西尾の文化財(14) 盛巌寺 松平乗全墓

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調べたら、西尾市の文化財ではなかったけど・・・

西尾に盛巌寺というお寺があります。

ここに西尾藩の藩主だった松平乗全とその妻のお墓があります。

西尾藩主なので、市内にお墓があっても不思議はないんですが、西尾藩主としての(大給)松平家は五代続いています。乗佑、乗完、乗寛、乗全、乗秩の順です。乗全以外の藩主は東京西窪にお墓があります(天徳寺)。普通は一族みんな同じところにお墓があるはずだけど、なんで乗全だけ西尾にお墓があるんでしょうか? もしかして、悪い殿様だったので、一族から村八分、仲間外れにされちゃったのでしょうか・・・

さにあらず、この五人は皆優秀で、みんな奏者番と寺社奉行の経験者です。最後の乗秩氏は若くして明治維新を迎えたのでそれ以上出世しませんでしたが、他の四人は大阪城代か京都所司代を勤め、さらに三人は老中になっています。

(老中になれる譜代大名の典型的な出世コースは、奏者番→寺社奉行→大阪城代、京都所司代→老中)

中でも、乗全さんは二回老中を勤めているんですな。しかも二回目の老中職就任の際の推薦者は、大老井伊直弼。 相当優秀な人物だったのでしょう。

が、井伊直弼に推薦されて老中になったのが災いしました。そう、安政の大獄を進めた幕閣だったのです。そして井伊直弼は、恨みを募らせた浪士に暗殺されました(桜田門外の変)。

直弼亡き後の井伊家は「おまえの先代、やりすぎダロー!」と10万石削減の刑。直弼と親しかった部下の松平乗全も1万石削減の上隠居の刑。 所領6万石のうち1万石削減ってかなりのダメージ。それでも首が繋がっただけよしとせねば。(武士としてどう感じたかわからないけど)

確認はできてないのですが、跡継ぎへの影響も考え、失意の乗全は江戸を離れ国元西尾に帰って来たのではないでしょうか※?

まあいずれにせよ、乗全は明治3年まで長生きし西尾で死去、盛巌寺に葬られました。享年76。

さて、同族のいないひっそりとしたお墓ですが(奥さんがいりゃいいか!)、墓の手前には顕彰碑が建てられています。形が新しそうだし、あんまりきれいでもないし、価値ないだろ?     いやいや、なかなかさにあらず。

内容は、まあ親族が書いたものだから、当たり障りのないことしか書いてないですが、

文案を練ったのは伯爵大給恒、篆額が公爵徳川家達と、そうそうたるメンバーからなる碑なので、一見の価値があるかと。う〜む、そう言われると、朽ちた碑なのに、どことなく気品が漂うかしら・・・?

あ〜。誰だか分かんないですよね。

大給恒は、改名前 松平乗謨 と言い、大給松平家の分家当主。松平乗全の外孫にあたります。幕末の老中、陸軍総裁。元々は三河奥殿藩主だったのですが、信州龍岡へ藩を移し、そこに五稜郭を建造しました。(信州龍岡城。日本に五稜郭は函館と臼田町の二つある) 維新後は賞勲局副総裁、枢密顧問官。実権があったかは知りませんが、明治政府の高官です。 さらに、佐野常民とともに日本赤十字社の前身である博愛社の設立と育成に貢献し、「日赤の母」と呼ばれているそうです。

徳川家達は、徳川幕府が続いていたら、第十六代将軍になったはず。徳川慶喜のあと徳川家を継ぎ、維新後は貴族院議長等の要職を勤めました。 また大給恒の死後ですが、第6代日本赤十字社社長に就任しているので、まあ縁もあったようですな。

※9月14日追記  11月12日まで岩瀬文庫で「新編西尾市史中間報告展Ⅱ」というのをやってるので見に行ってきました。 そこに「旧西尾城絵巻」というのが展示され、 松平乗全の隠居屋敷が判明した そうです!  展示してある絵図の部分がこちら。

旧西尾城絵巻(部分)
解説(部分)

うーん、判明した経緯は解説でわかるんだが、シロートが知りたいのは、肝心の隠居所はどこにあったってことでしょ?でも展示品だけではわからねえ。まったく不親切な。

絵を見ると、手前の町家には「本町、須田町」と書いてあります。で、堀を渡って向こうに桝形と門。(新御門と記載あり)。 てーことは、西尾城三の丸に隠居屋敷があった! ってもわからんよね〜。モト画伯手書きの地図だとこのあたりだ~。

手書き地図

これで分かったの!?ちなみに二の丸に天守があって藩主が住んでおったのじゃ。 隠居屋敷の位置は、今だとだいたい尚古荘、伝想茶屋、道を挟んで反対側の民家あたりじゃないかな。

 

 

それから、この展覧会には乗全が書いた絵も飾ってありましたよ。 絵の評価ですか? えー、なんといいますか。丁寧な絵ですねえ。勢いとか、面白みはないですねえ。まあ、きっちり躾けられた子が手本のように書いたな って絵でした。まあ当時の殿様なので、それは仕方ないです。

 

投稿者:

モト

元河川技術者、現在は里山保全の仕事をしているおっさんです。西尾市在住の本好き歴史オタク。

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