頭を抱えるしかない無能リーダーに、処方箋を授けよう。

 ソフトバンクグループ(SBG)は1月21日、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を開発した米新興企業オープンAIや米IT大手オラクルなどとともに、米国のAI開発に4年間で5000億ドル(約78兆円)を投資する新会社「スターゲートプロジェクト」を立ち上げると発表した。うち1000億ドル(約15兆5000億円)は「直ちに開始する」という。・・・

「日本国内投資ではなくアメリカでの投資であることに違和感を覚える」(野党幹部)という声が聞かれる。SBGだけで78兆円もの資金が米国にキャピタルフライトするようなものだからだ。・・・

家計部門での最近の動きは海外向けの投資信託が好調で、財務省統計では昨年の海外株式に対する投資信託の純投資額は10兆円と23年の2.9倍に達している。今年に入って倍増に近い伸びを示しており、今の勢いでいけば20兆円になるかもしれないと予想されている。家計部門からの資金の海外流出がかなりの勢いで伸びているわけだ。

 石破茂首相と経団連の十倉雅和会長らは1月27日、会合を開き、十倉会長は民間企業の国内設備投資について「2030年度に135兆円、40年度に200兆円を目指して官民で努力すべきと考えます」と強調した。国内のリスクマネーが海外に流出している現状に危機感を持っているのだろうが、「家計・企業とも海外の成長を取り込もうと海外投資に動いている。国内の成長力は相対的に見劣りする」(市場関係者)と言っていい。笛吹けど踊らずにならなければよいのだが……。

ソフトバンクGは米AI開発に78兆円投資…石破首相と経団連が頭を抱える「国内設備投資」の苦しいソロバン

「家計・企業とも海外の成長を取り込もうと海外投資に動いている。国内の成長力は相対的に見劣りする」のに、危機感を持った石破首相(政府)と経団連が頭を抱えてる といった記事です。 

よく書けてるけど、読む我々はそれを聞いて、笑うしかないっていうか。ああそうか、これが首相の言う「楽しい国」ってやつですね。 苦笑や失笑でも笑いには違いない。

マジレスすると「そういう日本にしたのはお前たちだろうが!」というのがまず最初に言うべき言葉でしょう。

次に、まあそんな正論言ってても仕方ないから、問題を打破すべく、まずは下の二つの会社の10年株価チャートを比較し、次の質問に答えなさい。

A
B

質問。AとBの会社の株価を見て、どちらの会社の株式に投資したほうが「楽しい」ですか。また、どちらかの会社の幹部を経済団体の長にすることがふさわしいと考えますか。理由をつけて回答しなさい。

答え。自分のアタマで考えよう

ちなみにAは経団連の十倉会長が長年社長や会長を務めてきた住友化学のもの。Bはアメリカに巨額投資するソフトバンクグループのものです。こけるかもしれんけど、この企業に投資するとしたらわくわくするよねえ。 少なくとも僕は、ラピダスよりこっちにかけたい(賭金が足りないが)

Aの会社を率いてきた人に「国内設備投資について2030年度に135兆円、40年度に200兆円を目指して官民で努力すべきと考えます」と言われてなんの説得力がある? 「お前の会社、設備投資できる儲けないじゃん!どうやって投資するんだよ?」

見てないけど、たぶんTOPIXとACWI(世界の主要企業を対象に算出する株価指数)も似たようなチャートになると思うぜ。もっと格差が開いてるかもしれないけど。

まあ現在の経団連会長はすぐ首にして、孫さんを経団連会長にするのがいいんじゃないですかね。本人は断るでしょうけど。

で、根本の「国内のリスクマネーが海外に流出している現状」を打破する非常に簡単な手段があります。石破首相は、トランプさんに会ったときにこう言えばよいのです。

「日本をアメリカの51番目の州にしてください」

「カナダがアメリカの51番目の州になるのを見てみたい。そうなればカナダの市民は相当な減税措置を受けられる。軍のことを心配する必要もなくなる。カナダの市民はそれを望むはずだ」と述べ、カナダがアメリカの一部になれば多くの恩恵を受けられると主張しました。

トランプ大統領 “カナダはアメリカの51番目の州に”

海外投資の多くはアメリカでしょうから、そこが「国内」になれば問題はほぼ解決(笑)。 

日本がアメリカ領になれば、対中軍備も心配ないし、 なんか減税までしてくれるってんだから、元日本国民にもメリットでかいっすよ。 

経済団体を悩ます関税問題や、財務当局を悩ます為替問題(ドル円相場)なんて問題自体消えちゃいます。日本の根本的問題である少子高齢化もすげー楽になるな。「日本人の英語能力が低い」問題も解決します。結局、教育法がどうというより「英語を使う必要性」がどれだけあるかによるからね。

補足。 石破首相はトランプ氏と会談して、「日本の対米投資を1兆ドル(約150兆円)まで引き上げることを表明」したそうです。 この投資は、投資家としては正しいと思います、が、日本の政治家の発言としてはどうなんだろう? 日本州知事の発言なら素晴らしいと思うけど(笑)。 一般的には(正論としては)以下の通りでしょうね。

京都大学教授の藤井聡氏が9日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、ドナルド・トランプ米大統領と会談した石破茂首相が日本の対米投資を1兆ドル(約150兆円)まで引き上げることを表明したことについて厳しく指摘した。
 藤井氏は「トランプに約束した『一兆ドル=150兆円の対米投資』は,米国に媚びて『保身』を図るための,おぞましき石破の『売国』行為である.」という自身の記事を引用。「そんな巨額投資は米国じゃなくて日本に行えばデフレ脱却&生産性向上が実現するじゃないか!」と対米ではなく、まずは国内に向けて投資を促すべきという考えを示した。

石破・トランプ会談を酷評 京大教授、対米150兆円投資は「保身」「売国」

でもま、日本市場が全般的にいかに魅力がないか というのは、才能あるスポーツ選手の行動を見ていれば分かります。現役の選手生命って短いから、パフォーマンスを最大に発揮しようと考える人たちはみんな海外チームや海外リーグを選択して日本を出て行ってしまいます。それが合理的な思考なんでしょう。

かたや海外市場のない(ガラパゴス市場)である大相撲の状況と比較してみてください。ちょっと調子いい力士はすぐに横綱に昇進させ(横綱いないと相撲の人気が維持できない)、無理に昇進させた横綱たちは情けない勝負を繰り返したり休場を繰り返し、じきに横綱を引退せざるを得なくなっています。 日本市場は、もう少し選手(現役世代)を大事にしないとマジで潰れますね。

補足

岩屋外務大臣は訪問先のドイツでアメリカのルビオ国務長官と短時間、意見を交わし、トランプ政権が導入を検討している「相互関税」と呼ばれる措置の対象に日本を含めないよう申し入れました。

岩屋外相 米ルビオ国務長官に「相互関税」日本の除外求める

要請するだけならサルでもできます。人間の外務大臣なら、「どういう理屈で対象外にすべきなのか」を考え、「それをもとに要請ではなく説得する」のが仕事です。相手はジャイアンで、こちらがのび太なのです。ジャイアンからは要請とか申し入れも有効でしょうが、のび太が使ってもなんの意味もありません。

でも、どのニュースを見ても肝心の理屈が出てきません。この人次々と問題を引き起こしますし、なんだか頭おかしいですねえ(自分のおかれた立場が分かっていない)。こちらが頭を抱えるわ。

「モリタクさん死去」に思ったこと

1月28日、経済アナリストの森永卓郎さんが亡くなった。67歳だった。’23年12月に「膵臓(すいぞう)がん」のステージ4と診断されたことを公表。その後、「原発不明がん」と診断されていた。
「森永さんは東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現在の日本たばこ産業株式会社「JT」)に入社します。その後、三井情報開発や三和総合研究所などで研究員を歴任し、頭角を現しました。

【追悼】森永卓郎さん「何も残さず去る」でも「トミカとリカちゃんは」…最後まで本音の”全力人生”

森永 卓郎(もりなが たくろう、1957年〈昭和32年〉7月12日 – 2025年〈令和7年〉1月28日)は、日本の経済アナリスト、エコノミスト、タレント。専門は、マクロ経済・計量経済・労働経済・教育計画、オタク文化論など。愛称・通称は「モリタク」。獨協大学経済学部教授などを務めた。

wiki

まずはお悔みを。67歳って若くして亡くなられましたな・・・

正直、経済アナリスト「モリタク」については、僕は評価していません。「日経平均が3000円まで落ちる」とか、悪いけどガンが脳まで転移したかと思った(笑)。

今後、消費税は15%に向かって突き進み、バブル状態だった日本の株式市場は弾けます。日経平均は年内にも1万円台、最終的に3000円台にまで落ちるでしょう。住宅ローンの変動金利も間違いなく0.15%は上昇しますから、株をやっていない国民にも大きな影響が及ぶと思います

同上

が、上記記事にも出てくるけど、「今後、消費税は15%に向かって突きすすむ」という認識や「ザイム真理教」 と言った現状分析・解説。そして「年収300万円時代を生き抜く」や「トカイナカ」 と言った地に足のついた対策提言と実践は、庶民生活防衛コンサルとして実に見事でした。

『ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト』は、国の会計について税収の範囲内で支出するという財政均衡主義の問題点を指摘した森永卓郎さんが、日本経済を好転させる方法を提案した経済解説です。森永さんにお話を伺います。(聞き手・畠山智之キャスター)

NHK

2003年に私は、『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)という本を上梓 し、大きな反響を得ました。・・・いまの経済状況は当時より深刻です。・・・これからは「年収200万円しかない」といった危機感をもち、生活スタイルを変えていく必要があります

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私は1985年、28歳で埼玉・所沢に家を購入し、数年前からは近くの畑で野菜や果物を作っています。都会と田舎の中間ということで「トカイナカ」と名づけていますが、そういう暮らしは、都会ほど生活費が高くなく、田舎ほど人間関係が濃過ぎません。

庶民の味方〝モリタク式〟4つの節約術 「卵かけご飯は値上げの心配なし」「省エネは最大のウクライナ支援」など 経済アナリスト・森永卓郎氏が伝授

まあ、米も卵も値上げしてるので、外してますが、大道としては間違ってないかと。その森永氏を失って痛い と思ったのは、エリートや有識者層で「庶民の生活実態」を本当に理解し、しかもその悲惨な状況を何とかしようとあがいてきた人 が確実に一人いなくなってしまったということです。

もう少し詳しく書くと、いきなりですが。

聖書に「人はパンのみにて生くるものにあらず」ってありますよね。

人間は、物質だけではなく、精神的にも満たされることを求めて生きる存在である、ということ。

コトバンク

一方で、「賢いアンタはそういうがね、庶民はパンが十分なければ、そんな形而上の話なんてどうでもいいんだぜ」 という強力な反語も存在します。「衣食足りて礼節を知る」です。

人は、物質的に不自由がなくなって、初めて礼儀に心を向ける余裕ができてくる。

コトバンク

現在の社会情勢を一言で言うと、エリートや有識者層は「人はパンのみにて生くるものにあらず」に取りつかれ、庶民層は「衣食足りねえから礼節なんて知らね」というずれが生じていると思うんです。モリタクさんは後者を意識し、前者に発信しようとしていたんだと。そういう人は希少です。

例えば今現在、日本の国会では「夫婦別姓」や「政治資金改正」などの議事が進められています。マスコミではフジテレビの昭和時代の組織経営が報道されてますか。まあこういう話はもちろん議論しより良い方向に進めていった方が良い話なのですが、「明日のパンや衣服」には直接つながりません。そういう意味では「礼節や宗教論争」と言った形而上学論争と言ってよいでしょう。  

以下のような日本の現状を踏まえると、

60歳では8割近くが働き、70歳では45.7%の人が就業している。〈経済成長率の鈍化や人口の高齢化によって、中高年の賃金や定年後の退職金は減少し、政府の厳しい財政状況から厚生年金の支給開始年齢引き上げなどによる公的年金の給付水準の引き下げも進んだ。こうしたなか、寿命の延伸によって増加する老後生活費の原資を高齢期の就労なしに獲得することは難しくなってきている。


昨今の経済的な事情が、働き続けることを選択する人が増加していることの主因になっているとみられる。

“60歳の8割、70歳の半数が働く”厳しい現実…国は何を考えているのか  多くの人が長く働く理由

日本人は平成期以降、転げ落ちるように貧しくなっています」と指摘する。
「1世帯あたりの平均所得は、ピークの1994年には664・2万円でしたが、2022年には140万円も下がって524・2万円になった。もう30年間も右肩下がりが続いているのです。
原因は、経済の低迷だけでなく、重すぎる税金と社会保険料の負担です。1994年には世帯平均年間117・4万円だった所得税や社会保険料などの負担額は、2022年には134万円を超えました。所得が下がったのに、負担は上がっているわけです」

われわれ現役世代は「奴隷」なのか?「社会保険料」で《収入の3分の1が消滅》…「社会保障依存国家」日本の暗い未来

だとすれば、今すべきなのは形而上学論争ではなく、パンの話、例えば「ガソリンの暫定税率撤廃」とか「年収103万円の壁を178万円に引き上げ」でしょう。けれど、そういう話を実現させようという話は全く進みません。

そりゃ、パンの話は実利が絡むので調整とか実施に向け大変でしょう。一方で「聖書談義は尊い」みたいな風潮もありますよね。「ポリティカル・コレクトネス(=政治的に正しい言動)」を追求するになんの差しさわりがあろうかみたいな。 あまり実利絡まないし。

それが、ここ最近の世界的な流れとして「形而上学論争」はもうたくさん。それより「今日のパン」をよこせ という反動的な動き、あるいは揺れ戻しが来ているのが昨今の情勢だと認識しています。

「環境保全」や「ポリティカル・コレクトネス」論議にNoを突き付けたアメリカ大統領選挙。 トランプ氏はパリ協定を脱退。石油を「掘って掘って掘りまくれ(働け、生産しろ)」って言ってますし、「あなたの仕事を奪う移民を規制」「不法移民は救済せず送り返す」ってやってますよね。正しいかどうかはさておき、パンに密接した政策が多いように思えます。

移民の問題は欧州でも問題になっていて、これまで穏当に受け入れていた政権はほぼすべて選挙に負け、移民排斥を訴える極右政権が実権を持ち始めています。環境に優しい(という物語はあんた達が作ったんやけど)EVも、安い中国製が席巻すればそれに関税かけて規制。結局アンタらも形而上学論争よりパンを選んだってことだね。

ま、ある意味「地に足の着いた」話なのかもしれません。(「正しい」とか「あるべき姿」ということではなく、これまでそうだったという流れに戻るというか。「保守回帰」というべきか)

まあ、こういうのは流行ですから、数年すると「反動の反動」が来て、また戻るような気もするけれど、少なくともここ数年の傾向としては顕著に現れるのではないかと。

そのあたりの時代の流れをよむことに長けた人でしたので、 将来的にもその見方を披露してもらいたかったなあ と思いました。  合掌。

参考追記。僕の感じた「形而上学論争よりパンを選んだ」感や「ポリティカル・コレクトネス」論にNo論をトランプ氏再選にからめ、うまくまとめた産経の記事(抜粋)を紹介します。さすがに上手に書きますね。

以前このコラムで文学の素養がないとトランプ大統領を腐(くさ)した。その見立ては変わりないが、いまはそれゆえの彼の無思想性に期待するところもある。というのも民主党政権は、社会をひと握りのエリートの思うがままに設計できるという「設計主義」に毒されていた。そして自分たちの理念や価値観を他国にも平然と押し付けたからだ。
その筆頭に挙げられるのが、人種、性別、宗教、国籍、年齢、障害などを理由にしたあらゆる差別的な表現や扱いをなくそうとする「ポリティカル・コレクトネス」(略してポリコレ)なるイデオロギーの押し付けと、それに基づいた施策だ。ポリコレこそ米国社会分断の最大要因ではなかったか。
・・・
ちなみに「設計主義」とは、オーストリアの経済学者、ハイエクの造語だ。彼は社会秩序の形成を合理的な設計のみに基づかせようとする発想を厳しく批判し、社会のなかで長い時間をかけて蓄積・生成された自生的秩序を重視した。言うまでもないことだが、社会主義国は設計主義の産物だ。トランプ大統領の「常識の革命」とは、民主党政権の過剰な「設計主義」傾斜への決別宣言である。

ジャイアン、トランプ大統領との交渉術 ドラえもんのいないのび太は正々堂々と
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(196)
 産経新聞

なるほど、バイデン民主党の動きは「設計主義」という言葉で表せるんですね、勉強になります。 

まあ僕は、バイデン民主党のポリコレ方針は理想としては正しいと思う(ただ実行法が稚拙だった)という意見なので、総論としてのこの記事には賛成しかねるのだけれど、この抜粋引用した部分の見方については全く同意見です。