中東、表にまとめてみました。(シリアやカタール情勢あたり)

せっかく中東を勉強したので、一枚の表に整理してみました。少しわかった、気がする・・・

中東一覧表

専門家じゃないので、かなり割り切ってます。それに間違ってるかも。

一番左に、多い人口順に4番目まで民族を並べました。あとイスラエルも重要なので入れます。

宗教は、多くはイスラームなのですが、それをシーア派とスンナ派に二分。 政権グループと庶民で宗教がちがうところもあるのだけれど、基本政府で統一。他の宗教、例えばユダヤ教やキリスト教もありますし、キリスト教もいろいろ分割できますが、割愛。

シリア情勢なんかは、かなりスンナ派VSシーア派っていう関係になってます。おおざっぱに、イランはシリア政府とイラク政府を支持。一方スンニ派はだいたい、シリア反政府組織を支持。

え、でもトルコはスンナ派なのに、反政府組織を攻撃してるよね?はいそこで「クルド人政策」もキーワード。

クルド人は、中東で4番目に多い民族ですが独自の国を持っていません。イラク、シリア、イラン、トルコに多く住んでいます。 中央政府が弱体化したイラクとシリアはISを含め国内が「群雄割拠」状態。クルド人も独自の勢力を持ちつつあります。さらに反ISの有力武力集団です。 イランとトルコは宗教だけでなく、国内のクルド勢力がイラクやシリアの事例をを見て、変な考えを起こすと困ると考え、政策を進めている感じ。

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最近、スンナ派の中でも、カタールが仲間外れにされてますよね。 地域的に近い「湾岸協力会議」の中でも、UAE、バーレーン、サウジアラビアから国交断絶されています。同じスンニ派アラブ人同士なのに・・・

①湾岸協力会議の国は、クウェートを除き王政。王族でなければ政府高官にあらず。産油国でもあるので「国民ども、生活の面倒は見てやるぞ。だから政治と王政に口をだすんじゃねーぞ」と統治してきました。

②最近、イランが石油輸出したりシェールガスが出たりで石油価格が下がってきたり、枯渇が見えてきたリ、王政は・・・金の切れ目が縁の切れ目になりかねん・・・

③そもそも中東の強権政府を民衆が倒した「ジャスミン革命」を、カタールが出資するアルジャジーラがジャンジャン報道するし、最近はイランの政治状況を放送しやがる。民衆に変なこと教えんじゃねぇ。(制限はあるだろうけど、王政に比べるとイランはかなり民主主義的な国家です)

④さらに、カタールは憎きイラン寄りの発言をしやがる。(カタールは石油より天然ガスが国内資源としては重要です。そしてそのガス田はイランと繋がってるので、他の国みたいに「イラン無視」とはいかない)

⑤絶交だ!

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みたいな感じ。 この辺りはスンナ派とシーア派の宗教争いって言われてますが、その下にはエライ世俗的な話が流れているのですなぁ。

 

そうそう、数日前のブログ 市民講座を利用する。 「中東の歴史」で紹介した

中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌 (NHK出版新書)
高橋 和夫 (著)

は非常に良い本でした。2016年に出された本で、カタールとサウジの話はまだでてませんが、イランとサウジの絶交話等の解説もありますし、中東から世界へ与える影響について、基本から丁寧に解説してあります。

  • 第一章 「国交断絶」の衝撃  (サウジアラビアとイラン)
  • 第二章 イスラム世界の基礎知識
  • 第三章 「悪の枢軸」イランの変質
  • 第四章「国もどき」サウジアラビアの焦り
  • 第五章 国境線の溶ける風景
  • 第六章 テロと難民
  • 第七章 新たな列強の時代へ
  • 終章 中東と日本をつなぐもの

現代社会の動きを、地域や歴史を踏まえ幅広い視点から説明してくれています。数点メモしたところを書いてみます。 買って損のない内容なので、ぜひ一読ください。

  • 中東問題を理解するには、他の地域と同様に地政学や国家の利害を押さえておかなければならない。宗教は大切だが、中東は宗教だけではない。 例:イラン・イラク戦争は、シーア派同士の戦い。国境付近を流れるシャトル・アラブ川の領有権問題が真の理由。
  • 日本の歴史との対比 ヨーロッパによる植民地支配(の恐怖)→日本「尊王攘夷か文明開化」中東「イスラム主義か西洋化か」    ヨーロッパからの独立を果たし、国力を増進し、イスラエルと対決しパレスティナ人を救済すること→失敗→イスラム主義
  • イランと中国 同じような中華思想を持ちながらも、近代欧米(と日本?)に蹂躙された歴史。

 

市民講座を利用する。 「中東の歴史」

暑かったり寒かったり、風邪を引いたのか喉がガラガラして痛いです。呼吸器系が弱いので注意しないと。 皆様もお気を付けください。何を気を付けたらいいのか、僕には分らんのだがね。

5月から今日まで、西尾市の春期公民館講座を受講しておりました。講座名は

「中東の歴史」 -なぜ紛争はなくならないのか–  でございます。

1時間半の講義8回で古代オリエントの歴史、多神教と一神教、ローマ帝国と宗教、イスラーム、イスラーム世界の拡大、オスマン帝国の盛衰とアラブの民族運動、イスラエルの建国とパレスティナ問題、イラン革命後の中東情勢    などが取り上げられました。

まあ、程度としては高等学校世界史+αですね。 なにせ講師は元高校教諭※だからして。

こういう講座は、講師の力量により、或いはタイトルと内容がかけ離れていたりして、聞いててがっかりすることも多いのですが(EX大学の教養講座等)、今回は楽しい!とは言えないまでも、きちんとしたよい講義でした。(誰もが池上彰になれるわけじゃないす)

この講義を聞いて、何か新たにすごい知見が得られる というようなものではありませんが、中東の歴史って、本を読むよりは、しっかり知識が身につくと思います。一人で本を読んでも速やかに忘れますが(笑)、講義で聞くとなかなか整理できていいと思いますよ。

さらに、今回の講座は講師が博識で、いろいろ脱線する小話がなかなか面白かったですね。日本史やら宗教にまで話がおよんでたし。思考的にはかなりリベラルで、どのくらいかと言うと、安倍くんや稲田くんが聞くと「非国民!」と言うくらい。パンチが効いてて面白かった(受講者に極右の人がいないで良かったよ)。僕も同類だけど、めんどくさいので黙ってますがね(笑)。

料金は1600円。他にも受けてみたい講座はいろいろあります。・・・陶芸とか、中国語講座、キムチ造りどか。秋講座も利用するつもりです。皆さんにもお勧めしたいところなんですが・・・何せほどんど平日開講なので、仕事をリタイヤしないと受講できない(笑)。

これ以上講座の内容は説明しませんが、紹介された参考図書を載せておきます。

講師曰く、なかなか中東やイスラームについて、きちんとまとまった形で一般向けに取りまとめたよい本はない、学者先生は自分の専門ばかり詳しいし・・・とのことでしたが、それでもこの辺りなら・・・と、2冊本を紹介してくれました。

(読んでないのに紹介してしまうけど、講座の内容、それと僕も宮崎正勝さんの別の本は何冊か読んでいるので、そこから判断するに両方とも悪くない選択肢だと思います。)

これは僕のおすすめですが、イスラームの歴史をサラッと抑えるなら、

あたりがいいかな と。予備校の先生なので、歴史部分はわかりやすくて良いのですが、ただし「歴史を見る目を現代を見る目に応用した」という解説はいただけません。神野史観はどんなものかというと、これを読めば、安倍くんや稲田くんが激賞するだろう といえばわかりますかね。

それとまあ、講義を聞きながらぼんやり感じてたところですが、これからの中東を考えるなら、注目すべきはサウジアラビアとイランじゃないかなと。スンナ派(超厳格)でアラブの盟主サウジアラビア、シーア派でペルシャ人のイラン。おまけに核疑惑付き。この辺りを中心にいろいろ絡んでいるのが中東の現実かなと。

そんなことを思った僕は、次の本を買って読んでみます。

(内容を見ないで買うと、タイトルと内容のギャップに「はずれ~」となることが大半ですが、たまにいいのに当たると、これこそ読書の醍醐味!amazon詣で辞められないんだよね・・・)

→(追記)すばらしく良い本に当たりました。いろんな観点で分析されており、超お勧め!

中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌 (NHK出版新書) 新書       高橋 和夫 (著)

かつて「悪の枢軸」と名指しされるも、急速にアメリカとの距離を縮めるイラン。それに強い焦りを覚え、新しいリーダーの下で強権的にふるまうサウジアラビア。両国はなぜ国交を断絶したのか? 新たな戦争は起きるのか? ISやシリア内戦への影響は? 情勢に通じる第一人者が、国際政治を揺るがす震源地の深層を鮮やかに読みとく!

オバマ君のアメリカは、イランと手を結びサウジを焦らせたものですが(まさにこの本が書かれた状況)、トランプ君のアメリカは、イランを遠ざけ、サウジとの連携を強めてます。ISが占拠していたモスルがもうじき陥落しそうなこの時期に、サウジはGCC仲間だったはずのカタールと国交断絶してたり。

と。あとはトルコとイスラエルに注目かな?

イスラエルに関しては、アメリカとの連携

トランプ君は、イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移動させようとしましたし、大統領に影響力のあるクシュナー上級顧問と愛娘イバンカ氏はバリバリのユダヤ教徒ですし(イスラエルとの連携強化が示唆?)。

トルコに関してはクルド人との関連

クルド人は、トルコ東部、イラク北部、イラン北西部に3000万人近くが暮らしています。本来なら自分たちの国家を持ってもおかしくない規模です。いま、クルド人勢力もモスルを攻めていますが、イスラーム国が壊滅したイラク北部に残るのは、クルド人勢力・・・ですよね。 国内のクルド人への波及を恐れるトルコは、イスラーム国を空爆すると見せかけクルド人を攻撃してます。ただでさえ、トルコは地域で突出した経済力と軍事力を誇りますからね。それがどう動くのかな?

そのあたりよく見ていきたいと思いますね。何せ21世紀は、イスラームの時代ですから!

 

 

 

 

※元西尾高校世界史教諭のKさん。僕も同校出身で、卒業アルバムによれば自分の高校生時代の担任団におられたようですが、こちらは理系の日本史選択の生徒(当時は世界史が必修じゃなかった)、あちらは文系の世界史の教諭ですので、まったく接点がありませんでした。