西尾の文化財(16)  修法寺の銅像菩薩立像

県指定文化財です。 場所は西尾市平口で村社「高倉神社」に間借りしてる感じ。神宮寺だったのかなあ?とはいえ、修法寺の裏にはちゃんとお墓もありますから、檀家もあるってことですねえ。寺の建立は、西尾の養寿寺や恵験寺※が関わっているので、ここは浄土宗西山深草派ですね。

※ともに「三河十二本寺」。浄土宗西山深草派の寺院で、総本山誓願寺に次ぐ中本山の格式の三河地方にある12寺の総称。

そのお寺の境内(?)にある観音堂に、銅製の菩薩さんが立ってます。

りつぞう
県の認定書も!(ぶれてすいません。無理な姿勢で撮影したもので・・・)

教育委員会の看板によると、「奈良時代前期、白鳳期(645~710)の特色をもった金銅仏で、通称「白鳳観音」と呼ばれる県内で最古の銅造菩薩立像がある」

回りくどい表現ですけど、「白鳳期に造られた仏像」とは書いていません。でも一方で「県内で最古」なら、いつの時代に造られたかはっきり書いてほしい。

つーか、新しすぎるような気がするねえ。西尾市のHPだと、「岩瀬文庫寄託」と書いてありますもしかしてこれ複製なのかな? わからん。

 

それはそれとして、ここで面白いのが、敷地の主人である高倉神社のほう。 祭神は高倉天皇で、姫社には「平徳子」を祭るとあります。

高倉神社って全国にあるようですが、高倉天皇を祭るっての、あんまり聞いたことないですね。しかも「平徳子」って、平清盛の娘ですよ!

平家の隠れ里ならいざ知らず、平氏関係者を祭るのは珍しいんじゃないでしょうか。 平口が平家の隠れ里だったという可能性もなさそうですし。

と、看板はそこにも触れていて、平口って平家の「平」と矢作古川の河口の「口」から来ているという説もあるそうで、古くから平家と何らかの関係があったものと推察される と。

看板

それ、先日行った一色赤羽別院のところに存在した 「赤羽根古城」は平安末期(1159)より平遠衡とその末裔が治めた と繋がるのかなあ。そこに住んでた平氏関係者が、少し離れた場所に二人を祭り(源氏の世の中に平氏を堂々と祭るのはさすがにヤバいんで、天皇と妃を祭った形)、あたりに関係者が住みつき、やがて村社となり現代に至る と考えたくなっちゃいますね。

あ、あとこの神社には天狗堂があり、三河の大天狗 は有名だそうです。(地元だけど知らね)

「天狗堂は、榎本重市翁の懇望により、高倉神社の一隅に祭祀せしものなり。その趣旨は、青少年に天狗の如く天下を睥睨する勇壮なる大志を抱かしむると共に・・・」

・・・こういうのを「小さな親切、大きなお世話」って言うんだね?

西尾の文化財(15) 一色の大提灯(諏訪神社)

県指定の有形民俗文化財 一色の大提灯六組 付柱組み一式

すでに鳥居のところから、大提灯が見えてますがな。

8月26日、27日と一色の大提灯祭です。 夜に行くと人がいっぱいなのでもちろん行きませんが、「昼行灯」なら人も少ないべ・・・と久々に見に行きました。前は小学生の時に行きました。夜店の記憶しかないですが。

詳しい説明は、広報にしお の8月1日号(特集2)に載ってます。

西尾市の広報誌ですが1日号と15日号がそれぞれ30ページ強と充実しています。密かな愛読書です。特集「一色の大提灯」は、まるで情報誌並みの情報量です。市報なので歴史面も詳しいのもマニア好み。まあここは意見の分かれるところ。

さて、諏訪神社っていうくらいですから、神社の始まりは永禄年間(1560年ごろ)に長野の諏訪神社から分霊したことにはじまります。

この辺りは海辺です。昔々、夏から秋にかけて海に魔物がでて人々を苦しめていたので、神社で「かがり火」を焚いて魔物を追い払っていました。それが江戸時代に提灯を灯すことになったそうです。 その提灯ですが「六組」とあるように、町内(組)毎に出すわけ。

となると、「隣の組に負けるわけにはいかん!」 漁村でもありましたから、漁船の帆柱をヒントに柱を立てる仕組みを導入し、提灯はどんどん大きくなりました。倹約のため、藩が出した巨大化競争禁止令に反してまで、大きくした組もあり、入牢騒ぎもあったとか。 

そんなこんなで提灯はここまで大きくなりました。おかげで後代に文化財にもなり、めでたし、めでたし。

魔物いうのは、時期的には台風による大嵐ですな。 方向を失った船の目印にするため、夜を徹して大かがり火を焚いたのが始まりなんでしょう。最初は「稲村の火」のような出来事か?とも思いましたが、ここはそれほど高台ではありませんので。

さて、記憶の中の「夜店」ですが、日中でもかなりの屋台が出ておりました。日中もそれなりに人出があるってことですね。

拝殿
提灯倉庫

もちろん夜間は提灯内部の蝋燭に火が灯ります。提灯には様々な絵が描かれており、さぞきれいなことでしょう。が、ここ駐車場があんまりないのよね。 夜行くとまずそれが大変なの・・・

近くに一色港があります。平坂湊と違い、まだ現役の漁港です。まあ三河湾の魚は、ずいぶん枯渇してきてますけれど・・・

提灯に書いてある絵  神話や時代劇が書かれています。題材が渋い!

天岩戸図・八咫烏図・景行天皇筑紫征討図・吉備大臣帰朝祝宴図・静御前舞楽図・大塔宮凱旋図等