線状降水帯
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域。線状降水帯の多くは暖候期に発生し、大きな災害の要因となる集中豪雨を引き起こすことがある。
福岡の朝倉市やうきは市で、大災害を引き起こした悪い子は、この子です!
九州北部に記録的な豪雨をもたらしたのは、積乱雲が次々と発生する「線状降水帯」だった。
気象庁の説明によると、日本付近に停滞する梅雨前線に向かって、太平洋高気圧の縁をなぞるように南から非常に湿った空気が流れ込み、福岡県などで雨雲が発達。5日正午ごろから線状降水帯になった。前線の北から入る乾いた風と合流して身動きが取れず、長時間にわたって福岡県朝倉市などに猛烈な雨を降らせた。同日午前に島根県などに降った大雨とメカニズムは同じ。その後、前線が南下したため、九州北部が豪雨に見舞われたという。
いつも悪いのはこの子なんです!とは言いすぎかもしれませんが、最近の例だと、茨城県常総市の大水害は、確実にこの子が悪かったんです!
いろいろ例外もあったのですが、こちらは鬼怒川という大きな河川で、国の機関が堤防の整備をそれなりにしていたのですが・・・
つまりですね、いったんこいつの影響下に入ってしまうと、日本全国どこでも同じような災害が起こり得る。さらにどこが影響下に入るかは、神様の気まぐれで、人間にはわからないのです。
対策はないんでしょうか? うーん。堤防整備が進めば、たしかに状況は改善するかもしれません。ですが九州の事例のように、比較的小規模な川まで大規模な洪水に対応できるように整備するのは、予算の面からも、生活環境を考えても、おおよそ現実的ではありません。
それに山がちな国土にあっては、山のどこが崩れるか なんてまったくわかりません。わかったとしても、全部の手当なんてできないのです。例えば全国で「土石流が危険な渓流」は約18万、「急傾斜地で崩壊の危険があるところ」は約33万箇所もあるんです。
そのうえに、緩やかな斜面だって、土の中に水を限界まで含むと(飽和)どろっと崩れる可能性は、保育園の砂場で学習しましたよ(笑)。家の近くのあの斜面はどうなんだ・・・とすると、「逃げるが勝ち」戦法しかないんじゃ?
さて、「線上降水帯」の場合、現在自分がいるところが、「降水帯」 にかかるのか、かからないかで恐ろしく違います。(正確には、丘陵地からの土砂災害を警戒する場合には、「その場所」がどうなるかが重要ですし、河川の場合、水は上流から来るので上流域がかかるか、かからないかが重要でしょう)
それを正確に予測することはできんかのぉ?
現在の技術では、気象の正確な予測って大した精度は出ないですけどね。それは天気予報を見ててわかることですけどね。
それでも、今できる範囲内で一番予測が正しそうなのは、気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」というシステムでしょう(説明はこちら。)。 今後1時間の降雨予測をしてくれます。それ以上となると、もう少し精度が落ちるってことね。でもまあ、1時間あればいろいろできるので、それだけでも正確な情報があると助かります。 (誤差もあるので過信はしないように)
パソコンで見るなら、上記の気象庁のHPで見るのがよいと思いますが、スマホで見るなら、アプリを入れてみたら、いかがでしょうか。例えば「雨なう」など。
テレビで九州の中継を見て、
「うわー、ひでぇなあ。被害にあった人可哀想だな・・・(でも、うちじゃなくて良かった。ホッ。)」
と思ったアナタ、インタビューの中で九州の人が、70年間生きて来たけど、こんなの始めてだよ とおっしゃってましたよ。
いつ他人事が自分事になっても不思議はありません。転ぶ前に、杖を用意しておきましょう。