自民、公明両党と日本維新の会は25日、高校授業料の無償化や社会保障改革について党首間で合意した。2025年度から全世帯を対象に国公私立を問わず就学支援金を支給する。26年度から私立高校に通う場合の就学支援金の支給上限を引き上げる。25年度予算案を修正することで維新が予算案に賛成するため、衆院で可決する見通しとなった。
高校の無償化、日本のために必要ならやればいいと思うんだけど、なぜ無償化が必要なのかイマイチ理解できない・・・。
議論を先導した維新の党の主張は「子供にかかる教育費が高くて困るから、まず高校の授業料を無料に」という話のようです。 「まず高校」とは書いてありませんが、実行したことは「まず高校」でしたね。

でもなぜ高校を先行したのでしょう?この理由なら、「高校より大学の方が授業料が高いのだから、まず大学の授業料を無償化すべき」あるいは「保育園・幼稚園の就学率?は高校より高いので、より多くの家庭が恩恵をこうむれるそちらの無償化を優先すべき」という話が当然出てきますよね。答えてよヨシエモン。
答え。高校についてはすでに「所得制限あり」の支援策があるので、これを「所得制限なし」にするだけで「教育改革」が簡単安上がりにできるから。
国民民主党と議論していた「年収の壁」改革については、「所得制限あり」とするようで、なぜここで差が生じるのか全く意味が分からん。
自民党は、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の引き上げなどを巡り、新たに2段階の所得制限を設ける方向で調整に入った。課税最低限は最大150万円超とする案を検討している。18日に開催する自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部による協議で提案する見通し。
閑話休題。そもそも、日本の小中学校の授業料が無償なのは、それが国民の義務だからです。言い返せば、「日本国民として最低限これだけの教育を修めないと一人前の国民(大人)として認めない」だからその過程教育が無償なのです。
日本国憲法第二十六条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第4条 (義務教育) 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。教育基本法 第4条
でも今回の制度だと、「中学を卒業してそれ以上の学業を修めない人」がめっちゃ不公平です。でも国家は「それ以上の学業」を国民が受けることに何らかの必要性を認めており、だから高校の授業料を無償化したいんですよね。
だったら筋論で言えば教育基本法を改定し、義務教育を十二年としたうえで、国公立の小中高の授業料を無償化する というのが流れではないかと。 むろん、義務教育年限を伸ばすわけだから、喧々諤々の議論が必要でしょう。
それと、なんで私立高校まで無償化する必要があるんだよう。「私立」の意味ねぇじゃん。「私立小学校」とか「私立中学校」が「うちは義務教育だよ。うちも無償化してよ♡」って言ってきたら、なんて言うんですか?
まあ今回の無償化にしても裏付けとなる法律は作るのでしょうが、そもそも高校教育というのを国家としてどのように位置づけ、そのうえでどのような理由で無償化するのか、そのあたりが全然見えてきません。やっつけ仕事じゃないんだから・・・
もう一つ。既存の法律を見ていて不思議に思うのが、なぜ 小中学校の給食は無償じゃないのか ということです。
愛知県内で財政力のある自治体を中心に、小中学校の給食費を独自に無償にする動きが出ている。国が全国の状況を調べている中、先駆けて実施することによって国に無償化を働きかける狙いがある。
「義務教育は無償」ですよね。そして「給食の時間」は教師が生徒を指導する明確な「学校教育活動」ですよね。 なら教材として不可欠な給食は「自治体独自に」ではなく「一律に」無償で当然 だと思うのですが。
昭和 21 年 12 月に発せられた「学校給食実施の普及奨励について」の文部、厚生、農林三省次官通達により、学校給食は教育活動の一環として位置付けられました。昭和 29 年には「学校給食法」が制定され、学校給食の法的根拠が明確になり、教育活動として実施されることになりました。平成 20 年6月に学校給食法が大幅に改正され、従来からの目標である学校給食の普及充実に加えて、「学校における食育の推進」が新たに規定されました。食育の観点を踏まえ、学校給食の教育的効果を引き出し、学校給食を通じて学校における食育を推進するという趣旨が明確になりました。
学校給食は、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のため、栄養バランスのとれた豊かな食事を提供することにより、健康の増進、体位の向上を図ることに加え、食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材として、給食の時間はもとより各教科や総合的
な学習の時間、特別活動等において活用することができます。
特に給食の時間では、準備から片付けの実践活動を通して、計画的・継続的な指導を行うことにより、児童生徒に望ましい食習慣と食に関する実践力を身に付けさせることができます。また、学校給食に地場産物を活用したり、郷土食や行事食を提供したりすること
を通じ、地域の文化や伝統に対する理解と関心を深めるなど高い教育効果が期待できます。食に関する指導の手引-第二次改訂版-(平成31年3月) 文科省 5章「給食の時間における食に関する指導」
いまテレビドラマで、文科省のエリート官僚が高校の先生になって生徒を導くやつが人気のようですが(見てないので知らんけど)、現実の高校でもこれやってほしいな。
実務教員(官僚)から「なぜ大人の世界では、このような筋の通らない話が堂々とまかり通るのか(最近特に多いような気がする)」を、純粋無垢な教育を受けてきた高校生にもわかるよう解説してもらったらいいと思うんです。 それがまもなく、「汚く厳しい大人の世界」で生きていかなければいけない彼らへの、何よりの教育(ショック療法?)になると思うから・・・うーん。

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。