った資金と開発力で一気にEV開発を進めないと死ぬ  という判断もあったのでしょう(たぶん)。なのに、持ち株会社という「形式」が成るまでに2年。 そんなスピードじゃあ、先行する技術集団には追いつけねえのでは?

うーん、それに自動車メーカーと自動車メーカーが合併しても、ありふれたアイディアしか出てこないんじゃ・・・

むしろ、日産はホンハイに買われた方が、面白い未来が描けるような気もするけれど。ホンハイは最近EV開発にも乗り出してるし(部門長は、日産の社長候補だった元幹部)、ホンハイ傘下にはシャープもいます。豊富な資金力と決断力を持つホンハイ、そして太陽光発電に強みを持つ家電メーカーのシャープ、EV一本にかける日産が本気でタグしたら面白いと思うんだけどな。

以下はシャープのニュースリリースなんですが、自動車の枠を超え、太陽光発電、EV,住宅を繋ぎ、エネルギーと情報をやり取りする未来だって描けるでしょう。まあ現段階では夢物語ではあるけれど。プロジェックトXぽいからオジサン(企業戦士)が萌えるストーリー展開もできそうだし、なにより面白そうじゃね?

 シャープは、EV(電気自動車)の充放電が可能なEV用コンバータ<JH-WE2301>を発売し、EVと住宅をつなげるV2Hシステムを構築。太陽光で発電した電気を有効に活用するため、蓄電池との連携や2023年11月にスタートした家電連携に加え、新たにEVもつながる「Eeeコネクト」システムの提供を開始します。


 本システムでは、太陽光発電、蓄電池、EVの3連携制御により、従来の太陽光発電と蓄電池に加え、EVの充放電も一括制御できます。太陽光で発電したクリーンな電気は直流(DC)のままEVに充電するため、発電した電気を効率良く自家消費するほか、太陽光由来の電気をEV走行に最大限活用できます。


 今回発売するEV用コンバータは、業界最小・最軽量のサイズで住宅の壁に設置できるので、スペースが限られる駐車場でも設置することが可能です。


 また、エネルギー機器を自動で賢く制御するクラウドHEMS※2サービス「COCORO ENERGY」においても、EV連携機能を新たに搭載します。台風などで気象警報が発令されると、蓄電池だけでなくEVにも充電することで停電に備えられる「気象警報連携」に対応します。

太陽光発電、蓄電池、家電、EVがつながる
「Eeeコネクト」システムの提供を開始

ゴーン氏のコメントが、「まさにすべて」な気がします。

日産元会長 カルロス・ゴーン被告「ホンダと日産に補完し合うものは全くありません。両社は同じ分野で強く、同じ分野で弱い。(経営統合は)産業的には、私にとって理解不能です」
・・・その上で、「経済産業省が日産の経営権を失いたくないと決めたのであれば、政治的には理解できる」と述べました。
 また、台湾企業の「ホンハイ」が日産の買収を検討していることについては「産業的な補完性はあるが、経産省からの反対があると感じたら、やめたほうがいい」とクギを刺しました。

カルロス・ゴーン被告“日産とホンダに補完性なし” レバノンから会見

日本(経営者、経産省)は、海外の会社の購入は躊躇なくするくせに(USスチール買収とか、アメリカの名前を冠する会社を狙うなんて、相手のプライドや心情とか考えてないのか?そもそも経営的にも愚策だと思うが)、自社が外資から買われると、すごくヒステリックに拒否反応しますね。 鎖国時代で黒船の来航に怯える江戸時代人みたいです。 「日本の夜明けは、遠いのお。」 

追記

統合まで時間がかかるのは、「日産がリストラを完了したらホンダは統合したる」としえちるから という見方もありました。 でもそこまでホンダが(経産省の圧力を撥ね付け)冷酷になれるの・・・かな?

前提条件として最終合意を予定している来年6月までに、日産がリストラを完了して業績を改善させる必要がある。ホンダ内部からは統合の実現は日産次第と冷めた声も聞かれる。

・・・SBI証券の遠藤功治チーフエグゼクティブアナリストは「日産にとって時間との勝負。これまでをみると、日産の経営はスピードが遅い。ホンダの期待するスピード感でリストラを実行し、利益を出せる体質に戻さないとホンダは見切るだろう。日産にとってクリティカル(極めて重要)な6カ月になる」との見方を示した。

焦点:日産との統合、ホンダから漏れる本音 幾重のハードル ロイター

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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